ドラッグ版エゴサーチ

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~






埼玉県独自で行われている糖尿病性腎症(DMN)重症化予防プログラムへの
継続参加を決めた 縁波栗 風呂仁(えんぱぐりふろじん)さんは、DMN第2期です

「これ以上腎臓を悪くしたくないので、今年も指導を受けようと思いました」  かおまる
腎機能を表す指標として糸球体濾過量があり、血清クレアチニン値を基に推定した
推算GFR(eGFR)が使われますが、健康状態では100ml/分/1.73㎡
前後なのが、60迄低下すると慢性腎臓病(CKD)と言われ、30で腎不全となり
15の末期腎不全になりますと、シャントを付けて、透析の準備をする様になります

「ご近所に透析に通っている方がいますが、週3回で一回5時間もかかるそうです」  汗5 
透析しながら元気にお仕事なさっている方もありますが、時間的拘束が長く大変ですね

「僕は、eGFRは50位で、尿蛋白こそ無いものの、微量アルブミン尿が出ています」かおまる 
腎機能が悪化すると、尿中に蛋白質が漏れ出すようになり、これも指標となります
尿蛋白が出るのは腎症がかなり進行してからですが、蛋白の一種であるアルブミンが
尿中に微量に検出されるのは腎症早期からですので
、スクリーニング検査に最適で
DMN第2期の微量アルブミン尿の状態であれば、元の状態に戻せると言われています

「去年、初めて指導受けた時も、僕の状態ならまだ、引き返せると励まされました」  かおまる
第3期以降になると、DMN重症化を食い止める事しか出来ませんが、第2期は唯一
ステージダウンが望める段階ですので、この段階でDMNを発見する事が重要です

「治療次第で、元に戻せるかどうかの瀬戸際なので、のんでいる薬の評判が気になり  かおまる
現役時代にMSだった経験も生かして、毎日の様にネットで検索して調べています」
糖尿病治療薬としては、トラゼンタとジャディアンスをのんでいらっしゃいますね

「トラゼンタはDPP4阻害剤の中では、腎臓向きだそうですね」  スマイル 
DPP4阻害剤は、大多数は主に腎臓から排泄される為、腎機能が低下すると服用量を
減らして調節しますが、トラゼンタは腎排泄では無く、便中に排泄される胆汁排泄型
なので、腎機能に関係無く同一量で継続出来るという利点があります

「皮肉にも、腎臓が悪くなるとHbA1cは下がるので、ただでさえ、糖尿病薬は  かおまる 
段々減らして行くというから、その意味でも、量を気にしなくて済むのは楽ですね」
インスリンは、血液中で働いた後、腎臓で分解されますので、腎機能が落ちて来ると
インスリン分解が滞り、作用時間が遅延
し、それによりHbA1cは下がってきます

「腎不全になると、HbA1cが5%台とかの人も、ザラだと言いますね」  かおまる
そこで、DMN進展に応じて、糖尿病薬やインスリン注射している方では単位数を減量
していく傾向がありますが、病勢が衰えた訳では無いので、手放しでは喜べません

「一方のジャディアンスは、SGLT2阻害剤というピカ新の糖尿病薬なんですね」  かおまる  
SGLT2阻害剤は、尿中に糖を捨てる事で血糖を下げる、今迄に無かった糖尿病薬です

「しかも、心不全を減らす効果まであると、ベーリンガーのサイトに載っていました」  かおまる
メーカーのHPには、ジャディアンス(エンパグリフロジン)について行われた
EMPA-REG OUTCOME試験の『心血管イベント発症リスクが高い2型糖尿病
患者に、標準治療にジャディアンスを上乗せした所、主要評価項目である複合心血管
イベントリスクを14%有意に減少させた
』という輝かしい成果が書かれています

「最近は、『糖尿病薬が心不全にも効くか』という臨床試験をしているんですか?」  かおまる
心臓への良い効果を期待してというより、以前ロシグリタゾンという糖尿病薬で、心臓に
悪影響が有る事が後から判明した事件があって、それ以来、米食品医薬品局(FDA)が
新規の血糖降下薬は、心臓に安全な事を確認する試験をするように、義務付けたのです
ロシグリタゾンはインスリン抵抗性改善薬という部類のお薬で、日本では未発売です

「心臓に悪くない事を証明しようとしたら、逆に、心不全に良いと分かったのですね?」  かおまる
『心血管イベント発症リスクが高い2型糖尿病患者』とある通り、糖尿病が心臓病リスク
の一つなので、まっとうな糖尿病治療薬ならば心臓病を減らすのは当然なんですけどね

「でも、その臨床試験結果は嘘だと書いてあるブログも見つけたので、迷います」   かおまる  
PMDA審査員でもあった、池田正行先生のブログですね、私も見ました
先生によると、ジャディアンスが心不全を14%減らしたのは、10mg投与群と
25mg投与群を合算したデータで、10mg投与群と25mg投与群のそれぞれと
プラセボ(ジャディアンスの偽物)投与群を比べたデータでは有意差が無いとの事
です

「統計学には詳しくないんですが、確かにこれを見ると、10mgと25mgで   かおまる
ハザード比がそれぞれ0.85と0.86だから、差が無いのは奇妙ですね」
HR(ハザード比)が0.85だったら、リスクを15%減らしたという意味ですが
有効性に用量依存性が見られない、というのも、この試験に疑問が持たれる要因です

「95%CIとか、p valueとかいうのは、何かの統計的尺度なんですか?」  かおまる
95%CI(95%信頼区間)は、サンプリングの妥当性を表す物で、1より小さい方が
リスク減少すると言われ、1をまたいでいると有意差が無いと判断されるそうです
p value(P値)も低い方が良く、0.05以下でないと結果に信頼が無いそうです

「10でも25でも効果が変わらないのなら、安い方の10mgで十分ですね」  かおまる
池田先生によると、10mgと25mg投与群を別々にプラセボと比べたデータは
論文のAppendix(巻末につける解説)にあると言われて、私も見てみました
確かに先生の言う通りでしたが、一方では、有意差の有るデータも載っていました
心血管系死亡リスクの欄を見ると、
10mgで、HR 0.65(95%CI 0.50-0.85)P値0.002
25mgで 、HR 0.59(95%CI 0.45-0.77)P値<0.001
とありました 

「Appendixは見ていませんが、それなら10mgと25mgで差が出てますね  かおまる
そう言えば、糖尿病トライアルデータベースに、心血管死が4割減少したとありました」
糖尿病トライアルデータベースには、EMPA-REG OUTCOME試験を
DMN進行抑止の観点から、事前設定に基づき、サブ解析したデータもあります

「そんな重要なデータがあったんだ! どうやって見つけましたか?」  かおまる
『EMPA-REG OUTCOME試験』『腎臓』で検索しました
それによりますと、ジャディアンス投与群でDMN進展や悪化が減少したそうです
HRは0.61、95%CI 0.53-0.70、p<0.001、とあるので
これは、十分有意性を持った数字と言えると思います

「本当ですね、そもそも何でベーリンガーは、ジャディアンスが腎臓に良い事を強調  ブー1
しないで、効果があやふやな心不全の事なんかを謳ったりしたんでしょう?」

薬品の効果には、クラスエフェクトと言って、SGLT2阻害剤全般に見られる効果
ドラッグエフェクトと言って、ジャディアンスにしか見られない効果とありますので
SGLT2阻害剤の中でも特別な薬だと、差別化したかったんじゃないでしょうか?

「僕も現役時代は、都合の良いデータだけを宣伝していましたから、分かりますが  かおまる
何だか、ディオバン事件を彷彿とさせる様な話ですね」
腎臓に対する良い効果は、その作用機序の推察からすると、SGLT2阻害剤全般に
備わるクラスエフェクトなので、ジャディアンスに限った話では無さそうです

「僕は腎臓にさえ効いてくれれば充分だけど」  えへ5 
ジャディアンス服用直後は、一時的にeGFRは低下するものの、その位置で
持ちこたえる
ので、結果的にはプラセボよりもeGFRが高く保たれるそうです

「僕が見たサイトには、SGLT2阻害剤は内臓脂肪も減らすとありました」  スマイル2
SGLT2阻害剤には脂質代謝改善効果もあり、脂肪肝が改善した人もあります
又、河盛隆造先生によると、心不全改善は短期間でみられているから、動脈硬化
性病変の改善というより、血行動態改善によるものと判断せざるを得ないので
SGLT2阻害剤の利尿効果が心臓への負担を減らしたと思われるとの事でした

「河盛隆造先生は順天堂大学教授の、有名な糖尿病専門医ですね」  かおまる 
ジャディアンスの心不全改善効果については、今後更なる研究や試験で解明される
と思いますが、腎機能改善効果は現時点でも期待して良いのではないでしょうか






(参考)
池田正行先生のブログ
糖尿病トライアルデータベース

(注)
緑や黄色の字は見にくいというご指摘を受け、今回は赤と黒にしてみました


埼玉県では、全国に先駆けて、糖尿病性腎症(DMN)重症化予防プログラム
事業に取り組むことになりました


EMPA-REG OUTCOME試験 の Appendixによると
Cardiovascular death(心血管系死亡)以外に
All-cause mortality(総死亡率)でも
10mg投与群で0.70  (0.56, 0.87)  0.001
25mg投与群で0.67  (0.54, 0.83)  <0.001
という数字でした



エゴサーチと言えば・・・

厚労省の、薬剤師検索システムで、私の名前を検索すると
何と、19人もの 同姓同名が出てきます

結婚する前は、そこそこ珍しい名字でしたので、ありふれた名前でも
同姓同名は見つからなかったと思います

ありふれた苗字 + ありふれた名前 = 19人の同姓同名の同業者
という結果に・・・

因みに、三人の男性上司薬剤師を検索した所
それぞれ、一人ずつしか出て来ませんでした

結婚相手の苗字ってホントに大事・・・








帰省のお土産を、最近よく利用している、地元のパティスリーで買いました
 22017夏  2017夏1


多肉達よ、いよいよ夏本番だが、頑張って生き延びてくれ、と祈る様な毎日
 2017夏3  2017夏6

 2017夏7  2017夏5
  

多肉チョコ饅頭と、抹茶饅頭も元気で夏越しするんだよ
 2017夏4




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Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

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