可愛い子には服薬をさせろ

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~






注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断された 後藻 喜瀬 ちゃん
(あともきせちゃん)
のお母さんは、いつも娘さんの処方箋を持って見えます

「今日は母に頼まれて、おじいちゃんの処方箋を持って来たんですけどね・・・」  かおまる
そう言えば、先日娘さんのお薬がストラテラに変わりましたが、その後どうですか?

「コンサータと一緒にのんでいますが、お陰様で食欲は落ちていません」  かおまる
ストラテラは、投与開始から2週間経たないと効いて来ない為、コンサータから
ストラテラに切り替える場合は、暫らく両方併用する方が、効果を維持出来ます

「ストラテラは効き目が安定するのに、6~8週間かかると聞きました」  かおまる
その代わり、コンサータと違い、効果が一日中途切れず、夜間も効いています

「コンサータはのみ始めてすぐに効きましたが、12時間で作用が切れます」 汗5  
コンサータは即効性がありますが、効果消失も早く、夜間は作用が途切れます
ストラテラは即効性が無い代わりに、緩やかに効いて効果の切れもありません

「それに、コンサータは覚醒剤の一種なので、依存性が心配でした」  汗 
コンサータの成分はメチルフェニデートといい、覚醒剤と同じ中枢神経興奮作用
があって、効果はメタンフェタミンとカフェインの中間であるとされています
メチルフェニデートは、中枢神経で神経伝達物質のドパミンやノルアドレナリンの
再取り込み口を阻害
して、回収され難くして、神経伝達物質の量を増やします

「ADHDの子供は、脳のドパミンやノルアドレナリンが少ないと言いますからね」  かおまる 
元々ドパミンやノルアドレナリンが少ない人が服用すると、正常量となり、集中力や
やる気が出て薬になりますが、伝達物質が十分足りているにもかかわらず用いれば
過剰な伝達物質が爽快感や多幸感をもたらし、乱用や依存性の温床となるのです

「確かに娘には、コンサータで伝達物質が増えた状態が丁度良かったみたいで  えへ5 
勉強に集中出来る様になって自信もつき、学校にも楽しく通える様になりました」
初めて医師からコンサータを勧められた時は、悪名高いリタリンと同じ物だから
大事な娘さんにはのませたくないと、暫らく悩んでいらっしゃいましたけどね

「だって、ネットで調べたら、コンサータと同じ成分のリタリンというお薬は  冷汗2
依存症とか乱用とか不正売買とか、色々な問題のあった恐い薬だと知ったので」
メチルフェニデートは、1960年頃からリタリンと言う名前で販売されており
ナルコレプシーと、他のうつ病薬で治らない難治性うつ病に使われていました

「ナルコレプシーは、夜十分眠れているのに昼間突然眠くなる病気だそうですね」   かおまる  
しかし、リタリンをうつ病に使用していたのは日本だけだったそうで、2007年に
適応からうつ病がはずされましたが、今にして思えば、覚醒剤作用による快感を
うつ病が改善したかの様に、勘違い
してしまっていたのではないかと言われています
リタリンをうつ病薬としてのむうちに、依存性になってしまった人もいたそうです

「そういう話を聞くと、いくら良い薬でもずっとのみ続けるのは不安だったんです」   うへー 
けれど、リタリンがうつ病に使えなくなると同時に、同成分の徐放剤コンサータが
ADHD治療薬として認可され、又、今迄野放図にされていたメチルフェニデートの
流通が、医師、医療機関、調剤出来る薬局の三重に亘って規制される事になりました

「コンサータはじわじわ溶けて効く徐放剤なので、依存性にはなり難いそうですね」  かおまる
コンサータは浸透性徐放効果送出システムという技術を使って作られた徐放剤です
リタリンは即効性がある一方で作用持続は短く、血中濃度のピークを過ぎると急速に
効果が弱まりますので
、血中濃度の谷が薬への渇望となって、次の薬を求めるという風に
依存症を増長してしまいますが、徐放剤なら効果が穏やで持続も長く渇望も生じません

「コンサータに出会えて感謝しているんですが、依存性が出ない薬もあると聞いたので」 スマイル2
メチルフェニデートは、ドパミンとノルアドレナリンの再取り込み口(トランスポーター)
を阻害しますが、2009年に発売されたADHD治療薬のストラテラは、ドパミンの
トランスポーターは阻害しない、選択的ノルアドレナリン・トランスポーター阻害剤です

「ADHDの原因は、ノルアドレナリンよりドパミン低下の方が深刻だと聞きましたが  かおまる
ドパミンを増やさないのに、ノルアドレナリンを増やしただけで、効くんですか?」
意欲や実行力を司る前頭葉では、ドパミン・トランスポーターが少ない為、ドパミンも
ノルアドレナリン・トランスポーターを介して再取り込みされる
と考えられています
つまり、ストラテラは前頭葉においてノルアドレナリン・トランスポーターを阻害する
事で、ノルアドレナリンとドパミンの両方の濃度を上昇させると言われています

「ADHDの子特有の先延ばしは、前頭葉がきちんと働かないから起きると言われます」  かおまる
ドパミン・トランスポーターも阻害するメチルフェニデートですと、脳全体のドパミンを
増やすので、依存性形成に関係する側座核のドパミンも増やしてしまいますが
ストラテラは、側座核のドパミンには影響しないので、依存性を生じないのです

「ノルアドレナリン・トランスポーターしか阻害しないストラテラは、ドパミン・  えへ4       
トランスポーターの存在しない前頭葉だけで、ドパミンを増やす便利な薬なんですね」
朝食後一日一回服用するコンサータと違い、ストラテラは一日二回服用です
又、ストラテラの成分は眼に刺激があるので、カプセルを開けたりしないで下さい

「ストラテラ液剤もある様ですが、眼の刺激があるとの事でカプセルにして頂きました」  かおまる 
ADHDの人には、待つ事で大きな報酬を得られると分かっていても、すぐに得られる
目先の小さい報酬を選んでしまう
という、遅延報酬の障害と呼ばれる傾向があります

「娘も、今するべき事よりも、目の前の楽しい事に飛びついてしまう癖があります」  冷汗4
その傾向の為、ADHDの人は様々な依存症になり易いのですが、中枢神経刺激薬で治療
したからと言って、薬物依存リスクは高まらなかった事が研究で明らかにされています

「医師にも、『栄養剤だって、肥満の人がのめばさらに太って体に毒だけど、栄養不足  かおまる
の人がのめば薬になるのと同じ事だから、気にしなくて良いんだよ』と言われました」
但し、服薬によってADHDの根本治療が出来る訳ではなく、症状が緩和されるだけですが
生活の質を改善させたり、社会参加への自信がついたり、認知行動療法がし易くなる等
ADHDを本格的に改善する為の一つの有用な手段と考えて、上手く利用して下さい

「娘は興奮して眠れない時に、カタプレスという神経を抑えるお薬をのんで居た事も  かおまる 
あったのですが、コンサータをのみ始めてから、カタプレスが禁止になりまして」
カタプレスアドレナリンαⅡ受容体刺激薬で、交感神経を抑えるので、本来は
高血圧のお薬
ですが、脳のノルアドレナリンを減少させて、覚醒度を下げる事で
ADHDの人特有の、興奮や多動、衝動性、攻撃性などを改善する効果があります

「ノルアドレナリンを減らすなんて、コンサータとは逆の作用じゃないですか?」  驚き1
その為か、コンサータとは相性が悪く、小児の併用で突然死の報告があるそうです

「カタプレスは突然暴れたりする時にも重宝していたので、使えなくなって困っていた  えへ3 
んですが、ストラテラなら一緒にのめるそうなので、それも変えたかった理由です」
コンサータとは逆の作用のお薬がADHDに効くというのは、逆説の様ですが
ADHDには多様な症状があり、実行能力を高めるには、コンサータやストラテラが
適していますが、衝動性を抑えて落ち着かせる為にはカタプレスが良いそうです
今年新しいADHD治療薬として発売されたインチュニブも、αⅡ刺激薬です

「医師も『カタプレスと似た作用のADHD薬が出た』とおっしゃっていました」  スマイル
インチュニブの様なαⅡ刺激薬が何故効くのかは、まだ完全には解明されていません
が、ADHDの方は、前頭葉での後シナプスのHCN(過分極活性化環状ヌクレオチド)
チャネルが開いてしまっている為
に、情報伝達が不十分になっていると言われており
αⅡ受容体を刺激するとHCNが閉じるので、それで神経伝達が潤滑になって効く
のではないかと
されていますが、いずれにせよ、お薬の選択肢が増えるのは良い事です

「他にも悩んでいる事がありまして、娘が怒り出したら止まらない事があると相談したら  かおまる
医師からリスパダールと言うお薬を勧められたのですが、どうやら精神病の薬だそうで」

リスパダールは統合失調症の薬ですが、ADHDの方の易怒性にも処方されるお薬です

「でも、統合失調症薬はドパミンを抑えると聞いたので、それでは矛盾しませんか?」  ブー1
確かにその通りですが、セロトニン­ドパミン拮抗薬と呼ばれるリスパダールには
その二種類以外にも様々な神経伝達への作用、ヒスタミン1受容体遮断、α1受容体遮断
等々の作用もあり、単純にドパミンを抑えるだけのお薬と捉える事は危険です
リスパダールは太り易いので、体重が減り易いストラテラの欠点を補う良い面もあります

「医師は『ドパミンを抑える薬が不安なら、ドパミンの作用を安定化する薬という  かおまる
選択肢もある』と言っていましたが、それも実は精神病の薬だそうで悩んでいます」 
ドパミン・システムスタビライザーエビリファイというお薬が、よく効く場合もあり
それは人それぞれですので、ともかく試してみないと判らない部分ではあります

「実は、今日初めておじいちゃんの処方箋を見たのですが、何と、認知症の祖父が  
最近怒り易くなって来たのでのんで居るお薬も、リスパダールだったんです!」  驚き1 
リスパダールは、認知症の方の易怒性にも処方されますよ

「ビックリ! 曾祖父と孫で同じお薬のまなくちゃいけないなんて、すごい偶然ね!  
でも、私は可愛い娘に精神病の薬のませるなんて辛くて嫌なのに、現金なもので、母は
おじいちゃんがこのお薬のんで大人しくなってくれると助かるって言っていました」  汗1     
まぁ、人間なんて、そんなものですよ








中枢系のお薬は難しいです 
お子さんで、カタプレスをのんでいらっしゃる方がいらしたのですが
今回やっと、その理由が解けまして、スッキリしました 
又、ADHDの患者さんも最近チラホラいらっしゃいますので
きちんと勉強しなくては、と思っていました

病気の診断には『程度の違い』と『質の違い』があるそうです
『程度の違い』で診断されるのは、糖尿病、高血圧、白内障、前立腺肥大等々
『質の違い』で診断されるのは、慢性関節リウマチ、癌、統合失調症等々

『程度の違い』はすなわち、正常から異常にかけてなだらかな階層となっているもので
ADHDは『程度の違い』で診断される病気だそうです
って事は、誰もが少し位はADHDの要素を持っているんでしょうね

私は何を隠そう、やり始めるとトコトン集中してやるんだけど、とっかかる迄が
面倒臭いという所
あります (これってADHD?)
又、書類提出が期日に間に合わない事があります (単なる老化現象?)







今月は、棚卸、学生実習の会合、電子薬歴導入、大物後発品の発売
その間在宅もチョイチョイ有り、で、とても多忙な日々を過ごし、へばり気味ですが
若者ならこんな時、レッドブルとかをのんで、しのぐんだろうな~と思いました 

が、私の年でそれをやると、疲労感の債務超過が半端なくなる
と感じたので、あくまで自力で切り抜けました  (エライ! 己を知っている)

てなわけで、多肉の面倒もあまり見てやれないでいる今日この頃
暑さでやられる個体も出て来てショックを受けています

やはり、可愛い子供?を守るには、服薬(ダニ駆除剤)と認知行動療法
(日照を見ながら置き場所をこまめに変える)しかないですね


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プロフィール

フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

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