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ポンプはあちこちにある

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~






風炉遁 本芙(ふろとんほんふ)さんはビスホスホネート(BP)系の骨粗鬆症
のお薬をのんでいらっしゃいましたが、今回よりお薬が変わる事になりました

「朝起きてすぐにコップ一杯のお水でのみ、その後30分間水以外は一切摂らず  ブー1
尚且つ上体をまっすぐに起こしておくという生活を、5年間も続けたのよ」
BP系薬はのみ方が面倒ですが、それでも、最初は一週間に一度のお薬だったのが
月に一度のめば良くなってからは、随分楽になったとおっしゃっていましたよ

「でも私生来胃弱なので、空腹な状態で薬をのむのはやっぱり、胃が辛かったのよ」  かおまる  
風炉遁さんは、胃酸の出過ぎを抑えるお薬もずっとのんでいらっしゃいますものね

「けれど骨粗鬆症を放っておくと背骨が曲がり易くなり、逆流性食道炎になる危険性  かおまる
も増すから、胃酸から食道を守る為にも骨粗鬆症治療は続けた方が良いんだって」
今回、エディロールという活性型ビタミンD3のお薬が処方されています

「今度のお薬は、今迄のと違って、食後にのめば良いと言うから助かるわ」   えへ5
骨は、破骨細胞によって古い骨が分解される骨吸収と、骨芽細胞によって新しい骨
が生産される骨形成の繰り返しによって、新陳代謝を行っていますので、骨吸収を
抑制
するか、骨形成を促進すれば骨粗鬆症は改善されますが、BP系薬は強力な骨吸収
抑制剤
で、活性型ビタミンD3は、骨吸収抑制と骨形成促進の両方の作用があります

「今迄の薬は強過ぎるから、5年のんだら他の薬に切り替えるんですってね」  かおまる  
BP系薬剤を長期服用していると、怪我していないのに突然大腿骨骨折が起こる場合
があるそうで、骨吸収抑制が強力過ぎると新しい骨生成も邪魔してしまい、骨の
新陳代謝サイクルが低速となって、骨が古く硬くなり、しなやかさを失うのが原因では
ないかと言われ、BP系薬剤は5年以上継続すべきではないと言う意見もあります
破骨細胞機能不全疾患の大理石病では、骨硬化症になり、骨折し易くなると言います

「顎骨壊死の副作用の事は聞いていたけど、骨粗鬆症の薬で骨折し易くなるなんて!」  驚き1
活性型ビタミンD3製剤は、腸からのカルシウム吸収を促進して骨形成活性化しますが
それ以外にエディロールには、BP系薬程強くないものの骨吸収抑制作用もあります

「骨吸収抑制も程良い感じなら、大腿骨骨折の副作用の心配もないんでしょうね」  かおまる   
骨吸収抑制と形成促進の両方を兼ね備えたエディロールは、破壊と形成のバランスが良く
骨の新陳代謝サイクルを推進しますので、BP系薬の切り替え薬として理想的です

「それは良いんだけど私、貧血の薬や胃薬迄も、見直さなきゃいけないんですって」  冷汗2
鉄欠乏性貧血で鉄剤をのんでいらしたのが、今回ビタミンB12製剤のメチコバールと
葉酸のフォリアミン
に変わっている事から察するに、巨赤芽球性貧血だったんですね

「鉄剤のんでも中々改善されないので、先生がおかしいと思って検査したの」  汗5 
巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12や葉酸等の成分が不足してなる貧血ですが
ビタミンB12は動物性食品にしか含まれないので、ご高齢の方で不足しがちです

「年取ると、肉や魚より、豆腐や野菜の方が美味しくなるからね」   かおまる
それもありますが、ビタミンB12の吸収の際にはまず、肉を徹底的に消化して
中からビタミンB12を分離し、次いで、胃から内因子と言う蛋白質を分泌して
それと結合させる事でやっと、腸からビタミンB12が吸収出来ますので
高齢で胃粘膜が萎縮すると、消化力や内因子分泌能が落ちて吸収が減る様です

「それに加えて、胃酸を抑え過ぎるのも、吸収の妨げになるんですってね」  かおまる
ご高齢の方では、ただでさえ胃酸の分泌が減っていますが、風炉遁さんの様に
胃酸を抑える胃薬を服用している方
ですと、胃酸減少にさらに拍車がかかります

「それで、胃薬も以前にのんで居た弱いのに戻す事になったの」  うへー 
今迄はプロトンポンプ阻害剤(PPI)と呼ばれるネキシウムカプセルをのんで
いらっしゃいましたが、今回H2ブロッカーと呼ばれるガスターになりましたね
H2ブロッカーは、胃酸分泌作用のあるヒスタミン2(H2)という受容体を阻害
して胃酸の分泌を抑えますが、PPIは胃酸分泌を行う最終段階であるプロトンポンプ
を特異的に非可逆的に阻害するお薬ですので、作用はPPIの方が持続的で強力です
但し、H2ブロッカーの方が即効性に優れ、夜間の胃酸過多には効果的だそうですが

「実は、鉄欠乏性だと言われていた時も、胃薬を弱くする様に勧められていたの」  かおまる 
鉄も、3価鉄が胃酸により2価鉄となって吸収されますので、胃酸が減少すると
鉄吸収能への悪影響
があり、胃酸分泌阻害薬は鉄欠乏性貧血の原因にもなり得ます

「胃酸にはビタミンB12や鉄等の栄養素の吸収を良くする重要な働きがあるのね」  スマイル  
鉄はある程度体内に貯蔵鉄として貯められますが、ビタミンB12も元来は
肝臓や筋肉に大量に貯蔵出来る為、吸収不足が年単位の長期に亘って持続しない限り
短期間の摂取不良ごときでは
、欠乏症による巨赤芽球性貧血を発症したりしません

「だから先生も業を煮やして、胃酸を抑える薬にメスを入れる事にしたんだわ」  かおまる  
実際に、ビタミンB12欠乏症になるリスクは、PPIを2年以上使用している人で
1.65倍、
H2ブロッカーを同じ期間使用している人で1.25倍増加するそうです

「でも、ガスターはOTCで売られているし、PPIもアメリカではドラッグストア  かおまる  
で買えるそうだから、胃酸を抑えるだけであって安全な薬と言うイメージだったけど」
強力に胃酸を抑えるPPIについては、胃の低酸状態から消化管の感染症を増やしたり
ミネラル等の吸収を阻害したりする栄養上の影響を、危惧する意見が当初からありました
実際にPPIにより、クロストリジウム・ディフィシルと言う菌に感染して偽膜性腸炎
になったり、市中肺炎になったりする感染症のリスクが増大すると言う報告があります

「成程、胃酸には細菌の侵入や繁殖を防いでいる面もあるのね」  かおまる  
又、PPIは血液中のマグネシウムが減ってしまう低マグネシウム血症を起こす事もあり
アメリカ食品医薬品局(FDA)では、PPI使用を止めない限り、マグネシウムの補充
だけでは改善されないと警告
しましたし、さらにPPI使用期間に比例して腎障害を起こす
頻度も増える
そうで、胃酸分泌阻害剤の中でもH2ブロッカー使用群に比べてPPI群
の方が腎機能低下、慢性腎臓病発症、末期腎不全進展のリスクが全て高かったそうです

「胃薬で腎臓が悪くなって、人工透析になったりするのは困るわね」  冷汗4
さらに、PPI長期連用により骨折を起こすリスクも高くなると言われています

「やっぱり、胃酸が抑えられるとカルシウムの吸収を妨げるからかしら?」  かおまる  
プロトンポンプとは、水素イオン(プロトン)を汲み出して、生体膜の内外に
プロトン勾配を作り出し、様々なエネルギー活動を行っているものですので
プロトンポンプが働いている部位は、胃酸を分泌する胃の壁細胞だけとは限らず
破骨細胞もプロトンポンプにより骨表面に酸を分泌して骨を溶かしています
つまり、PPIはプロトンポンプを抑え込む事で破骨細胞の働きを止めてしまい
骨吸収抑制というBP系薬と同じ形で、骨を硬化させ、骨折し易くするのです

「朝起きてすぐにのむ骨の薬と同じ副作用が、胃酸を抑える薬にもあったなんて!」  驚き1  
PPIはとても有用なお薬ですが、ご高齢の方が長期使用される場合は、副作用が
出現する可能性を考慮の上、症状をみながら、H2ブロッカーへの変更や胃酸分泌
阻害薬そのものの中止を目標
として、漫然と使わない様に努力すべきお薬なのです

「本当は胃潰瘍だと8週間迄しかのんじゃいけない薬なんだもんね」  かおまる








(1)
2012年の医学誌に掲載されたメタ解析の論文では39のデータを解析した結果
PPI使用により、偽膜性腸炎という難治性の細菌性腸炎の原因菌である
クロストリジウム・デフィシル菌の感染症のリスクが1.74倍に
その再発リスクに至っては2.5倍有意に増加した、という結果が報告

(2)
低マグネシウム血症は複数の重症事例の報告があり、そのためアメリカのFDAは
2011年に警告を出しており、2015年の医学誌に掲載されたメタ解析の論文では
PPI使用により、低マグネシウム血症の発症リスクは1.43倍増加するという結果に

(3)
PPIの使用が慢性腎疾患(CKD)発症リスクを有意に上昇させるという研究報告
米Johns Hopkins大学のBenjamin Lazarus氏らが
大規模多施設前向きコホート研究のデータを解析したものが
JAMA Internal Medicine誌電子版に2016年1月11日に掲載

(4)
アメリカで、退役軍人データベースを用いて、調査した
J Am Soc Nephrol(2016年4月14日オンライン版)の報告によると

PPI曝露期間と腎リスク上昇との間に段階的な関連が認められ、そのリスクは
慢性腎臓病(CKD)発症率の上昇だけでなく、末期腎不全(ESRD)進展率の
上昇にも
関係しており、又、H2ブロッカー群に比べてPPI群で
腎機能低下リスク、CKD発症リスク、ESRD進展リスクが、有意に高かった

この研究者によると、長期のPPI使用は腎臓に有害であり
出来うる限り、医療上必要な場合の短期間の使用のみに制限
H2ブロッカー等への変更か中止を考慮するべきであると結論づけています

又、アメリカではPPIはOTCとしても販売されており、PPIを必要以上に
継続する人が多いそうなので、それにも注意喚起しています

(5)
2015年の医学誌に掲載されたメタ解析によると、244109件の骨折を解析した結果
PPI使用により、トータルな骨折リスクが1.33倍、背骨の骨折リスクが1.58倍
大腿骨頸部骨折のリスクが1.26倍
、それぞれ有意に増加した
この骨折リスク増加は、1年以内のPPI短期使用においても認められたそうです

又、PPIにより骨吸収マーカーのNTXは低下し、骨吸収抑制作用があるそうです
(太田哲生ら新薬と臨床57:1341:2008)

・・・その他にもググると、類似の報告多数あります







 多肉植物の紅葉が少しづつ始まり、これからが楽しみな季節です♪

 多肉16105  多肉16102

 多肉16103  多肉16104

 多肉16107  多肉16108
 
 乙女心も色づいて来ました

 多肉16101  
 


 
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プロフィール

フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

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