不幸な遺伝子のもとに生まれた民族 

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~






滝 平貴志(たきひらきし)さんは、インスリンの分泌を促すインクレチンホルモン
GLP‐1を真似て作られた、ビクトーザという注射を打っていらっしゃいます

「日本人は欧米人より糖尿病になり易いんだってね! 痩せててもなるんだってね!」
  驚き1
糖尿病の発症し易さは民族によって違い、インスリン分泌能が欧米人の1/2~3/4
しかないアジア人では、欧米人に比べ肥満が軽くてもⅡ型糖尿病を発症します

「欧米人は、太ってインスリンの量が体重分を賄えなくなって、糖尿病になるんだけど  かおまる  
日本人は、最初からインスリン量が少ないから、すぐに足りなくなっちゃうんだよな~」

豊かになった現代、短時間で血糖値が上がる食品が増えたのも、アジア民族に不利な
要素で、ブドウ糖負荷試験を行うと、欧米人ではインスリン分泌量が急峻に増加する
のに対し、アジア人では分泌量も少なく分泌される時間も遅延するそうです

「俺達って本当に、損な遺伝子のもとに生まれて来た民族なんだなぁ!」  泣き1  
日本人全員がそうなのではなく、インスリン分泌能には何ら問題がなくて、肥満により
欧米型糖尿病になる方も多いのですが、その場合でもBMIは欧米人より小さめです

「BMIって体重を身長で二回割った数字でしょ? 俺は今25だよ」  うへー
日本の標準BMIは22で、25だと肥満扱いですね、アメリカでは正常範囲ですが

「日本人には滅多居ないけど、アメリカ人には時々ビア樽みたいな腹周りの人いるよね」  かおまる  
滝さんの身長は175センチだから、77キロを67キロにすれば標準体重ですね

「10キロ痩せるなんて無理無理、ホリエモンだって最近リバウンドしてるんだから」  ブー1
そう言えば、先生に『ホリエモンみたいに捕まれば、痩せられるぞ』って言われて
『先生、俺、何も悪い事してません』って抗議してらした事ありましたよね・・・

「それで、ビクトーザという食欲を抑える糖尿病薬を、渋々注射する事になったんだ」  かおまる  
ビクトーザは、GLP‐1受容体刺激薬で、血糖上昇を感知してインスリン分泌を促進し
グルカゴン分泌を抑制する以外に、胃内容物の排出遅延効果により血糖を下げます

「ビクトーザ打ち始めたら吐き気がひどくて、先生に吐き気止めを出してくれと頼んだら  冷汗1  
そんなののんだら、せっかくの食欲抑制効果が薄まっちゃうからダメって断られた」

GLP‐1受容体作動薬は消化を遅らせる以外に、中枢にも直接働いて食欲を抑えます
でも、ビクトーザになってから痩せて、去年の今頃は70キロ迄減ったじゃないですか?

「それがさ~体がビクトーザに慣れて、段々吐き気も無く食べられるようになったんだ」  かおまる   
70キロの頃は、GOTやGPTも正常値に近づいて脂肪肝も無くなる位でしたのにね
GLP‐1刺激薬を長期に使用していると、受容体の数や結合の親和性が減少
(ダウンレギュレーション)
して来て、膵臓β細胞への効果や胃排泄能抑制効果
が減弱
する場合があり、これを、GLP‐1タキフィラキシーと呼ぶそうです

「70キロの頃5.8%迄下がったHbA1cも7.5%迄リバウンドしちゃった」  かおまる
ホリエモンの事言えないですね・・・ビクトーザは、もう一つのGLP‐1受容体作動薬の
バイエッタよりも、GLP‐1と形が似ているので逆に、タキフィラキシーを起こし易い
されていますが、実はそのバイエッタでもGLP‐1タキフィラキシーが報告されています

「先生も、ビクトーザとインスリンを併用出来れば良いんだけど、あいにく単独で使うか  かおまる  
もしくは、SU剤という薬と併用するしか選択肢がないからなぁと、途方に暮れていたよ」

現在、ビクトーザやバイエッタは、インスリンとの併用が保険適用上認められていません

「新しく出るインクレチン薬がインスリンと一緒に使えるので、発売待ちだったんだ」  スマイル  
成程、今回の処方箋では、ランタスという一日フラットに効いてるインスリン製剤
リキスミアという新発売されたGLP‐1作動薬の組み合わせに変わってますね
リキスミアは、バイエッタと構造や作用が類似していて、ビクトーザよりも
胃内容物排出遅延効果が強く、食後高血糖をよく抑えるので基礎インスリン製剤と
相性が良く、GLP‐1タキフィラキシーも起こし難いと言われています

「でもなし崩し的にインスリンまで打つことになり、注射が二種類になっちゃった」  汗  
リキスミアは逆に、単独での使用は認められていませんので、やむを得ません

「あ~あ一年前は、あとちょっとで以前のんでたネシーナに戻れる所だったのに」  かおまる 
ネシーナは、インクレチンの分解酵素を邪魔して長生きさせるDPPⅣ阻害剤
呼ばれるお薬で、リキスミアなどと同じくインクレチン作用増強剤に属しますが
DPPⅣ阻害剤は、BMIが高くて脂肪肝の程度がひどいと、効かないそうです

「だから、先生が、もう少し痩せて肝臓の数値も良くなったら、以前のんで  かおまる
ダメだったネシーナをもう一度試してみる価値はある、と言ってたのか~」
  
糖尿病の原因は人それぞれなので、その人の状況に合った治療法の選択が肝要です

「先生も、肥満型糖尿病には、インスリン抵抗性を改善する薬を使うという手もあるが  かおまる
それだと太り易くなってかえって抵抗性が増すからリキスミアを選んだ、と言ってた」

脂肪肝を伴う糖尿病の場合、インスリン抵抗性改善薬が奏功しますが、TZD剤ですと
太り易いですし、もう一つのBG剤では太りはしませんが、痩せる効果はありません

「ビクトーザで痩せてた頃は血圧も下がり、降圧薬も減ったのに、それも最近  汗5
リバウンドして、今回又以前の量に戻っちゃった~やっぱ太ると血圧も上がるんだね」
  
GLP‐1受容体には、近位尿細管におけるNa再吸収抑制などによる降圧作用があり
インクレチン増強薬は、DPPⅣ阻害剤もGLP‐1製剤も、血圧を下げるそうですが
その効果も、GLP‐1タキフィラキシーのせいで打ち消されたのかも知れませんね

「一年前にベルトの穴が二十代の頃と同じになって、嬉しくてダウンサイジング祝いをして  かおまる
その後、〝忘年会・クリスマス・正月〟の魔のトライアングルに突入したからな~」

今年も魔のトライアングルの時期が近づいて来たので気をつけてくださいね



(注)

ビクトーザは、単独使用もしくはSU剤と併用可能
一方、バイエッタとビデュリオンとリキスミアは単独での使用は不可だそうです

インクレチン製剤のノンレスポンダーは、BMI>32かつ、中等度~強度の脂肪肝が
認められる人
だそうで、米国におけるDPPⅣ阻害剤のHbA1c低下率が1%前後と小さかったのは、
アメリカ人にはノンレスポンダーが多かったせいではないかと
言われていました



GLP‐1受容体は、近位尿細管におけるNa再吸収抑制以外にも、アンジオテンシンⅡによる
ERKのリン酸化の抑制
血管内皮弛緩作用などにより血圧を下げると言われています

又、これから、発売されるSGLT2阻害剤も、血圧を下げる作用があるそうです

過去のSGLT2阻害剤関連記事   『ブドウ糖を捨てるなんて勿体ない?』   参照



又、SGLT2阻害剤の前に、武田からリパーゼ阻害剤のオブリーンが発売されますが、
これで食べた油を無かった事にして高血糖をSGLT2阻害剤で無かった事にしているうちに
糖尿病の『糖尿病患者は食べたい欲求と戦わなくてはならない』という従来の哲学が瓦解して
糖尿病患者さんも自由に食べて良い時代が来るのではないか、と言う医師がおられました

過去のリパーゼ阻害剤関連記事   『胃痛の種』   参照



オブリーンはセチリスタット、ゼニカルはオルリスタットですが共にリパーゼ阻害剤です

という事は、今「昔は脚気や肺結核で亡くなる人がいたんだね」と隔世の感に打たれる様に
数十年後は「昔は糖尿病だと食べる物を制限されたんだってね」と言われる日が来るのだろうか?

因みに、オブリーンをのめる幸運な人???は『糖尿病で脂質異常でBMI≧25』の方だそうです







  椅子の上で丸くなってるノン     丸いノン1




  定番我が家のおかず、サモサは何と娘が皮から作りました
  
  煮豚  鶏肉料理
  
  ポテトフライ  サモサ



   何年も行きたかった有名なパン屋さんに、偶然行くことが出来て感激

  ZOPFの前景  ZOPFのパン  






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コメント
緑色の文字色を別の色に変えてください
キチンと読みたいのですが、まぶしくて読めません。
なお、黄色も勿論NGです。
2017/07/24(月) 01:21 | URL | 通りがかりの者 #NV6rn1uo[ 編集]
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フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

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