まんじゅうこわくない 低血糖こわい

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~



木野 論(きの ろん)さんは糖尿病と高血圧のお薬をのんでいらっしゃいます

「長年良好なHbA1cにしてくれたアマリールだが、とうとう決別する事になった」  かおまる 
今迄はSU剤のアマリールと、DPP‐Ⅳ阻害剤のネシーナをのんでいらしたのですが
今回からアマリールが無くなり、毎食前にのむスターシスというお薬に変わっています

「アマリールは朝一回のめば済んでたのに、今度のは一日三回、しかも必ず食事の直前に
のまなきゃならないとは面倒だ、だがやむを得ん、ネシーナものむようになってから
低血糖が多発したので、アマリールを弱い薬に変えるしかないという結論に達した」
  かおまる
アマリールは膵臓のβ細胞のSU受容体にくっついて、インスリンを分泌させますが
受容体との結合が強力で持続性もあるので、一日一回服用すれば充分効いたのです
グリニド系のスターシスもSU受容体と結合しますが、結合が弱いので短時間しか効かず
食事の前にのむ必要
がありますが、その分、空腹時には低血糖を起こさないので安心です

「食べた時だけ効くので安全だが、逆に言えば食べる度にのまなくちゃいけない訳だな
低血糖は恐いぞ、こないだも血糖値が30にもなって大慌てでブドウ糖点滴受けに来た」
  冷汗4
あれは確か、肺炎と診断されて、クラビットという抗生物質をのんでいらした時ですよね?

「うん、先生も『低血糖になったのは抗生物質の副作用だと思うよ』とは言ってたが」  かおまる
クラビット等のニューキノロンと呼ばれる合成抗菌剤副作用の低血糖に注意が必要です
SU剤のんでいなくても、クラビットだけで低血糖起こした例もあるようですしね

「初めは、単なる咳風邪と思われて、クラリスという抗生物質が出てたけど効かなくてな」  うへー
最近は、様々な系統の抗生物質でも効かない、耐性菌による肺炎が増えて来ていますのでね

「娘が言うには、孫がマイコプラズマ肺炎になった時も、クラリスが効かなかったそうだ」  かおまる
マイコプラズマ肺炎も、本来はクラリスなどのマクロライド系の抗生物質が効くのですが
最近耐性化が進み、昨年末にとある病院で調べた結果、何と8割以上が耐性菌だったそうです

「わしの肺炎はどうも、孫のとは違って、肺炎球菌が原因じゃないかと先生は言っていた」   かおまる
マイコプラズマ肺炎は若年層に多く、木野さんのお年頃の方に多いのは細菌による市中肺炎です

「孫も結局合成抗菌剤で治ったそうだが、わしもクラビットに変わって見る見る咳は治まった
だが低血糖になった、そこで思い出したんだが、以前この薬局で、合成抗菌剤で低血糖が
起きた事をきっかけとして、血糖を下げる薬が発見されたと教えて貰った覚えがある」
  かおまる  
第二次大戦中、チフス患者さんに抗菌薬のサルファ剤を投与したら、重い低血糖を起こした事を
ヒントに開発されたのが、現在のアマリールなどのSU剤という糖尿病治療薬です

「それで、わしは、合成抗菌剤とアマリールは働きがかぶるんじゃないか、と睨んだんだよ」  ブー1
サルファ剤とニューキノロン剤はどちらも合成抗菌剤に分類されますが、構造的には似てないですよ

「だが、低血糖を起こしたクラビットはもうのみたくないので、肺炎球菌ワクチンを予約した」  かおまる
肺炎球菌ワクチン東北に優先的に配給されましたが、こちらでも少しずつは流通していますね

「それと、今回の件以外でも、糖尿病の薬が二種類になってからは低血糖が増えたので
十年以上も慣れ親しんできて惜別の情はあるが、アマリールを変えて貰えないかと頼んだ」
  かおまる
2000年に発売されて以来、ずっとのんでらしたので、かれこれ11年も経つんですね

「先生も快諾して、スターシスに変えてくれた、何故かと言うと、ネシーナとアマリールこそ
働きが部分的にかぶっていて、低血糖を起こし易い組み合わせだと判明したからだそうだ」
  かおまる
ネシーナは単独では低血糖を起こしませんが、SU剤と併用すると起こす事もあるようです
食後血糖が上がるとそれに応じたインスリンが出ますが、糖尿病だとその出方が鈍くなっています
インスリン分泌を適切な量にまで増幅させているのが、Epac2と呼ばれる蛋白質
ネシーナはこのEpac2経路を刺激するホルモンインクレチンを長生きさせるお薬です

「要するにインクレチンは声を大きくするスピーカーのような働きなんだな」  かおまる
アマリールも、SU受容体に結合する以外に、このEpac2経路も刺激する事が分りました
それでネシーナと併用すると、お互い同じ所に働くので作用が増強され易くなるようです

「スピーカーの台数が倍になったら、うるさ過ぎて逆効果だものな」  かおまる 
インクレチンは血糖を上げるグルカゴンの分泌も抑制しますので、余計血糖を下げるのです
スターシス等のグリニド系のお薬は、Epac2を介する経路には関与しませんので
ネシーナと併用しても、血糖を下げる効果が増幅される恐れはありません

「アマリールだけだと6%代だったHbA1cが、ネシーナものむようになって5%代
に落ちたので、先生はわしにはインクレチンの効果が充分発揮されるようだと喜んでいた
だから、ネシーナの相方を弱い薬に変えても大丈夫だし、低血糖も防げるとなったんだ」
  スマイル2 
高血圧の薬を見直そうと言う案は出なかったのですか?  木野さんののんでらっしゃる
テノーミンというお薬は、β遮断薬と呼ばれる自律神経を抑えるお薬なので、低血糖症状に
気付き難く
なったり、又低血糖からの立ち直りが遅れがちになる恐れがあります
本来は糖尿病の方にはあまりお勧めしたくないお薬なんですがね・・・  

「テノーミンはわしが変えないでくれとお願いしたんだ、前のんでたノルバスクは頻脈に
なったが、テノーミンになったら脈が落ち着いて来たのでな」
  かおまる
確かに、脈が速いと疲れ易いでしょうね

「何を言ってる、脈がゆっくりな程長生きだと言う説を知らないのかね?」  えへ4 
それは俗説だと思いますが、まぁそういう説もあるにはありますよね~



(注1) SU剤とDPP‐Ⅳ阻害剤の相乗効果で丁度良い患者さんもあります

(注2) 厚労省の重篤副作用疾患別対応マニュアルによると、ニューキノロンによる低血糖
     「膵β細胞ATP 感受性K+チャネルを閉鎖し、インスリン分泌を促進して低血糖を引き起こす
     また、末梢組織でのインスリン感受性亢進作用も低血糖の要因と考えられている」とあります

(注3) インクレチンン、グリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリドはEpac2を刺激しますが
     グリクラジド、ナデグリニドにはその作用は無いそうです
     Epac2刺激により、Rap1という蛋白質が活性化されて
     グルコースに呼応するインスリン分泌作用が増強されるようです

(注4) 北里大によると、マイコプラズマ菌のマクロライド耐性率は2011年11月時点で86.3%
     これは重症患者を解析しているので、実際の耐性率は約4~6割程度ではないか
     という話でした

(注5) SU剤はグルカゴン分泌は促進させるそうです
     これからは、インスリンのみじゃなくグルカゴンにも注目して行く必要があるそうです

(注6) β遮断薬ではインスリン抵抗性改善作用もあるアーチストかセレクトール
     糖尿病には推奨されます  

(参考) 科学技術振興機構「糖尿病治療薬の新しい標的分子を発見」神戸大学清野進教授らの研究
     DIABETES NEWS No.120  2011 January/February 
     Online DITN 第388号 「インクレチン関連薬の作用メカニズム」
     厚労省のHP 感染症のところと副作用のところ
     エーザイHP 他科医に聞きたいちょっとしたこと Vol.157「心拍数と寿命」






調剤薬局版 マーフィーの法則

① 午前中薬を返品すると、午後その薬が処方で出る。 

② 併売品は、在庫の無い方が出る。しかも、在庫のある方はデッドストックである。

③ 疑義照会する必要のある処方箋に限って、その病院の営業終了後に来る。






温かいメニューが段々ネタ切れして来た今日この頃
最近はまっている、チーズスプレッドと二種類のドレッシング
たらもサラダ  お気に入りチーズスプレッド

スンドゥブ  マーボナス

二つのドレッシング  二つのドレッシング2





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フロル

Author:フロル
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薬剤師です

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   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
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