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自分のふんどしで相撲を取れば、耐性菌なんか恐くない

パート店員の 華 綿恵姫さん(架空の人物)は、三歳の息子さんの急性中耳炎で通院中です
前回、抗生物質オゼックス細粒小児用に変わりましたが、いかがでしたか?

「最初のうちに出して頂いた抗生物質は、あんまり効いた気がしなかったんですけど  汗1  
お陰さまで、オゼックスになってからやっと目に見えて状態が良くなって来た感じです」

最初はアモリン細粒、次にはメイアクトMS小児用細粒が出たんでしたね

「本当は、一番最初に来た日は、抗生物質を出してすら貰えなかったんですよ」  ブー1
中耳炎になりたての頃はウイルスが原因なので、抗生物質のんでも意味ないそうですよ

「でも、息子は上の娘と違い耳の性が弱いというか、中耳炎をこじらせ易いんです」  汗  
ウイルス性の中耳炎を長引かせると、鼻などに常に存在しているバイ菌がのさばり出して
細菌性中耳炎になりますので、そうなるとさすがに、抗生物質の出番ですけどね

「次に来た時アモリンが五日分出て、それをのんでも鼓膜の膿がひかなかったので
先生が『アモリンの効かない耐性菌かもね』と、メイアクトに変えて下さったんです」
  かおまる  
中耳炎の犯人菌は、鼻腔内に常住し易い三種類の菌のどれかだと大体目星がついていまして
それですとペニシリン系のアモリンが効くはずなのですが、最近耐性菌が増えてますからね

「アモリンって、ペニシリン系だったの? ドラマのJINに出てくるペニシリンね?」  かおまる     
ペニシリン系のお薬は細菌が細胞壁を作るのを阻止して殺菌するので、作用は強いんですが
叩く菌の種類が少ないので、より多くの菌種を叩くメイアクトに変わりましたね

「それでも完治しなかったので、先生が水戸黄門の印籠のようにして、オゼックスを出して
来たんですが、最初から出して下さっていたらもっと早く解決していたような気がしますけど」
  汗5  
オゼックスは、他の抗生物質が効かなかった時に限って使う為に作られた新しいお薬なのです
抗生物質の使用は必要最低限にしとかないと、世の中に耐性菌がどんどん増えてしまいます
自由に抗生物質を買えるようにしていた為、耐性菌率が95%にもなってしまった国もあります

「以前、耐性菌対策の成分が入った抗生物質を出して頂いて、良く効いた覚えがあるんですけど」  かおまる  
耐性菌の中にはβラクタマーゼという抗生物質を攻撃する武器を出しているものがありますので
その武器を阻止するβラクタマーゼ阻害剤と抗生物質が力を併せれば、逆転勝利が可能になります

「それじゃ、その作戦で行けば、耐性菌なんて恐くないんじゃないですか?」  かおまる
しかし、最近では、βラクタマーゼを出さないのに耐性菌という菌が増えてきているのです
そういう菌は、抗生物質が攻撃してくる部分を自分で変化させて、攻撃出来なくしています

「菌も生き残ろうと必死ですね!」  かおまる
薬剤に耐性を示す菌は元々いたのだけれど、抗生物質の多用によって選別されて来たようです

「耐性菌ばかりになったらどうなっちゃうんでしょうか?」  驚き1
抗生物質が無かった江戸時代に逆戻りしてしまいますね、耐性菌増加を防ぐ最善の方法は
不必要な抗生物質の使用は極力避ける事と、服用する場合はしっかり最後までのみきる事です

「だから、始めて来た時は『抗生物質をのまないで様子を見ましょう』と言われたんですね
息子はしょっちゅう中耳炎になるので、抗生物質の効かない体になるんじゃないかと心配です」
  泣き1 
耐性菌が出来ても、直接息子さんを害する訳ではなく、また誰かの鼻腔に移り住んで行くだけです
鼻腔内には常に一定の細菌が住みついており、普段は免疫力が抑え込んで平和的に共存している
のですが、ウイルス感染などでその微妙なバランスが崩れた時に細菌に負けてしまうのです

「警察がしっかりしてれば町は平和だけど、外部からギャングが侵入してきて暴れると
普段はおとなしくしていた町のならず者までもが、それに乗じて暴れ出すようなものですね」
  かおまる 
しょせん抗生物質というのは、カビや細菌などが微生物同士で縄張り争いをする為
自分達専用に作り出した武器を、ちょっと拝借して人間の為に使おうという主旨の物なのです

「JIN見てたら、確かに、青カビからペニシリンを抽出してましたね~」  スマイル2  
ですから抗生物質で菌をやっつけるのは、他人のふんどしで相撲を取ってる訳です
元来、人間が病原菌と戦う時のまっとうな武器は、自身の持つ免疫力なのです

「息子も、母親譲りの免疫がまだ残っていた六カ月迄は、一切風邪をひきませんでしたね」  かおまる  
母体由来の免疫が切れる生後六カ月頃から、自分で免疫抗体を作れるようになる二歳頃まで
の一年半の免疫不在期間に、半数以上の赤ちゃんが中耳炎になるそうです

「上の娘は二歳前に一度中耳炎になったきりですが、下の子は何回もなるんですよね」  かおまる  
中耳炎を再発し易いお子さんは、抗体を作るのが苦手で、四歳位でやっと追い付くそうです
鼻粘膜で、細菌が簡単に侵入しないよう防いでいるのが分泌型IgA抗体と言われるもので
細菌の人相書きのようなものなので、耐性菌であろうとなかろうと有効なのです

「免疫抗体は自分のふんどしで相撲をとるものだから、耐性菌でも恐くないのね」  えへ4
高齢になると新たな外敵と戦う免疫力は弱まりますが、意外と鼻腔内常住菌は少ないそうです
これは、若い頃既に獲得している免疫抗体を、年の功で沢山持ってるからなのでしょうね

「息子は保育園で勧められて、肺炎球菌ワクチンのプレベナーと、インフルエンザ菌ワクチン
のアクトヒブを打ったんですが、プレベナーは少しは中耳炎防止にもなると言われました」
  スマイル  
肺炎球菌インフルエンザ菌は中耳炎の原因菌としてもメジャーな菌なのですが
同じ菌の仲間でも肺炎や髄膜炎を起こす菌と中耳炎をおこす菌では種類が違うのです
そこへいくと分泌型IgA抗体はそれぞれが、全ての肺炎球菌や、全てのインフルエンザ菌に
共通する蛋白質を見分ける抗体ですので、中耳炎で出来た抗体が髄膜炎防止にも役立ちます

「分泌型IgA抗体って、注射を打って出来るものとは違う抗体なのですか?」  かおまる  
注射する事でつく免疫は全身を駆け巡るIgG抗体で、分泌型IgA抗体は、鼻などの
粘膜体表面で外敵の侵入を防いでいる水際作戦的局所抗体です、全身抗体と比べて効力は弱く
菌を殺さず侵入を防ぐだけですので、逆に溶菌する際に出る毒素の害を受けずにすみます

「その方がよほど平和的解決方法ですね」  えへ5  
現在、鼻免疫をつける為の経鼻ワクチンが、反復性中耳炎予防を目的として開発中です
インフルエンザウイルスの経鼻ワクチンはアメリカで発売されていて、インフルエンザウイルス全般に
効くので新型インフルエンザのパンデミックにも効果があるのではないかと期待されています

「一昨年流行った新型は強いウイルスじゃなかったけど、今度もし強い新型が出てきたら  驚き1  
コロリの流行った江戸時代みたいに出歩けなくなって、パートにも行けなくなるでしょうね」

集団保育を受けていると、お互い同士で耐性菌をうつし合うので、中耳炎にもなり易いそうですよ

「そういえば私、上の娘が四歳になった時仕事始めたんです、下の子はまだ一歳だったわ  かおまる
上の娘はもう抗体作れるようになってたけど、息子は丁度免疫力の谷間の期間だったのね」

息子さんが特に体質的に弱いという訳では無かったかも知れませんよね



(注) 中耳炎の三大原因菌は、肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラキセラ・カターラリス、だそうです
    
    鼻腔内常住菌は、小児で36%~87%、高齢者で2.8%という報告があります
    
    インフルエンザウイルスの経鼻ワクチンのフルーミストは5歳~49歳の健康な人しか適応が無い
    のでインフルエンザ脳症などのハイリスク年齢層にも使用できるよう現在改良中のようです
    
    ベトナムでは誰でも簡単に抗生物質が購入できるので耐性菌率が95~98%と言われています


(参考) 感染症学雑誌 「難治化する急性中耳炎」 「高齢者の上喉頭細菌叢」
      モダンメディア 「基礎・臨床の両面からみた耐性菌の現状と対策」 
      日薬理誌 「鼻粘膜の免疫生理と病態」
    





    今年も当店に咲いたアマリリス

    アマリリス2011-2  アマリリス2011-1
   


    急にナスが食べたくなり、大根が食べたくなり、ポテトの揚げたのが食べたくなり・・・
    年齢的なものか? 野菜中心のメニューになりつつある、今日このごろ 

    ナススパ   大根煮もの
    まんまるポテト2






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フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

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