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そのレントゲン 何mSvですか?

(前回の続きの番外編です)

「この区域では水道の放射性ヨウ素はずうっと基準内だったんだけど、うちのカミさんは
潔癖症で神経質な所もあるから、ちょっとでも放射能を浴びたくないんだってさ  かおまる     
薬局でヨウ素剤が入手出来ないか、聞いて来てくれとも言われた・・・」

ヨウ化カリウムは放射能を浴びる外部被曝には効かず、放射性ヨウ素を摂取してしまった
内部被曝にしか効果がありませんし、18歳未満の成長期甲状腺が盛んにヨウ素を吸収
する年頃の方
には効き目がありますが、40歳以上になるとあまり意味が無いようです

「チェルノブイリでは、幼い子が甲状腺癌になって、痛ましい事故だったよなぁ」   かおまる  
海藻類を食べる日本と違い、内陸部でヨウ素が不足気味のチェルノブイリの住民では
ヨードの吸収が亢進しており、放射性ヨウ素のついた牧草を食べた牛の牛乳を飲み続けた
乳幼児に甲状腺癌が多発しました、が、放射性ヨウ素は半減期が8日と短いので
放射性物質の飛散が一時的な場合は、二三カ月すれば問題は無くなります

「子供の癌なんて珍しいから、やっぱり放射線は恐ろしいものなんだな~」  冷汗2
甲状腺摘出手術を受けた子供達は一生甲状腺ホルモンをのまなくてはならないのですが
甲状腺癌の死亡率は低く、実際に亡くなったのは9~24人と報告されています(注1)

放射性元素で問題になるのは、ヨウ素131(I‐131)以外にも、
セシウム137(Cs‐137)
ストロンチウム90(Sr‐90)があるそうです(注2)
Cs‐137の吸収阻害剤として、体内で腸肝サイクルを繰り返すセシウムを、捕捉して便中に
排出するお薬(注3)がありますが、3月半ばに緊急輸入されて全部福島に送られたようです

「僕達より、今福島原発で働いている人達が一番被曝の恐れがあるだろうからな」  汗5  
Cs‐137の半減期は30年と長いのですが、体の構成成分ではないので摂取しても
70日~100日(注1)で排泄されることから、主に土壌汚染源として問題になります(注4)

しかし、それを逆手にとってわざと汚染された土地に植物を植えて、それに放射能を
吸わせるファイトレメディエーションという土地浄化法があり、実際にひまわり
Cs‐137を根に、Sr‐90を花に、蓄積する事が知られています

「ひまわりにそんな凄い力があったとは!  驚き1  小学生でも育てられる花だよね」
チェルノブイリでは、汚染地帯で菜の花を育ててCs‐137やSr‐90を吸わせ
水溶性の放射性物質が油に溶けない事を利用して、放射能フリーな菜種油発酵バイオマス
から取り出したガス
を、農業エネルギーに利用するプロジェクトが3年前から始まっています

「飯舘村でも、バイオマス燃料の計画があると新聞で読んだよ」  かおまる 
一番厄介なのはSr‐90で、半減期が29年と長く、カルシウムと似ているので
摂取すると骨に取り込まれ易く、18年間も体内に居座って内部被曝源となるそうです

ただ、Sr‐90は大気中に放出されにくいので、遠方までは飛散しないそうです
チェルノブイリで放出されたSr‐90はCs‐137の1/8程度と言われています
半減期が50日と短いSr‐89の方は、骨に転移した癌の放射線治療に使われています(注5)

「そうか、良く考えたら、放射線って医療にも使われたりするんだよね」  汗1    
2004年のランセットに『日本人の癌の3.2%は診断用のX線が原因』という記事が載り
国民皆保険で費用が少なくて済む日本での、医療被曝が多い事が取り沙汰されました(注6)

水道水には『暫定』であっても『基準値』が定められていますが、医療被曝では線量限度が
定められておらず、医療従事者の良心的裁量に委ねられているのが現状です、が
ドクターショッピングして、複数の病院で放射線検査を受ける人もいらっしゃいます

「カミさんも、セカンドオピニオンを聞きに行くと言っては、よく病院変えてるな~」
  冷汗1  
そうなると放射線総量の管理が難しく、医療被曝記録手帳の必要性が叫ばれています(注7)
CT検査の一回の線量が5~30mSv、PETでは2~20mSvとされます
一方、福島県飯舘村役場で測定された積算被曝量が40日間で大体20mSv程度ですが
積算被曝量というのはず~っと戸外にいた場合、つまりホームレス状態での被曝量です(注8)

「カミさんの奴、CT検査で放射線浴びるのは気にならないのかな」  かおまる
放医研によると、100mSvの放射線を浴びると将来癌死する確率が0.5%増えるそうで(注9) 
日本人は元々約30%ががんで亡くなっているので、仮に1000名が100mSv
被曝を受けて、癌で亡くなる方が300名から305名になる、という事だそうです

ところが、糖尿病で癌を発症する確率は21~27%増える訳ですし、喫煙ですと
癌発症が4.5倍に増え(350%増)、癌死亡では1.6倍(60%増)になるのです

「放射能よりもタバコの方がよっぽど恐いんじゃないか」  驚き1    
しかも、この100mSvというのは一般市民では殆ど起こり得ない被曝量です

私達は普段の生活の中でも自然な放射線を常に浴びていますが、中国の高自然放射線地域
癌増加が認められず、チェルノブイリ高汚染地域で白血病の増加が報告されていない事(注10)
などから、ある程度迄の放射線は人体に影響しないという『しきい値説』があります

紫外線を浴びる事ですらもDNAは変異し、そういった損傷は迅速に修復されています
人間は、紫外線や放射線や活性酸素などによるDNA損傷に対する修復機能を獲得しながら進化
して来ましたが(注11)ストレスの強い状態ではせっかくの能力が存分に発揮できません

「僕も、放射能のことばっかり気に病んでる方が、体に良くないような気がしてきたよ」  スマイル2   
ですから、流言飛語に翻弄されず、信憑性のある情報に従って行動し、放射能に対し過度に
神経質にならないようにすることが、被曝による被害から身を守る最良の方法だと思います


(注1) 集計データや学者により微妙に数字が違う 

(注2) 放射性SrはI‐131やCs‐137と違い、γ線を出さずβ線のみを出す為
検出が難しく、定量試験にも時間がかかるそうです

(注3) ラディオガルダーゼ(プルシアンブルー)

(注4) チェルノブイリの高汚染区域では現在も約600万人もの人が暮らしていて
そこで採れるキノコには大量の放射性セシウムが含まれるので食べたら危険だそうです

(注5) メタストロン注(塩化ストロンチウム89)

(注6) CT装置台数は全世界で41000台、日本だけで12868台(2002年調べ)

(注7) X線によるDNA切断は、1本鎖でなく2本鎖切断となるので、修復する時に
間違いが起こり易い
そうです

(注8) 被曝には、体外から放射能を浴びる外部被曝と、飲食物や呼吸による内部被曝がありますが
チェルノブイリのベラルーシ・ホメリ地域の方々のデータ解析では(たまたま
かもしれませんが)内部被曝量と外部被曝量がほぼ等しかったそうなので
外部被曝を2倍すれば、おおよその見当で全被曝量がわかるそうです

(注9) 放射線による遺伝的影響は、動物では確認されているものの、
原爆被害者を対象とした人の研究では報告されていないそうです

(注10) スウェーデンの汚染地域では癌が増えているそうです(Tondel論文)
今中教授によると、チェルノブイリ事故関連の癌死は全世界で2万~6万件と見積もられ
田舎から都会に避難させられた事による間接的健康被害も無視できないとのことです

(注11) 少量の放射線被曝は免疫機能を活性化するという『ホルミシス効果説』というのもあるそうです


(参考)
    原子力資料情報室のHP (反原発の民間組織)
    原子力安全研究グループのHP (京大の今中哲二教授らの原子力安全問題ゼミ)
    NPO チェルノブイリ救援・中部のHP (菜の花プロジェクト)
    東大病院で放射線治療を担当する『チーム中川』のブログとツイッター
    放射線医学総合研究所のHP 「医療被曝をめぐる動向と線量の単位」





チェルノブイリ事故のRBMK型原子炉は、ソ連が原爆のプルトニウム用に開発した原子炉を
発電用に発展させたもので、福島のBWR型と違い、出力制御が複雑で扱い難いものだったそうです

事故当日、原子炉の電源テストをしようとして上手く行かず、制御棒が全部引き抜かれて
一触即発の状況になっていたところ
に、原子炉を止めようと制御棒を一斉挿入して、
ポジティブスクラムが起こり、出力が逆に上昇して大事故をひきおこしました

運命のAZ5ボタン(事故制御第五ボタン)を押して、結果的に暴走させてしまったアキモフについて
当時一緒に事故収拾に当たった安全課副主任のニコライ・カルパンが、2009年に、語っています


「アレクサンドル・アキモフを班長とする第5運転班は、タービン発電機から爆発性の水素ガスを抜いて
窒素ガスと置き換え、タービン建屋で燃えていた電気装置や機械を消火し、
数十トンのタービン油を抜き取って、火災が3号炉、2号炉、1号炉へと拡がらないように全力を尽くした。

(中略)

4号炉運転班長アレクサンドル・アキモフは、何が起きたのか理解していた。
彼は午前3時40分、所長からの呼び出しでやってきた班長ウラジーミル・バビチェフに
『全体的放射線事故(最大レベルの事故)』が起きたと話している。

彼は、事故の規模を正しく把握していたし、承知で危険な状況に自分の身をさらした。
そして所長に事態を報告した。彼は、原子炉の冷却確保に必要だったことすべてを行ってから
持ち場を離れた。みんな英雄的だった。

たとえば、ふつう制御室には運転員3人と班長1人が勤務についている。
一番若かったのはタービン担当技術者のキルシェンバウムだったが、
原子炉建屋内の配置には不慣れだった。アキモフはキルシェンバウムに
「おまえは余計で、我々の役に立たない、出て行け」といって制御室から退避させた。」

(原文のまま)


チェルノブイリ4号炉は、当時ソ連に17基あったPBMK型原子炉の中で新鋭機だったそうです

アキモフは急性放射線障害によりモスクワの病院で亡くなっています





『菜の花プロジェクト』の紹介文に
「事故から23年たっても内部被曝による病気は減らない」
「人々はキノコが大好き、でもキノコ料理は危険」とある横に
恰幅の良い眉の太いおじさんが、嬉しそうにキノコを持っている写真がありました

ウクライナ版スーパーマリオでは、キノコをとったらパワーダウンしそうです





春休みが長引いている次女は、最近お菓子作りにはまっています(本人のスマホで撮影)
お菓子もいいけど、たまには夕飯を作ってくれると嬉しいのですが・・・

シュー皮のお菓子1   シュー皮のお菓子2



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フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

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