バセドウ氏とベータの微妙な関係

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~





備苑 手江夫(びそのてえふ)さんは、異常な疲労感と体重減少に悩まされて
一か月前に内科を受診し、甲状腺機能亢進症のバセドウ病と判明しました

「栄養ドリンクを山ほどのんでも疲れが取れなかったのに、メルカゾールを  えへ5
のむようになったら、嘘のように治って来たんだからすごい薬だよ、本当に」

甲状腺ホルモンは新陳代謝を促進するホルモンですので、過剰になると、体が
異常燃焼を起こし、大量の汗をかき、心臓がバクバクし、手足が震えたりします

「体が空ぶかし状態だったのが、やっと落ち着いて地に足がついて来た感じだ」  かおまる  
甲状腺ホルモンは、アミノ酸のチロシンにヨウ素が結合た形のホルモンで、四つ
結合したサイロキシン(T4)と三つ結合したトリヨードサイロニン(T3)

がありますが、ヨウ素化合物からヨウ素をはずす酵素ペルオキシダーゼを阻害して
甲状腺ホルモンの合成を抑制し、その働きを抑えるお薬が、メルカゾールです

「僕は比較的軽い方だったので、メルカゾールは3錠で良いと言われた」  スマイル  
バセドウ病は、重篤度に応じた充分量の抗甲状腺薬を最初からのんで、辛い症状を
なるべく早く取り除く事が重要で、メルカゾールだと3錠から6錠でスタートします

「これだけ楽になればひと安心だが、甲状腺の薬は簡単には止められないらしい」  汗5 
治療開始後1~3カ月もすると薬が効いて来て、血中の甲状腺ホルモンが正常になり
辛い自覚症状もとれ、健康時と変わらない体調に戻りますが、それは薬で抑えている
だけですので
、薬を止めると急速に治療前の状態に逆戻りしてしまいます

「血液検査して体の反応を見ながら、徐々に薬を減らしていくんだってね」  かおまる  
抗甲状腺薬を段々減らして行って、メルカゾールなら1錠を一日おきにのんで
一年以上甲状腺機能が安定している状態が続けば、治療を終了出来るそうです

「そうなるには年単位でかかりそうだが、まぁ気長に病気と付き合って行くよ  うへー 
心配していた副作用の無顆粒球症も、今の所出ていないみたいだし」
無顆粒球症は、服用開始後二カ月間に発生する事が多く、放置しておくと
生命の危険もありますので、その間は二週間毎に血液検査をする必要があります

「メルカゾールだけだと、頻脈が治るのに時間がかかるので、別の薬ものんだけど」  かおまる
メルカゾールは既に出来ている甲状腺ホルモンの働きは抑えられないので
効果が現れて来るのは、服用開始後数カ月経って、甲状腺ホルモンが枯渇した頃
と言われ、その間頻脈が辛い場合は、交感神経系を抑えるβ遮断薬を併用します

「最初インデラルと言うβ遮断薬を、頻脈や手の震えの為に出されたんだけど」  かおまる  
インデラルは、交感神経を抑える以外に、甲状腺ホルモンを、活性の低いT4を
高いT3に変換するのを防ぐ作用
もあり、バセドウ病にはぴったりの頻脈薬です

「でも、インデラルをのんだら、何十年ぶりかで喘息発作が出てしまってね」  冷汗2
β遮断薬は、気道を狭める作用もあるので、喘息の持病のある人には禁忌でしたね

「昔は小児喘息だったけど、水泳教室に通って克服出来たつもりでいたんだが」  汗  
それで、カルシウム(Ca)拮抗薬という系統の頻脈薬のワソランに変わりましたね
Ca拮抗薬は、筋肉のCaチャネルに結合してCaイオンの流入を防ぐお薬で
血管平滑筋に作用すると血圧が下がり、心筋に効くと頻脈性不整脈が抑えられます
ワソランはCaチャネルの中でもL型のV部位に結合するので、心筋への選択性が強く
降圧作用は無いですが、β遮断薬の様な気道への影響も無く、喘息の方にも安全です

「動悸はワソランで何とか治まったんだけど、手の震えには効果が無くて  かおまる
寒くも無いのに、カップを持った手が震えて飲み物も飲めないので困ってねぇ」
それでその後、β1選択性が強くて気道を拡張するβ2受容体には影響が少ない
テノーミンという、喘息の方にも安心なβ1遮断薬に変わりましたね

「β1専用の遮断薬があるんなら、最初からそれにして欲しかった」  ブー1  
確かに、β1非選択性のインデラルだと、β2受容体も遮断してしまうのですが
前述した様にバセドウ病には好適なので、喘息でない限りは第一選択薬なのです

「でも久々に喘息が起きたせいで、又ちょくちょく喘息が出る様になっちゃってさ」  泣き1 
バセドウ病の甲状腺ホルモン過剰状態では、怪我の功名で、甲状腺ホルモンに
よって他の病気が抑えられている場合
があり、甲状腺ホルモンが正常化すると逆に
水面下に隠れていた病気が表面化する事があるようでして、中でも気管支喘息
甲状腺ホルモンの交感神経刺激作用で気道が拡張して症状がマスクされていたのが
バセドウ病の改善と共に、交替するかの様に喘息症状が出現する事があります

「医師も、知らない間に喘息が再発していたが、幸か不幸かバセドウ病も同時に  かおまる  
進行していたので症状が出ていなかった、という可能性もあると言っていた」
今回、抗炎症作用の強いステロイド吸入薬のキュバールというお薬が出ています
初期の喘息で起こる気道狭窄は可逆性、つまり一時的で元に戻る状態なのですが
気道炎症が慢性的に続くと、気道壁肥厚が固くなって定着してしまい不可逆的な
リモデリングという難治性状態
になりますので、炎症に歯止めをかける事が重要です
小児喘息は成人喘息に比べリモデリング化が進んでいない為、治り易いのです

「本当はシムビコートというステロイドとβ刺激薬が合体した吸入薬の方が強力   かおまる  
なんだそうだけど、バセドウ病を悪化させるかも知れないので使えないんだって」
シムビコートは、ステロイド以外に、β2選択的とは言えβ刺激薬も含んでいます
ので、交感神経刺激作用があり、甲状腺機能亢進症には慎重投与とされています

「子供の時によく効いたテオドールも、頻脈起こすのでのめないんだって」  かおまる  
キサンチン系気管支拡張薬のテオドールも、抗炎症作用を兼ね備えていますが
心筋興奮作用があり頻脈を起こす恐れがあるのでやはり避けた方が無難です

「それから、β遮断薬のテノーミンも、今回貼り薬に変わってるでしょ」  えへ4
テノーミンの代わりにビソノテープという貼り薬が出ていますね
これは、テノーミンと同じβ1選択的遮断薬の、ビソプロロールという成分を含む
貼付剤で、薬効成分が徐々に皮膚から吸収され末梢血管に入り全身に行き渡ります

「本来は血圧の薬だそうだが、そろそろ高血圧な年頃だから丁度良いよ」  かおまる   
テノーミンやビソプロロールの様なβ遮断薬は、交感神経系を抑えて心拍数を減らし
心拍出量を低下
させ、結果的に血圧も下げますので優秀な降圧薬でもあります

「心臓病のじいちゃんも、β遮断薬のメインテートという錠剤をのんでいるよ」  スマイル2  
心不全に使われるメインテートの成分も、ビソノテープと同じビソプロロールです
経口剤ではビソプロロールフマル酸塩となっていますが、貼付剤ではフマル酸を
遊離してビソプロロールをフリー化
して、皮膚からの透過性を高めています

「貼り薬の良い点は、万一気道が狭くなって来たら剥がせる事だって」   かおまる
ビソノテープは剥がすと、有効成分の血中濃度は緩やかに減少して行くそうです
ビソプロロールはβ1選択性が強いので、気道への影響は殆ど無いとされますが
息苦しくなった場合は剥がせると言う逃げ道があった方が、安心ですね






参考)
ビソノテープのIF
バセドウ病の治療方針を書いた病院のHP 
バセドウ病の患者さんのブログ 等




バセドウ治療後喘息症状が出現した方の他に、逆に、
喘息のβ2吸入薬使用後バセドウ病を発症した方もあり
バセドウ病と交感神経の複雑な相互関係を知りました

β遮断薬には、β1と2の選択性以外にも、ISA(内因性交感神経刺激作用)
や水溶性か脂溶性かの違いなど、色々考慮する点があって、難しいですね







夏休みの自由研究 : チワワの成長点について



多肉植物の中でも、エケベリアと呼ばれる種類は
バラの花の様なロゼットを形成し、中心部分の葉が更新して行く事で
成長していきますので、この中心部の事を成長点と呼んでいます

 チワワ成長点3  チワワ成長点5 


エケベリアの中でも、チワワと呼ばれる種類は
成長点が消失し易い事で有名です

一旦成長点を失ったチワワでも下の写真左の様に
別の部分から成長点を出して又成長し始めるので問題は無いのですが
成長点消失を繰り返す事によって、チワワは中々大きなロゼットを
形成できないと言う傾向があり、信頼出来るエケベリア辞典によると
『大きくなると8センチ位になるものもある』と記載があります

写真右のチワワは、我が家最大のチワワで、
今現在でロゼット径が9センチ超あります
(結局自慢したかっただけ)

そういう事言ってると、すぐに成長点無くなったりするんだよね~

 チワワ成長点1  チワワ成長点2


因みに、下のラウリンゼというエケベリアで、カクカクとした白いラインの様な
物はウォーターラインと言うそうです

チワワ成長点4
 


夏越しの被害多肉出つつも、トンネルの出口が見えて来たかな

 夏越し多肉3





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プロフィール

フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

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