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腎臓の出口の見張り番の仕業

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~





毎月ご夫婦で、処方箋を持っていらっしゃる 面樽 代和(めんたるよわ)さんですが
今日は、奥さんが、酷いめまいが起きて急遽病院に行かれ、耳鼻科でお薬が出た様です

「天袋の物をとろうとしたら、突然部屋がグルグル回り出してへたり込んでしまったの 冷汗2
吐き気もして、血圧も上がってしまって、てっきり大変な病気になったと思ったわ」

処方箋では、めまいに効くメシル酸ベタヒスチンと、吐き気止めのドンペリドン
血流を良くするアデノシン三リン酸がでていますが、降圧薬は出ていませんね

「血圧の薬と安定剤は内科の方でのんでいるので、これだけを足してのむみたい」  かおまる  
普段からのんでいらっしゃるお薬に、降圧薬と抗不安薬が含まれていますものね

「血圧が190になった事なんて無いので、脳梗塞なんじゃないかと訴えたんだけど かおまる
CT画像も年相応なので耳鼻科に回されて、耳の石灰が動いただけだと言われたの」

それは良性発作性頭位性めまいと言って、耳の三半規管の耳石が剥がれて移動してめまい
が起きるもので、症状が辛い割には無害で、数週間で自然に消滅していくそうですよ

「血圧が高い事を気にしていたら、医師から『すでに適切な降圧薬をのんでいるし  汗 
あなたの様な性格の人は、あまり血圧を測らない方が良いですよ』と言われたの」

血圧を気にし過ぎると、気分が動揺して、かえって高くなる恐れがあります

「でも、主人は、毎日きちんと血圧を測る様に言われていますよ」  ブー1
ご主人の場合は、糖尿病と高血圧の罹患期間も長く、最近腎臓の数値が悪化しておられ
ますので、朝食前と就寝前の一日二回、血圧を測定する様に推奨されていますね

「血圧の薬も、私と違って、何種類ものんでいますしね」  汗5 
ご主人は、動脈の血管を広げて血圧を下げるカルシウム拮抗薬のアムロジピン
血圧上昇ホルモンのアンジオテンシⅡを、受容体部分で抑えるアンジオテンシン受容体
拮抗薬(ARB)のアバプロ
、アンジオテンシン生成酵素を阻害するアンジオテンシン
変換酵素阻害薬(ACEI)のテモカプリル
、の三種類のんでいらっしゃいますね

「それに、腎臓の負担を減らす利尿剤にも、降圧作用があるとお聞きしましたよ」  かおまる  
利尿と降圧の作用を兼ね備えたサイアザイド系利尿薬ものんでいらっしゃいますね

「腎臓の方がもっと悪化すると、別の利尿剤に切り替えなくちゃいけないそうだけど」  かおまる  
腎症のステージが上がると、サイアザイド系からループ利尿剤に移行したり、両方
併用する事もあるようですが、ご主人は何とか踏みとどまっていらっしゃいますね

「昔と比べて桁違いに良い、糖尿病薬や降圧薬が開発されたおかげ、らしわよ」  えへ5
DPPⅣ阻害剤という画期的な糖尿病薬が開発され、又、アンジオテンシン系抑制薬が
腎症治療の中心になって
からは、人工透析になる糖尿病患者さんが減少傾向に転じました

「主人は糖尿病になる前から高血圧でしたので、長年血管をいじめて来たんでしょう」  かおまる
腎臓は、毛細血管が毛糸玉の様になった糸球体という部分で血液を濾過して、老廃物を
尿の中に排出する一方で、有用な成分は再吸収するという、重要な仕事をしています

「だから腎臓を悪くすると、透析して人工的に毒素を出さないといけないんですよね」 冷汗4
腎臓の入り口を輸入細動脈、出口を輸出細動脈と呼び、血圧の変化に応じてそれぞれが
閉じたり開いたりする事で、糸球体に流れ込む血液量や濾過量を厳密に調節しています

「腎臓の入り口と出口に、それぞれ蛇口が付いているって事ね」  かおまる  
糸球体内の血管にかかる圧力を糸球体内圧と言い、腎症の進行に伴い上昇しますので
腎症の悪化を食い止めるには糸球体内圧を下げれば良いのですが、カルシウム拮抗薬は
残念ながら、入り口は広げるものの出口は広げないので、糸球体内圧は下げられません

「アムロジピンは、全身の血圧は下げるけれど、腎臓内の圧は下げられないのね」  うへー 
アバプロやテモカプリルは血管収縮ホルモンのアンジオテンシンⅡを抑えますが
このホルモンは入り口も出口も収縮させ、出口を収縮させる方が素早くて強いので
アンジオテンシン抑制薬は、出口を広げる作用が強く、糸球体内圧を下げるのです

「腎臓にはアンジオテンシン抑制薬が一番良いと言われる所以ね」  スマイル  
けれども一方で、腎臓には元来、糸球体内圧を一定に保つ自動調節能が備わっています
全身の血圧が上昇した時に、糸球体内圧も連動して上昇してしまうと、濾過量を一定に
保てませんので、輸入細動脈には、全身の血圧上昇を感知すると血管平滑筋を収縮させて
糸球体内圧を一定に保つ機能が備わっており、これを筋原性の自動調節能と呼んでいます

「全身の血圧に簡単に左右されないように、腎臓自治区の様になっているのね」  かおまる  
逆に、糸球体内圧が下がり過ぎると今度は、濾過量が少なくなってしまいますので
腎血流量が減った場合には、出口側の輸出細動脈が閉じて糸球体内圧を保とうとします
アンジオテンシンⅡはそういう場合に活躍する、血管収縮ホルモンなのです

「糸球体内圧が低過ぎても良くないんですね~そう言えば、本来腎臓に良いはずの かおまる
アンジオテンシン系抑制薬でも、腎臓を悪化させる場合もあると言われた事があります」

糖尿病でなくても、長年高血圧が持続すると、腎臓の血管が硬くなって腎硬化性腎症
なる場合があり、それだとアンジオテンシン抑制薬がかえって仇になる事もある様です
一般的に、腎症が進行すると糸球体濾過量(GFR)が減るのですが、GFRは
入り口の拡張か出口の収縮により増え、逆に、入り口の収縮か出口の拡張により減ります

「入り口のバルブを開き、出口のバルブを閉めれば、中の血液は増えますね」 かおまる
高血圧により動脈硬化が進み、腎臓への血液流入量が落ちると、アンジオテンシンⅡが
働いて出口を締め
、GFRが下がらないようにしているので、そのような時にARBや
ACEIを投与すると
、出口が開いてしまい、GFRが低下して腎不全が悪化します

「腎臓がパンパンに腫れるのも良くないけど、スカスカに萎むのも困りものなのね」  冷汗1  
アンジオテンシン系抑制薬によってGFRが低下しても、それは腎機能悪化を示すもの
ではく、一時的な現象
なので、長期的にはやはり服用した方が良いとされていますが
確かに、尿蛋白陰性の腎症の場合は、カルシウム拮抗薬の方が良いという説もあります

「主人も尿蛋白は出てないし、糖尿病腎症にしては進行が遅いので、もしかしたら  かおまる
高血圧のせいで動脈硬化を起こして、腎臓を悪くしているのかも知れないと言われました」

それで、先日血圧が上がった時は、アムロジピンの量を増やされたのかも知れませんね
糖尿病性腎症ですと、Hyperfiltrationと言って初期は糸球体内圧が上がり
一時的にGFRが上昇しますが、それは良い意味での上昇ではなく、糸球体への負担となり
腎機能を悪化させますので、糖尿病性腎症にはアンジオテンシン系抑制薬が有用なのです

「現実的には、糖尿病性なのか腎硬化性なのかは、区別が付き難いそうですね」  かおまる
ですから、家庭血圧を測定して、様々な変化に迅速に対応する事が重要なのです

「私みたいに神経質な性格で測っているのとは、ことの重大さが違うみたいね」   かおまる  
ARBとACEIでは、どちらか片方でも良いのですが、併用すると腎症進展抑制効果
高まるとも言われ、さらに、腎症では血圧を下げる必要がある一方で、難治性高血圧に
なる事も多いので、2~3種類位の降圧薬を併用して安定させるのが一般的です
又、胆汁排泄型のARBは良いのですが、腎排泄型が多いACEIは銘柄にこだわった
方が良いそうで、ご主人には胆汁・腎排泄型のテモカプリルが出ていますね

「糖尿病薬も、腎臓に優しいと言う事で選ばれた、トラゼンタをのんでいます」  スマイル2  
トラゼンタも、腎排泄型ではなく胆汁排泄型なので腎症の方も安心してのんで頂けます

「ですけど、この系統の糖尿病薬では低血糖には殆どならないと言われましたのに  かおまる    
最近HbA1cが低くなってきたせいか、低血糖になる頻度が増えたような気がするんです」

腎機能悪化により、インスリン分解能や、糖尿病薬の代謝不活化能も落ちますので
HbA1cが下がっても、必ずしも糖尿病改善とは連動しておらず、糖尿病の指標として
グリコアルブミン等他の検査値を用いるべきとの意見もあります

「主人は時々、グリコアルブミンも測って貰っている様です」  かおまる  
他にも、腎機能低下により低血糖になる理由として、糖新生が減るという事があります
血糖は、食事からの糖質摂取がストップする夜間などは、グリコーゲン分解ではなく
蛋白質や脂質を分解する糖新生によって維持されていますが、糖新生の90%は肝臓が
残りの10%は腎臓が担っており、絶食が長引くにつれて、腎臓での糖新生の比重が
大きくなって、全てのグルコース産生の40%を占めると言われています

「腎臓って本当に色々な仕事をしてくれているのね、労わってあげないといけないわ」 かおまる  
低蛋白食もとても有効ですから、お薬だけに頼らず、食生活にも気を配って下さいね






(参考)
①持田製薬 アテレックGL 第6章 臓器障害を合併する高血圧 3.腎疾患
②My Med  高血圧性腎硬化症
③日本腎臓学会・日本高血圧学会編 CKD診療ガイド―高血圧編―
他・・・今回は、腎臓専門医の講演の内容をベースに、自分でも色々と調べました

腎臓専門医曰く「輸出細動脈がアンジオテンシンで閉まっているのが諸悪の根源」
なのだそうで、やはり、アンジオテンシン系阻害薬は重要なんですね
とは言うものの、ARBで腎症を作っていたのではないかという症例もあるそうで
腎症は奥が深すぎて、難しいです~

その医師によると、アンジオテンシン系阻害剤とDPPⅣ阻害剤の普及によって
糖尿病腎症による透析導入患者さんが一直線に増加していたのに
若干歯止めがかかり
、フラットになったそうです(50%→44%)


当薬局には、腎症で、アダラートCRとアムロジピンのカルシウム拮抗薬二丁拳銃
という人が二人もあり、余程血圧が下がらないんだなと思います

それと、めまいを気にして血圧上がってしまった老婦人が「もう血圧を測るんじゃない」
と医師に叱られた、と悲しそうに話しているのを聞いて面白かったので記事にしました

とても、ラブリーなおばあちゃんなのです


腎機能低下により腎分泌のエリスロポエチンが減少すると腎性貧血になりますが
先日、東京オリンピックを目指す次世代アスリート達が、わざと低酸素の中で走る事で
自前のエリスロポエチンを増やす運動をしている、というのをテレビで観ました

人工透析している人達は、エリスロポエチンを注射で補いますが
若く丈夫な人達は、体をイジメるとエリスロポエチン増やせるんですね





熊本の地震、早く収まって欲しいですね
NHKの『ブラタモリ』で、先日、美しい熊本城や、素晴らしい治水の工夫
などについて観たばかりだったので、とても残念です
加藤清正もあの世から心配してくれているかもですね



先日、娘にマッシュポテトのオーブンで焼いたの美味しいよね?
と聞いたら、ジャガイモ好きの娘が食べた事無いと言うので、作りました
マッシュポテト

娘に多肉の寄せ植えを作ってあげました
寄せ植え

遅ればせながら、二週間前、多肉植物を買いに行く途中で観た桜です
桜20161 桜20162
桜20163 桜20164



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プロフィール

フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

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エコライフ

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