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絶妙な匙加減で毒を薬にする

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~



 
長年糖尿病で通院していらっしゃる 鼻祖 風呂朗(びそふろろう) さんは
呼吸が苦しくなって入院され、慢性心不全と持続性心房細動の併発と診断されました

「孫が喘息発作起こした時と同じ起坐呼吸になったので、呼吸器かと勘違いした」  かおまる  
寝ているよりも座っている方が呼吸が楽だと、つい座った体勢をとってしまいますが
これを起坐呼吸と言い、気管支喘息に特徴的な症状ですが、心不全でも起こります

「心臓と肺は近いから、悪くなった時の症状も似通っていて判別し難いんだそうだ」  汗 
血液は、肺で酸素を受け取った後、心臓のポンプ力によって全身を循環して酸素を届け
ますので、協力し合って働く関係上、二つの器官はお互いに影響を及ぼし易いのです

「糖尿病は心臓にも良くないと聞いたが、二つも心臓病を抱え込む事になるなんてな」  冷汗4
心不全も不整脈の心房細動も加齢と共に増え、お互い同士が悪化の原因なので
現代の高齢化社会では、糖尿病でなくても、その二つを合併している人は多いですよ

「増え過ぎた心拍数を減らす為に、入院当初はジゴキシンという薬をのんでいた」  かおまる
心房細動の治療法にはレートコントロールリズムコントロールの二つあり、前者は
不整脈は止めないで心拍数だけをコントロールし、速くなり過ぎないようにする方法
後者は不整脈を止めてリズムそのものをコントロールする方法ですが、ジゴキシンは
迷走神経や房室結節へ作用して心拍数を減らすので、レートコントロールに使われます

「ジギタリスという植物から発見された薬で、二百年も前からある古い薬なんだってね」  かおまる  
ジゴキシンは、イギリスの民間療法で浮腫みをとる薬として使われてきたジギタリスから
分離される成分の一つで、植物を自然乾燥ではなく迅速に加熱乾燥する事で、有効成分の
強心配糖体の分解を防いで消化管での吸収を良くし、効力を発揮出来ると言われています

「量が多過ぎると逆に不整脈になり、医者の匙加減がとても難しい薬なんだそうだね」  汗5 
有効安全域が狭いジゴキシンは、薬物治療モニタリング(TDM)をして、薬物血中濃度
を測定しつつ投与するよう推奨されているお薬でもありますが、心筋細胞にカルシウムを
取り込んで、心臓の収縮力を強くする
強心作用もあり、何と、心不全にも効くんですよ!

「僕みたいに、心不全と心房細動を併発した人には便利な薬なんだろうが、かと言って  かおまる
あまり長く使う薬ではないと言われて、心拍数が100になった所で薬が変更になった」

ジゴキシンは、1991年に米国のブッシュ大統領が不整脈と心房細動を起こした時にも命を
救ったお薬ですが、最近の研究でジギタリス製剤の長期投与は心不全の予後を改善させないと
判って来た為、継続治療には交感神経を鎮めて心拍数を減らすβ遮断薬が良いとされています

「カルベジロールという薬を始めて、少しずつ増やして行き、最後にジゴキシンはやめた」えへ3
陰性変力作用のあるβ遮断薬は心臓の収縮力を落としてしまうので、単純に考えると心不全には
不向きなのですが、ジギタリス製剤の様な強心薬よりも、寧ろβ遮断薬の様な心臓を労わるお薬
の方が心臓保護作用に優れ、心不全の人が長生き出来るという事が、最近判って来たのです

「でも、いきなり変えると危険なので、切り替える時にはとても気を遣うそうだね」  かおまる  
β遮断薬を漸増して、強心薬を漸減すれば、心不全を悪化させないで、両者を置き換えられます

「心臓の病気って、医者の匙加減が大変なんだね~~だが、カルベジロールでも心拍数が  かおまる   
目標値迄下がりきらなかったので、次には、ビソプロロールという別のβ遮断薬になった」

カルベジロールもビソプロロールも心不全に良く使われるβ遮断薬ですが、カルベジロールが
心臓のβ1受容体以外にも、β2やα受容体に対しても遮断作用があってマルチβ1遮断薬
呼ばれるのに対し、β1遮断作用しかないビソプロロールはピュアβ1遮断薬と呼ばれます

「それで脈拍も落ち着いたので退院に漕ぎ着けたんだ、他にも3種類ものむ事になったけど」スマイル  
お薬手帳を見ると、他に、エナラプリルとスピロノラクトンとアゾセミドが出ていますね
慢性心不全では、交感神経系以外にも、レニン‐アンジオテンシン­アルドステロン(RAA)
系というホルモン系統が異常に頑張ってバックアップする代償反応で、ポンプ機能の落ちた
心臓を補っていますが、皮肉にもこの代償反応が、心不全を悪化させている主因なのです

「へばった心臓を無理やり頑張らせた結果、疲労困憊させてしまっているんだろうね」  かおまる
そこで、β遮断薬だけではなく、RAA系を抑制するお薬も、心不全治療には不可欠です
ACE阻害薬と呼ばれるエナラプリルは、アンジオテンシンⅠをアンジオテンシンⅡに変換
するアンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害する事で、又、スピロノラクトンは
最下流のアルドステロンを止める事で、RAA系を抑えて、心臓を労わる効果があります

「でも薬の説明文には、スピロノラクトンは『浮腫をとる利尿剤』と書いてあるよ?」  ブー1
アルドステロンは体内の水分を増やすホルモンですので、それを抑えるスピロノラクトンは
利尿剤としても使われますが、最近になって心不全の死亡率をよく下げる事が判りました
ACE阻害薬だけですと、RAA系最終産物のアルドステロンを補おうとする代償反応が
起きて
アルドステロンの分泌が増えてしまう、アルドステロン・ブレイクスルーになる恐れ
があるので、場合によっては最終産物のアルドステロンそのものを止める必要があるのです

「東京大阪間の新幹線を止めたい時、名古屋で封鎖しても、その先でピストン輸送したら  かおまる 
一部は大阪に着いちゃうから、ダメ押しで京都でも封鎖する、っていう感じかな?」

スピロノラクトンは、利尿作用は弱いのですが、カリウム保持性利尿剤とも呼ばれ、他の
利尿剤の多くはカリウム排出性ですので、利尿剤同士の併用に重宝されるお薬でもあります

「入院当初は、浮腫みが酷かったので、フロセミドという強い利尿剤を大量にのんでいた」うへー
フロセミドは、腎臓のヘンレループに作用するループ利尿薬で、利尿効果に優れますが
それだけで浮腫みが取れないと、遠位尿細管に働くサイアザイド系利尿剤を併用する事もあり
サイアザイド系は、利尿効果はループ利尿薬より弱いものの、降圧効果も併せ持ちます

「入院当初はフロセミドの点滴もしていたが、体重がみるみる10キロ以上減ったよ」  かおまる  
心不全による体重増加は、浮腫みによるものですので、利尿剤によって急激に改善されます
しかし、最近になって、ループ利尿剤を長年使っていると、慢性心不全が逆に悪化してしまう
傾向があり、しかもループ利尿剤の使用量が多い人程、悪くなると言う報告がされています

「フロセミドのお陰で随分呼吸が楽になったけど、あれも長くのんじゃダメな薬なんだね」かおまる  
ループ利尿剤によって、RAA系や交感神経系が活性化されて、腎臓にも負担がかかるから
ではないかと言われていますので、慢性心不全で利尿剤を服用する場合は、RAA系抑制剤や
β遮断薬を服用した上で
それでもまだ浮腫みが解消できない場合に限る、とされています

「僕はうっ血が酷くて利尿剤も必要だったので、アゾセミドという利尿剤をのむ事になった」かおまる  
アゾセミドもループ利尿剤の一種で、フロセミドは短時間作用型ですが、アゾセミドは
長時間作用型で、レニン分泌刺激が弱く、RAA系や交感神経系を活性化し難いとされます

「僕は入院前する前迄、降圧薬としてβ遮断薬のアテノロールをのんでいたよね?」  かおまる  
糖尿病の方は自律神経障害を合併して、心拍数が上がって高血圧になっている場合があり
自律神経を抑制するβ遮断薬は、その意味では糖尿病にふさわしい降圧薬でもあります

「してみると、僕は期せずして、心不全に良い薬をのんでいた事になるんだね」  えへ5
β遮断薬の全てが、心臓を保護して心不全の予後を改善し、心房細動を減らす訳ではなく
カルベジロールやビソプロロール等の脂溶性β遮断薬だけで、報告されている効果でして
残念ながら、アテノロールの様な水溶性β遮断薬には、その効果は期待出来ないそうです

「つまり、β遮断薬には、降圧薬になるものと、心不全の薬になるものと、あるの?」  かおまる 
心不全改善効果は脂溶性β遮断薬に限られ、降圧効果は全てのβ遮断薬にあります

「じゃ、血圧が低いのに心不全という人は、血圧が下がり過ぎて困るかもね?」  かおまる
そうですね、ACE阻害薬にも降圧効果がありますので、正常が血圧で心不全という方は
低血圧でお困りの方もいらっしゃいますね






(最近の感想)

循環器専門医からの処方箋では、最近ラシックスが減り
ループ利尿剤でもダイアートやルプラックだったり
サイアザイド系のフルイトランやナトリックス辺りが出る様になった気がします


とある患者さんが、4月から始まる『かかりつけ薬局制度』の記事を新聞で読んだそうで
「僕は是非この薬局にお願いしたい」と言われた時は、有難くて涙が出ました


当薬局では、イナビルを薬局内で吸入して頂いていますが、拝見していると
患者さんの肺活量が良く分かりますね~
肺活量が異常に良い人を見ると、吹奏楽部だったのかな? と想像してしまいます





多肉の綺麗な季節です      カラフルになっています

く  か
あ  き
い  お




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プロフィール

フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

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