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かも知れない治療

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~



 
電気工事士の 麗須日 羅鳥(れすぴらとり)さんには悩みがあるそうです

「気管支が弱くてよく風邪をひくんだけど、風邪薬をのんでいても拗らせたりすると  かおまる
菌が肺にまで降りて行ったら大変だという事で、強い抗菌剤に変わるじゃない?」

かかりつけの内科医は、通常の抗菌剤をのんでいたのにも関わらず、風邪が悪化して
しまうと、肺炎予防を考慮して、ニューキノロン(NQ)系の抗菌剤に移行されますね

「その強い抗菌剤が、痛み止めと相性が悪いって言われたので、強い抗菌剤のんでいる  うへー
うちは、整形の痛み止めはのまないようにするから、その間腰が痛くて困るんだよ」

確かに、NQ系抗菌剤は、整形外科から処方される非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS)
と呼ばれる鎮痛剤と併用すると、痙攣を起こす危険性が高まると言われていますね

「仕事柄無理な姿勢で長時間作業していると腰に来るので、時々はのみ薬だけじゃなく  泣き1
ジクロフェナク坐剤のお世話になる事もある位だから、痛み止め使えないのは辛いよ」

ですが、麗須日さんがいつも処方されているレボフロキサシンというNQ系抗菌剤
ジクロフェナクというNSAIDSでは、併用による痙攣発作の頻度増加は殆ど無い様です

「一緒にのんでも、副作用になり易い組み合わせと大丈夫な組み合わせがあるの?」  かおまる
NQ系抗菌剤とNSAIDSとの併用による痙攣の副作用について調べました所
お薬の種類によって副作用の頻度が違い、NQ系抗菌剤の中ではフルマークというお薬で
NSAIDSの中ではナパノールというお薬で一番頻度が高く、どちらも古くて既に販売
されていないお薬で
ジクロフェナクはNSAIDSの中では一番安全だそうですよ

「良かった、じゃ今度からは、遠慮なくジクロフェナク坐剤を使わせて貰おう」  えへ4  
そもそも、NQ系抗菌剤そのものが、脳内でγ-アミノ酪酸(GABA)という物質が
GABAA受容体にくっつくのを妨害するので、単独でも痙攣を起こし易くするのですが
この副作用をある種のNSAIDSが増強するので、併用しない方が無難なのです

「GABAA受容体って、腰痛で眠れなくて出された睡眠剤の説明の時に聞いた名前だ」  かおまる  
GABAA受容体刺激剤ベンゾジアゼピン系薬は、睡眠剤として使われる事もありますが
別のベンゾジアゼピン系薬では、筋弛緩剤として癲癇に処方されるお薬もあります

「GABAA受容体を止めると、興奮して眠れなくなったり、痙攣したりもする訳だ」  汗5 
お調べした限りでは、持病として癲癇等の疾患のない人には、レボフロキサシンと
NSAIDSの併用で、殆ど痙攣の頻度に影響しないことが報告されているそうです
逆に癲癇のある人は、レボフロキサシン単独であっても痙攣を起こす可能性があります

「NQ系みたいな強い薬は痙攣が恐いから、肺炎でも最初からは使わない方が良いの?」  かおまる
レボフロキサシンは、NQ系の中でも特に呼吸器感染症に向く、レスピラトリー(呼吸器系)
キノロン(RQ)と呼ばれる抗菌剤
で、この系統のお薬は、抗菌活性や呼吸器組織への移行
に優れ
、肺炎球菌、インフルエンザ菌、クレブシエラ菌、黄色ブドウ球菌等による細菌性
肺炎
にばかりではなく、マイコプラズマやクラミジアやレジオネラ等が原因の異型肺炎にも
有効
なので、殆どの肺炎の病原菌をカバー出来て肺炎の第一選択薬とする医師も多いです

「それでも、うちの婆ちゃんが、二週間も風邪を患ってて、肺炎の疑いがあるという事で  かおまる 
緊急入院した時は、癲癇でも無いのに、最初からは強い抗菌薬は使えないと言われたよ」

最初にRQ系薬を投与すべきかは、呼吸器専門医と一般医で意見の分かれる事でもあります
一般医は、病原菌の検査結果が出る前に、菌の当りを付けて、とにもかくにも治療を開始
しなくてはならないプライマリケア医としての使命があり、これをエンピリック(経験的)
治療
と言いますが、RQ系薬は肺炎のエンピリック投与には最適な抗菌剤と言えます

「でも、婆ちゃんが、呼吸を楽にする吸入薬を使っている事が、問題視されてね」  汗 
麗須日さんのお母さんは、慢性閉塞性肺疾患でアドエアという吸入薬を使っておいでですね

「アドエアにはステロイドが入ってて結核になり易くなるそうで、痰を検査されたんだ」冷汗1  
慢性閉塞性肺疾患や喘息で、吸入ステロイド治療を受けている場合、肺結核になるリスクが
9倍
になり、さらに昔肺結核になった事もある人だと25倍にもなると言いますね

「婆ちゃんは結核患った事は無いけど、大事をとって『結核かも知れない治療』から始めた」かおまる     
肺炎が重症で無い場合は、抗菌薬の中でもRQ系薬より弱いマクロライド系とβラクタム系を
高用量で併用
しても、RQ系薬単独と同等の効果が上げられる場合があるようです

「痰や胸のレントゲン検査の結果、結核で無いと分かってから、やっとRQ系薬になった」かおまる  
結核でさえ無ければ、やはり、RQ系抗菌薬は一番優れた肺炎治療薬ですからね

「結核菌には効かないけど、その他の肺炎の菌には抜群に効くんだものね」  えへ5
RQ系薬は結核菌にもある程度は効くのですよ、それがかえってまずいのです

「結核にも効くんなら、最初からRQ系使ってくれたって良さそうなものじゃないか」  ブー1
確かに、肺結核で、最初からRQ系薬を投与されていた方が、最終的な死亡率が低かった
というデータもあるのですが、一般的には、最初にRQ系薬を投与するのは危険なのです

「そう言えば、RQ系薬をのんでた人は、痰に結核菌が出て来ない、って言ってたな」  かおまる  
RQ系薬を投与されていた結核患者さんでは、喀痰中結核検査の陽性率が73%低下する
そうで、RQ系薬を使っていない場合は、平均で入院5日後から結核治療を開始するのに
対し、発見が遅れる為に治療開始が21~34日も遅くなってしまうとされています

「それじゃ、結核が進行してしまうだろうが、でもRQ系だって結核に効くんでしょ?」  かおまる
RQ系薬は抗結核作用もあるので、投与3日後で症状が軽快しますが、その後結核菌が
RQ系薬に対し耐性化して再増悪
すると言われ、確定診断の遅延と相まって、実際に
結核診断前のRQ系薬投与により死亡リスクは1.8~6.9倍に迄跳ね上がるそうです

「そりゃ恐い数字だな、やっぱり『結核かも知れない治療』から始めるのが妥当だね」 かおまる
しかも、不利益を被るのは患者さんのみでは無く、ご家族や同室の患者さんや医療関係者等
周囲の人々にも結核感染リスクが及び免疫力の弱い他の入院患者さんが命を落としたり
病職員さんがQFT陽転化
したり、という事もあったので、とある救急病院の診察室には
肺炎患者さんに最初からRQ系薬を処方しないようにと、貼り紙がしてあるそうです

「他人に迄も迷惑がかかるから、最初からRQ系薬を使うのはダメだと言われるんだね」 かおまる   
ですから、重症肺炎患者さんに止むを得ず最初からRQ系薬を投与する場合
予め結核の可能性も考慮して検査を行い、結核と診断されたら直ちに抗結核薬併用療法に
切り替える
という善後策をとられるようですね







(参考)
①呼吸器感染症の外来治療における経口キノロン薬の使い分け 
大阪大学 朝野和典 2015.5.13 感染症TODAY 
②大阪のER専門医のブログの、2013.8.8付のエントリー


(注1)
GABA受容体にはAとかBとかあるようですね

(注2)
ラット脳の実験では、NSAIDS中、ボルタレンが、GABA受容体への結合占有率
=遮断率が低く一番安全
で、フェンブフェン(ナパノール:現在発売中止)が一番悪いそうです

NQ系抗菌剤ではエノキサシン(フルマーク:現在発売中止)が一番悪いそうです
エノキサシンとフェンブフェンの併用で痙攣の報告があるそうです

NSAIDSでは、ザルトプロフェン、ロキソプロフェン、ロルノキシカム、ジクロフェナク
の順にレセプター遮断率が低いそうで、ラット脳実験と人間が同じと仮定すれば
この4つはNQ系抗菌剤単独と痙攣の発生頻度が変わらないそうです

併用によって遮断率が上昇するのは、プルリフロキサシンとフェンブフェン、
エノキサシンとフェンブフェン、ノルフロキサシンとフェンブフェン
の3つのみ

よって、NSAIDSとNQ系抗菌剤の併用がダメという単純な話ではなく
ロキソプロフェンとレボフロキサシンでは痙攣を起こしやすくすると言うデータは無いそうで
逆に、レボフロキサシン単独でも痙攣を起こす可能性があるようです

(注3)
クラビットの使用成績調査による、痙攣など中枢神経系の副作用の発生頻度は

NSAIDSを併用していない場合0.12%
フェニル酢酸・プロピオン酸系のNSAIDSを併用していた場合0.18%
その他のNSAIDSを併用していた場合0.09%


この結果から、痙攣の発生とNSAIDS併用の有無や種類には関係が無く
クラビット単体でも起こり得る可能性があるとしています 

又、癲癇等の基礎疾患を持っていない人にとっては、クラビットとNSAIDSの併用は
ほとんど副作用の頻度に影響しないことも
報告されているそうです
( 日本化学療法学会雑誌:2006) 

(注4)
誤嚥性肺炎の起因菌は嫌気性菌で、レスピラトリーキノロンの効果が無いそうです

(注5)
2011年頃にマクロライド耐性マイコプラズマが全国的な広がりを見せ
その為、NQ系抗菌剤が濫用される様になったそうですが
マクロライド耐性マイコプラズマを想定してのNQ系抗菌剤のempiric投与は危険であり
又、マイコプラズマ気管支炎であれば抗菌薬は不要であることが多いそうです






  先週末、実家にお正月のご挨拶に行きました

  三寺参りという、いわゆる、今でいう、街コンの様な行事があります

  例年ですと、実家の辺りは今頃雪深く、街角に雪で作った大きなろうそくを
  何本も立てるのですが、暖冬の今年はあいにくの雪不足で、
  高い山から雪を運んで来て、やっとの思いで作ったそうです

 三寺参り28年1月う


  懐かしいJR沿線風景   山岳地帯なので水は綺麗です

 高山線28年1月  高山線28年1月い


  帰りは富山経由で、駅で新鮮なお寿司にありつき、お土産も買いました

   富山寿司屋28年1月え  鹿の子餠28年1月お


   最近の紅葉した多肉

   多肉紅葉28年1月き   多肉紅葉28年1月か
   多肉紅葉28年1月く   多肉紅葉28年1月け




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プロフィール

フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

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