アレルギーだと思ったら感染症かと思ったらやっぱりアレルギー

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~





定期的に皮膚科に通院していらっしゃる 跡灯 佳夕美(あとひかゆみ)さんは    
アトピー性皮膚炎(AD)の症状に応じて、ステロイド外用剤のマイザー軟膏と
ステロイドと抗生物質の合剤のリンデロンVG軟膏を使い分けていらっしゃいます

「マイザーの方が強いステロイドなのに、リンデロンVGの方が効く気がするの」  かおまる
マイザーはVery Strong、リンデロンVはStrongのステロイドですが
皮膚に常在する黄色ブドウ球菌の異常増殖が、AD悪化に拍車をかけると言われて
いますので、リンデロンVGの抗生物質ゲンタマイシンが効くのかも知れませんね

「アトピーの為に肌の清潔には結構気を付けてるのに、それでもばい菌がいるのね」  汗5 
健康な皮膚でも一定量の皮膚常住菌はいますし、中には同じブドウ球菌でも
皮膚を弱酸性に保ってくれている、表皮ブドウ球菌という善玉菌もあるんですよ

「アトピーだと肌がアルカリ性に傾き易いから、弱酸性にしてくれる菌は助かるわ」  えへ4
ADの人の皮膚は、掻破などにより浸出液や血液が滲み出る為アルカリ性となり易く
そうなると尚更、アルカリ性に強い悪玉の黄色ブドウ球菌にとって有利になります

「掻き崩した傷口から黄色ブドウ球菌が入って、とびひになったこともあるわ」  かおまる  
とびひは小児に多い皮膚感染症ですが、大人でも免疫力が落ちていると発症します
黄色ブドウ球菌はとびひを起こすだけでなく、エンテロトキシン等の毒素も出します
その毒素はアレルゲンとして痒みや炎症を悪化させる他に、スーパー抗原にもなるのです

「抗原って、それに対抗して抗体を作って排除すれば、別に恐く無いじゃない?」  かおまる
スーパー抗原は、特異性の高い正規の抗原抗体反応を経ずにT細胞を活性化するのです
通常異物が体内に侵入するとまず、抗原提示細胞に取り込まれて、T細胞やB細胞に
抗原提示されますが、スーパー抗原は体内侵入後すぐにT細胞を活性化してしまいます

「家宅侵入後、名乗りもせず急に殴りかかって来る暴漢みたいな、失礼千万な奴ね」  かおまる  
しかも、通常の何万倍ものT細胞を刺激するので、過剰なサイトカインを放出して
散々体を傷つけ、さらに負のフィードバックでT細胞を抑制し免疫力を低下させます

「それじゃ、スーパー抗原って役に立たないし、むしろ外敵の味方してるじゃない」  驚き1  
スーパー抗原は、病原菌が人の免疫系に対する自己防衛策として出しているのだそうです

「敵にわざと自分の情報を大量に漏えいして、混乱を起こさせて撹乱する作戦ね」  ブー1
ADが難治化した場合、スーパー抗原が原因なのかどうかは、黄色ブドウ球菌の毒素の
エンテロトキシンAやBについてのRAST値
を検査すると分かるようです

「そう言えばとびひを拗らせた時、検査で黄色ドウ球菌の毒素にアレルギー反応が出て  かおまる
抗生物質をのんだけど、ばい菌を殺す薬で痒みが楽になるなんて不思議だと思ったわ」

確かに、ADにとびひを併発して、クラリスを一週間処方された事がありましたね

「抗生物質でアトピーが良くなるものなら、定期的にのみたいな~」  えへ5 
抗生物質を連用すると、善玉菌も死滅して、腸内細菌叢が乱れ、下痢やアレルギー悪化
を招く事もありますし、耐性菌と呼ばれる抗生物質の効かない菌が増えてしまいます

「知ってる! MRSAというんでしょ? そんなのにかかったら大変ね!」  驚き1
実際は、MRSAは感染力が弱く、健常な皮膚に付着しても病原性がないのですが
重症化したADでは感染し易く、そうなると有効な抗生物質が限られて厄介なのです
外用の抗生物質も連用により耐性化の恐れがあるそうで、他にはイソジン液や強酸性水
で患部を消毒するのも有効で、イソジン液の場合は塗布後3分程度で洗い流します

「ステロイド塗っていると免疫力が落ちるから、菌には弱くなる宿命なのね」  かおまる  
AD重症化には、黄色ブドウ球菌やヘルペス等、何らかの感染症が絡んでいるそうです

「ヘルペスウイルスが原因でカポジにもなったことあるわ、プロトピック軟膏で」  冷汗2
プロトピック軟膏は、T細胞活性化を抑える免疫抑制剤タクロリムスを、AD治療薬に
流用したもので、皮膚萎縮、毛細血管拡張等のステロイド軟膏特有の副作用の心配は
無い
ものの、免疫抑制力がステロイドよりも強い分、感染症には弱くなります

「てっきりアトピーが悪化したと思って、ステロイドを塗り続けて酷い目にあったわ」  汗 
カポジ水痘様発疹症は、単純ヘルペス既往感染者で、皮膚機能が弱った時に発症する
発熱・倦怠感・リンパ節腫脹を伴う水疱症で、ADの人ではなり易く、AD重症化との
判別が難しい為、ステロイドを継続して悪化させる人も多いので注意が必要です

「ヘルペスウイルスに効く、バルトレックスというのみ薬をのんでやっと治ったのよ」  かおまる   
カポジを発症すると、抗ウイルス剤の外用だけでは治らず、内服が必要で、重症例では
点滴が必要となり、更には溶連菌感染症も合併して、抗生物質も併用する場合もあります

「アトピーはアレルギーだけど、色んな感染症を併発し易いから診断が難しいわね」  かおまる
純粋なADなら軽症で済みますが、黄色ブドウ球菌や溶連菌等の細菌類によるとびひ
単純ヘルペスによるカポジ、カンジダ等の真菌感染症、更にこれらの感染症が混在して
重症化すると、皮膚科専門医でも判別には苦慮し、治療も一筋縄では行かなくなります

「しかも、菌がスーパー抗原を出して、アレルギー反応を暴走させる時もあるし  うへー   
感染でアトピーが悪化したかと思ったら、結局アレルギーだったって事もあるのよね」

通常、皮膚は抗菌ペプチドという自前の抗生物質を分泌して、常住菌叢を正常に保ち
バリア機能を保持していますが、ADの皮膚は健康な状態よりもバリア機能が低下して
感染症に罹り易いので、抗菌ペプチドを増産する事でバリア機能を補完しています
けれどステロイドを塗布するとせっかくの抗菌ペプチドが減少してしまうと言われます

「ステロイドフリーの治療にこだわる人は、そういう事迄考えているのね」   かおまる
ですが現時点では、迅速で有効なアトピー改善薬は依然としてステロイド外用剤です
それに、ステロイド外用剤で治療している人が突然中止すると、強いリバウンド現象
悩まされますので、止める時は医師の監視下で注意深く減薬を進める必要があります

「私は、今は、普段は保湿剤のヒルドイドソフトしか塗っていないの  スマイル2  
痒みが出始めたらステロイドを塗るんだけど、それも二週間以上は続けません」

症状が出た時だけステロイドを塗布するのをリアクティブ療法と言いますが
それで落ち着いているのでしたら副作用の心配もありませんし安心ですね







今回は、メーカーのHP、皮膚科専門医やアトピー克服患者さんのブログを参考にしました

ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(Staphylococcal Scalded
Skin Syndrome:SSSS )
と言う、黄色ブドウ球菌の毒素が
スーパー抗原となって、皮膚がやけどの様に爛れて剥離する重症感染症があり
これはADにとびひを併発してなり、MRSAが原因になっている事が多いそうです







初めて勤務したのが皮膚科専門医の門前の調剤薬局でした
医師は進取の気性に富んだ人で、だからこそ医薬分業が珍しかった頃
先駆けて分業に踏み切ったのですが、それだけ勉強熱心な方でもありました

アトピーの原因が、黄色ブドウ球菌の異常増殖による、皮膚常住菌叢の
バランスの崩れ
だったとは、当時の皮膚科医学では想像だに出来ない事だったのか
名医の誉れ高かったあの時の医師は、薄々気づいていらしたのか
恩師の医師と当時を振り返って、話をしたい気分になりました



北陸新幹線開通のおかげで、実家に行くのが二時間近く時短になりました
早速、先日帰郷しました
すると庭で多肉植物のセンベルを発見!

それは幼い頃に見た覚えのある懐かしい植物でありました
母に聞くと、祖父が植えたとのこと

私が多肉植物好きになったのは、おじいちゃんのせい だったのか~

なんだ~幼い頃の刷り込みのせいだったのか~と、責任転嫁しつつ
群生しているセンベルの中から少し貰って帰りました
(また増やすのか・・・)


多肉植物も結構綺麗な花を咲かせます

 多肉花7  多肉花6
 多肉花3  多肉花1
 多肉花5  多肉花8
 多肉花2


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プロフィール

フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

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