こう見えて実はⅠ型

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~






糖尿病でインスリン治療をしていらっしゃる 木曽賀 泰雪 (きそがたいせつ)さん
基礎インスリンをランタスからトレシーバに切り替えて二カ月経過しました

「トレシーバ効果がジワジワ現れて来た様で、今月のHbA1cは6.2%だった!」  えへ4 
ランタスの頃は大体7%前後でしたので、1%弱も下がった事になりますね

「ランタスの前にノボリンNだった頃は8%だったから、当時と比べたら格段の進歩だな」  かおまる
インスリンには食後の血糖上昇に応じて出て来る追加分泌と、四六時中継続して出ている
基礎分泌があり、全分泌量に占める基礎分泌の割合は50~60%と言われていますので
血糖コントロールを安定させるには、基礎部分を平坦に保つ事が肝要だと言われています

「糖尿病手帳で6%代の数字を見られるようになるなんて、夢の様だよ~」  えへ5 
NPH製剤からランタスとなり、さらにトレシーバへと、基礎インスリン製剤の効果が
平坦で持続性が良くなるのと歩調を合わせるように、HbA1cも下がって来ているんですね

「ご飯食べると血糖上がるのは分るけど、食べてない時もインスリンが必要とはね~」  かおまる
食事で吸収されたブドウ糖は、追加分泌のインスリンによって、半分は一旦肝臓に取り込まれ
残り半分は全身の細胞に取り込まれて、食後血糖は速やかに140mg/dL以下に下がります

「僕はその追加分泌が足りないので、超速効型のアピドラというインスリンで代用している」  かおまる
一方安静時や就寝時でも、生命維持の為には一定量のエネルギーが必要ですので、肝臓は
食事で得たブドウ糖を全身に向けて放出し続け、それが過剰にならない様に制御しているのが
インスリンの基礎分泌で、インスリンのおかげで全身の組織はブドウ糖を取り込めるんですよ

「脳はブドウ糖しか利用出来ないから、低血糖になると思考力が落ちるもんね~」  かおまる
脳細胞や赤血球等の特殊な細胞は、インスリン非依存的にブドウ糖を取り込めますが、それは
脳がエネルギー供給を失うと、呼吸中枢も止まってしまい命にかかわるからなのです

「血糖が下がり過ぎると、植物人間になったり、最悪の場合死亡するのはそういう理由なんだ」  冷汗2
そのように、生命維持に必須な血糖ではありますが、それが過剰な状態が続くとそれはそれで
血管を傷つけてしまう
ので、インスリンの基礎分泌と追加分泌によって、糖尿病でない方の
血糖値は常に 70~140mg/dL の正常範囲に収まるように調節されているのです

「僕は基礎分泌も補わなくちゃいけないので、持続型インスリンも注射せざるを得ないんだ」  えへ3
基礎インスリンには肝臓の糖新生を制御し、空腹時血糖値を安定させる働きがあります

「道理で、ノボリンNがランタスになり、トレシーバになるにつれ起床時血糖が下がって来てる」  かおまる
NPH製剤はともかく、ランタスはほぼ24時間フラットに働く優れた持続型製剤ですけどね
確かに、グルコースクランプ法等の厳密な測定法で比べると、トレシーバの方が効果が長時間持続
すると言う結果が出ていますが、それはインスリン分泌の枯渇したⅠ型糖尿病の人での話です

「僕はⅠ型だよ、それに半年前まだランタスだった頃に、CGMで診たら案の定、ランタスを  ブー1
打つ直前2時間の血糖が300mg/dLに迄ハネあがって、効き目が切れているのが分った」

木曽賀さんはⅡ型糖尿病じゃなかったんですか?

「太ってるから、よくⅡ型と間違われるんだけど、こう見えてⅠ型なんだよね、実は」  かおまる 
成程、Ⅰ型でしたら、基礎インスリンが24時間フラットに持続する事は重要ですね~

「Ⅰ型と言われたのは前医での事で、今の医者に伝えたら、今からでは判別が難しいそうだ」  汗  
Ⅰ型糖尿病には三種類あり、劇症Ⅰ型日単位で突然発症し、急性発症Ⅰ型3カ月位で
インスリンが必要になり、緩徐進行型Ⅰ型糖尿病(SPIDDM)は、初期は食事や運動や
経口薬で治療可能なので、Ⅱ型糖尿病の様相を呈するけれど、GAD抗体等の膵島自己抗体が
持続的に陽性
で、緩徐にβ細胞が破壊されて行き、最終的にインスリン依存状態になるのです

「僕はどうも緩徐進行型らしいんだが、GAD抗体を測っても、今は陰性なんだよ」  汗5
GAD抗体は、膵島β細胞の破壊が進行中には高いのですが、破壊が終了した段階では
低下
してしまいますので、陰性でもSPIDDMを否定する事は出来ず、C-ペプチドを測定
して、内因性インスリン分泌の低下が確認
出来れば、SPIDDMの可能性はあるそうです

「それでも、糖尿病歴の長いⅡ型糖尿病の人でも、インスリン分泌が枯渇している場合がある  うへー 
もんだから、GAD抗体が一時期陽性だった事を証明しない限り、確定診断は難しいそうだよ」

まぁ、確定診断が出来なくとも、糖尿病歴が長くてインスリン依存状態になったⅡ型糖尿病
SPIDDMとでは、治療方法の面では、あまり変わりないとは思いますがね・・・

「前医の診断書が有れば証明出来るんだろうけど、その前医が突然病に倒れちゃったもんでね  かおまる 
今の医者も、たとえⅠ型と証明されたとしても、何の得にもならないから別に良いだろうって」

そうですね、小児のⅠ型糖尿病でしたら、特定疾患なので公費で面倒見て貰えますが
成人のⅠ型糖尿病は特定疾患の対象では有りませんし、逆に経口糖尿病薬の中には
Ⅰ型の人にも効果が期待出来るのに、Ⅱ型でしか適用をとれてない薬が沢山ありますからね

「今の医者も、僕がのんでいるネシーナも、Ⅰ型糖尿病だとのめない薬なんだと言ってた」  かおまる
ネシーナは、内因性インスリンの働きを強めるお薬なので、Ⅰ型の人には無意味な薬として
適応が有りませんが、グルカゴン抑制作用もあり実際はⅠ型の人にも効果が望めるのです

「ネシーナのんでいると血糖自己測定の値が10程下がるから、効き目は実感出来るよ」  かおまる
ネシーナの系統で効果が一週間持続する製剤が承認申請中ですが、Ⅱ型にしか適用無いでしょうね
3倍濃度にして持続性を改良したランタス製剤も申請中で、こちらはⅠ・Ⅱ型共適用あります

「ランタスの安定性には信頼感あるから、持続性が良くなるんだったら又使ってみたいな~  かおまる
のみ薬が週一回で済むなら楽だし、やっぱりこのまま隠れⅠ型で通す方が得策だね」

SPIDDMかⅡ型かで一番違うのは発症初期の治療方針で、Ⅱ型糖尿病の場合はまず
食事と運動の基本療法を励行し、その効果が不十分な時に経口薬やインスリンを導入しますが
SPIDDMは膵臓β細胞破壊の進行を抑制する為に、早期にインスリンを開始する方が
後々の経過が良いので、その為には早期にGAD抗体を測って病型診断する事が重要です

「僕みたいに太っている人は普通Ⅱ型と思われがちなのに、GAD抗体を測ってみようと思って  スマイル2 
くれて、Ⅰ型と分るとすぐにインスリンを導入した前医は、名医だったんだなぁ」

肥満型Ⅱ型糖尿病では、インスリン抵抗性が強い為、インスリン分泌能を示すC-ペプチドは
正常よりも高いのが普通で、肥満なのにC-ペプチドが低いとSPIDDMが疑われるそうです
木曽賀さんのC-ペプチド測ってみたら、見た目から想像されるよりも低かったのかも知れません
しかし、SPIDDMを早期に診断出来る医師は、やっぱり名医だと私も思います










糖尿病専門医の集まる勉強会に出させて頂いた時に、SPIDDMに詳しい専門医の
講演が有りまして、糖尿病発症患者さん全てに初回GAD抗体を測るのが理想と言われ
そんなの保険が通らないと、会場は喧々諤々でした
やはり、ある程度症例を絞ってGAD抗体を測るようです  

週一回投与のDPPⅣ阻害剤はMSDのオマグリプチンと、武田のトレラグリプチン

サノフィからランタス(グラルギン)の3倍濃度で、より平坦かつ持続性も高めた
Toujeo という基礎インスリンも発売されるようですが、トレシーバに対抗したのかと
思いきや、間近に迫ったジェネリック対策も含む様で、ヒアレイン0.3みたいな発想なのかな?
何にせよ、フラットな基礎インスリンの誕生は大歓迎です

追加分泌インスリンには肝臓でのブドウ糖放出を抑える働きもあります

小児Ⅰ型糖尿病も、27年1月以降は54になるんですかね~

CGMは持続血糖測定器の略です

グルコースクランプ法とは、インスリンを持続注射して体内のインスリン濃度を一定に保ち
(これをクランプと呼びます)そのうえでブドウ糖(グルコース)も注射して
血糖値を一定(90~100mg/dL程度)に保つようにする試験法です
因みに、私は絶対受けたくないと思う、ベッドに長時間縛り付け状態の検査です

膵島自己抗体にはGAD抗体の他にも、ICA、IAA等、あるそうです

早期からインスリン療法を導入することで、SPIDDMの膵β細胞機能の低下を
抑制できること
が Tokyo Study という前向き研究で報告されています

SPIDDM以外に、特殊な糖尿病の病型として、MODYというのも有ります






冬来りなば春遠からじ と言う事で、多肉植物の花芽の画像です
春にはお花咲くかな~?

 霜の朝花芽  モラニー花芽
 リタ花芽  デレッセーナ花芽



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フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

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