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脂肪も筋肉もダウンサイズ

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~




糖尿病で通院するお母さんを、毎月献身的に車で送迎していらした息子さんの
柄筋 慧留人(えすじえると) さんは、一年程前ご自身も糖尿病を発症し
以来、親子で一緒に受診されて、糖尿病治療薬をのんでいらっしゃいます

「糖尿病体質は遺伝するので、僕も時々HbA1cを測っていたんですよ」  かおまる
今回息子さんの方に、新発売されたスーグラというお薬が加わっていますね

「親子共々7%代ですが、お袋が先生に『低血糖が恐いから7%代で充分』と  かおまる
言われるのを聞いていたので、この程度で良いんだと安心していたんですけどね~」

それはお母様のような80歳代の方の、年齢や罹病期間を考慮した上での基準です
アメリカで一万人以上の糖尿病患者さんを対象に行われた大規模試験の結果
7%代よりも6%代に下げた方が逆に死亡率が高く、それが重症低血糖のせいでは
ないかと取り沙汰されたので、我が国の『熊本宣言2013』では、治療強化すると
低血糖になる恐れがある患者さんは、8%未満を目指せば良い事になりました

「僕みたいに若いのは、合併症予防の為に7%未満に抑えなくちゃいけないそうで  汗5  
新しい薬をのむ事になりまして、新薬なので一年間は二週間毎に通院するそうです」

スーグラは、今迄の糖尿病治療薬とは全く違う新しい発想SGLT2阻害薬というお薬です

「りんごの木から見つかった、尿に糖を出す物質が元になっているそうですね」  かおまる  
1835年にフランスの化学者がリンゴの樹皮から抽出したフロリジンという物質は
腎臓で、一旦濾過された原尿からブドウ糖を再び取り込む時の通路(チャンネル)で
引っかかり塞いでしまうので、糖の再吸収が妨害され、その結果血糖が下がります
この通路をナトリウム依存性グルコーストランスポーター2(SGLT2)と呼びます

「そんな昔に発見されたのに、薬になるのに180年もかかったんですね!」  かおまる  
フロリジンはSGLT1も阻害しますので、下痢を起こし実用には向かなかったのです
SGLTには1と2があり、1の方は小腸で食物のブドウ糖を体内に吸収していますので
これを阻害すると、αグルコシダーゼ阻害薬をのみ過ぎたのと同じ様な下痢になるのです

「αグルコシダーゼ阻害薬ってセイブルの事ですか、確かにあれは軟便になりますね」  かおまる  
そう言えば、柄筋さんは、一時期セイブルのんでいらした事もありましたね
スーグラは、フロリジンを改良してSGLT2だけを阻害するようにした物で
実は腎臓にもSGLT1は存在し、SGLT2がナトリウム1個で済む省エネタイプなのに
対し、SGLT1は2個必要とするのですがその分吸収力が強く、SGLT2は上流に
あって原尿中の糖の90%を吸収し、ブドウ糖濃度の薄くなった下流ではより強力な
SGLT1が、濃度勾配に逆らって残りの10%を吸収するという二段構えになっています

「上流で捕まえ損ねたものを下流で捕まえるとは、まるで流し素麺の様ですね」  かおまる  
SGLT2選択的阻害薬は、SGLT1による再吸収は残るので低血糖にはなりません

「先生にも、低血糖の心配が無くて、脂肪が減って痩せて、メタボ解消にも効く薬だと  スマイル2  
勧められたんですが、そんなに良い事ずくめなら、お袋にものませたいですね~」

SGLT2阻害薬は腎臓で作用しますので、腎機能が正常でないと効果が望めません
お母様はご高齢なので、腎機能が低下している恐れがあり、あまりお勧め出来ません

「お袋は年取ってるけど、クレアチニンは正常値で、腎臓は悪くないですよ」  かおまる  
腎機能が良くても、糖尿病歴が長いと、インスリン分泌が枯渇している恐れが有ります

「糖尿病になったのは50歳だから、インスリンの出は悪くなってるかも知れないな」  汗  
SGLT2阻害薬によって血糖が下がると、体は糖新生の為に脂肪や筋肉を分解します
それが、スーグラをのむと痩せる理由なのですが、この時インスリンが不足していますと
脂肪分解によって生じたケトン体の処理が追いつかずケトアシドーシスを起こします

「それって、意識が無くなって、下手すると死んじゃうやつでしょ、恐いですね~」  驚き1  
さらに、年齢と共に筋肉が減って身体機能が衰える現象をサルコペニアと言いますが
元々筋肉が少ない痩せ型の人がSGLT2阻害薬を服用すると、サルコペニアを助長
してしまい、運動能力が落ちて、転倒や骨折のリスクが高まる恐れがあります

「細くて力も弱いお袋は、体を動かすのが億劫になって来て、家では寝てばかりいますね」  かおまる  
又、尿中に大量の糖が排出されるので、細菌が繁殖し易くなり、尿路や性器の感染症
になるリスクが高まるので
、尿道の短い女性は特に注意が必要です

「お袋はしょっちゅう膀胱炎になるから危ないかも、一度腎盂腎炎にもなったし」  かおまる  
衛生環境の整った日本では、お風呂好き清潔好きな国民性もあって、外国より尿路感染症
の報告が少なかった
様ですが、やはり副作用防止の為に、日頃の陰部の清潔は重要です

「元来綺麗好きなお袋だけど、今はデイサービスに行った時しか風呂に入らないです」  かおまる
実はSGLT2阻害薬で最も注意して頂きたい副作用は、浸透圧利尿作用により尿が増加
して脱水状態
になる事で、脳卒中や心筋梗塞の梗塞性疾患の危険因子にもなりますので
ご高齢の方は要注意で、毎日200ml以上多めに水分摂取して頂く必要があります

「お袋はトイレが近くなるのが嫌で、水分を摂りたがらない人だから、膀胱炎にも  うへー
なり易いんですよね、やっぱり、お袋にはスーグラは向いていないようですね」

ご高齢の方は口渇を自覚し難いので、ただでさえ脱水になり易いですからね
SGLT2阻害薬があう患者さんは糖尿病歴の短い比較的若い人で、そういう方
ならば、腎機能も良好インスリン分泌能も保たれ筋力も落ちていないと思われます

「僕は太ってるから痩せる余地が充分ありますし、無類の風呂好きですしね」  えへ4  
HbA1cを1%前後下げると言われるSGLT2阻害薬ですが、1日
70g程度の糖
を尿に排泄して、300Kcalのエネルギーを尿中に捨てますので
体重も3キロ程減り、それに付随して、インスリン抵抗性改善、中性脂肪減少
HDLコレステロール増加
なども期待出来、血圧も少しばかり下げるみたいですね

「それじゃ食品交換表の方も見直して、300Kcal分は増やして良いかな」  えへ5  
摂取カロリーは今迄通りにしないと、せっかくスーグラのんでも痩せませんよ




(感想)

糖尿病治療は『血管中の糖を減らす』事が至上命題であり
従来の治療は、糖の逃げ道は閉じたままで組織に糖を仕舞い込む事で血糖を下げて来ました

つまり、『治療の成功』と『肥満の亢進』とは隣り合わせで
治療すると太ってインスリン抵抗性が強まるというジレンマがありました

けれど、今回世に出たSGLT2阻害薬は、排泄路の門を開いて
糖を体外に出す事で血糖を下げる
、コペルニクス的な発想の転換

でも、SGLT2阻害薬でも、食事療法サボると、尿中糖が増え感染症リスクUP
運動療法サボると、サルコペニア助長の恐れありなのですね


      ★      ★      ★


ACCORDでは、強化療法群6.4%の方が7.5%の群より総死亡人数が多く
厳格な血糖コントロールが弊害になる結果となり、当初の計画より早く中止されました
ACCORDの強化療法群で重症低血糖が多かった事が原因ではないかとされています
ADVANCEでは6.5%の群と7.3%の群では有意差がつか無かったそうです

劇症Ⅰ型糖尿病は、ケトアシドーシスを起こして救急車で運ばれて、見つかるそうです

65歳以上の患者さんにスーグラ錠を投与する場合は、全例調査が予定されているそうです

フォシーガでのデータですが、体脂肪(fat mass)の減少程ではないにせよ
除脂肪体重(lean mass)も減少したそうです

SGLT2阻害薬投与期間中は、脱水症などで高値となるヘマトクリット値が
1~2%上昇しているそうです





娘と『ホビット 竜に奪われた王国』をIMAXで観に行きました
水門を開く場面でえらく開放感を感じ感動しました
三部作目が早く観たいです


     膝で寛ぐ猫のノンを撮ってみました

     ノン17  
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     ノン18



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プロフィール

フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

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