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火災現場で必ず見かけるあいつ

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~




木間瀬 曽我井(きませそがい)さんは降圧薬のミカルディスをのんでいらっしゃいます
今回レニベースというお薬が加わりましたが、先生に二剤のむように言われたんですか?

「違う違う、今迄の薬は高いので、安い薬に変えて貰ったんだ、のむのは一種類だよ」  かおまる
では、処方箋の記載ミスと思われますので、医師にお電話して削除して頂きますね

「本当はジェネリックに変えて欲しいと頼んだんだけど、新薬だから無いんだってさ」  かおまる
ミカルディスはまだ特許期間中ですので、後発医薬品は発売されていません

「今度の薬なら発売後だいぶたってるから、ジェネリックに変えられるんだってね」  かおまる  
レニベースでしたら後発医薬品が存在しますので、ジェネリックでお出し出来ます

「先生もジェネリックでいいと言ってたよ、薬代も毎月だから馬鹿に出来ないから」  かおまる  
ミカルディスはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)と言い、レニベースは
アンジオテンシンⅠ(ANGⅠ)をアンジオテンシンⅡ(ANGⅡ)に変換する酵素の
ACEを阻害するアンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)と呼ばれますが
結果的には両方共、ANGⅡの働きを抑えることで血圧を下げますので
腎臓が弱ってきている等の特殊な場合以外は、同時に使う事はあまり無いです

「僕は腎臓が悪いと言われた事ないし、今迄だってミカルディスだけでも  かおまる  
上の血圧は145と若干高めだけど、下が70と低いから全く問題ないんだよ」

勿論血圧は低い方が良いのですが、収縮期血圧から拡張期血圧を引いた脈圧は50mmHg
以下が理想で、70mmHg以上あると動脈硬化が進んでいる証拠なのだそうです

「下の血圧が低いからって安心しちゃダメなの?!  驚き1  僕の脈圧は75もあるね!」
血管が柔らかい方が拡張期が高く維持されますので、拡張期高血圧は若い人に多いのです

「そう言えば、若い頃は80代後半だった下の血圧が年取るにつれ下がる傾向にあるな」  汗  
年齢と共に、収縮期血圧は上昇し拡張期高血圧は下降しますので脈圧は広がります

「もう80歳だから年相応って事さ、孫娘は25歳なのに妊娠中は血圧が高かったよ」  かおまる
妊娠高血圧の治療にはACEIやARBが使えないので注意が必要です
ANGⅡは胎児の発生に重要な生理物質ですので、妊娠中にそれを抑えるお薬をのむと
奇形リスクが高まったり、胎児発育が遅延する恐れがあり、妊婦には禁止薬です

「孫が産科で貰った血圧の薬をのんでるので、冗談で、じいじの薬をのんでみる?  汗1   
とからかったら、にらみつけられたが、本当に妊娠中は下手な薬はのめないんだな~」

ANGⅡを抑えると心臓や腎臓への負担も減りますので、妊婦さんでさえなければ
ACEIやARBは、降圧以外に、臓器保護にも優れたとても良いお薬なんですけどね

「先生は、古いタイプの方の薬だと、空咳の副作用だけが心配だと言ってた」  かおまる  
ACEIによって阻害されるACEはブラジキニン(BK)分解酵素でもありますので
ACEIをのむとBKも増え、その影響で空咳が出易くなります

「先生は、それを逆手にとれば誤嚥性肺炎の予防薬にもなるんだけどね、とも言ったけど」  かおまる  
80代ですと、肺炎で死亡される方の8割以上が誤嚥性肺炎と言われていますからね

「今流行りの肺炎球菌ワクチン打っても、誤嚥性肺炎には効果ないんだものね」   かおまる
ARBはACEIの様な空咳が無く、又、ANGⅠからANGⅡに変換する酵素はACE
以外にも、キマーゼ
というものもありますので、ACEを阻害するだけではANGⅡの
働きを完全に抑える事が出来ず
、ARBはACEIより優れたお薬とされてきました

「ミカルディスは高いけど、その分、従来の薬を進化させた最新の薬と説明されたよ」  かおまる  
ところが、このキマーゼ経路は、健康な状態の時は機能せず、何かで障害を受けた時だけ
肥満細胞からキマーゼが放出されてANGⅡ産生酵素として働く事が分かり
最近は、キマーゼ経路は血圧に対してほとんど関与し無いと言われています

「じゃ、ミカルディスはただ高いだけのぼったくり薬だったのか?」  ブー1
障害を受けて活性化
されるキマーゼ経路は血管内膜肥厚を起こすので、冠血管手術後の
内膜肥厚抑制にはACEIは無効で、ARBやキマーゼ阻害薬でないと効きません

「キマーゼ阻害薬なんてのも出てきたんだ!」  驚き1
まだ開発途中ですが、キマーゼは体内の炎症部位にのみ出現して炎症を強める酵素です
ので、キマーゼ阻害薬は、降圧作用はない代わりに、抗炎症効果に優れていると言われ
アトピーや喘息、糖尿病や心筋梗塞や癌による組織損傷防止にも効果が期待されています

「キマーゼって、火事現場にヤジウマのふりして現れる放火犯みたいな奴だね~」  冷汗2
キマーゼと似て、心臓や腎臓の組織を障害する生理物質にマトリックス・
メタプロテアーゼ(MMP)
という物もあり、ANGⅡにより活性化されますので
ARBやACEIによる臓器保護は、MMP抑制作用の寄与もあると考えられますが
ACEIには、ANGⅡを介さず、直接MMPを阻害する作用もあると言われています

「そうなるともう、どっちに軍配上げて良いか分からなくなっちゃうね」  かおまる
ACEIによる空咳の原因と言われるBKも、血管拡張作用があり血圧を下げますし
糖の取り込みを促してインスリン抵抗性を改善したりする良い作用もあります

「まあ、薬代が今迄の半分程度になった事だし、古いタイプの薬で良しとするか」  えへ5  
コスパ的には完璧にACEIの勝利ですね!





(注1)
非糖尿病性腎症を対象に、ARBとACEI単独、又は両者併用の結果を報告
したものによると、両薬併用は、それぞれの単独投与による腎症進行抑制の最大効果を
上回る
との事 (COOPERATEスタディ、Lancet・2003)

でもこのスタディに論文不正疑惑を投げかける医師のブログ記事も目にしました
『RAS二重遮断がファッションで、そのストーリーに基づいた発表』だったとの事

ディオバン事件を彷彿とさせるような話です

実際現場で、ARBとACEI併用の処方箋見た時は疑義照会していますが
でも、ARBかACEIのどちらかとアルダクトンやセララの併用はよく見かけます
専門医が出した、ラジレスとARBを併用した処方箋を見た時もスルーしました
やはり、専門医だと最先端のエビデンスに基づいていると思ってしまいます

H2ブロッカーとPPIの併用を消化器専門医が出した時も、メーカーに問い合わせた所
PPI単独で難治性の胃酸分泌過多に対し、H2ブロッカー併用が有効であったという
エビデンスがあるという返事でしたので、その旨を摘要欄に記載して出しました


(注2)
別の医師のブログ記事では、『臓器保護の優れたデータの殆どは、ARBではなく
ACEIを対象としたものなのに
、ACEIの国内での評価が低過ぎて(メーカーの陰謀?)
本来はもっとACEIの用量を海外と同等にするべきなのに、国内では異常な低用量でしか
使えないので、やむを得ず実際にはARBを処方している』とありました


(注3)
血圧には、収縮期血圧/拡張期血圧と脈圧以外にも、平均血圧という概念もあり
平均血圧=拡張期血圧+(収縮期血圧-拡張期血圧)/3  だそうです


(注4)
ACEもMMPも活性中心に亜鉛を含有する類似した分子構造を持った酵素で
ACEIはMMPを直接阻害するが、ARBにはこの直接阻害作用はないそうです (図2)


(注5)
正常血管にあるキマーゼは、肥満細胞顆粒中で不活性状態で貯蔵されているので
ANGⅡ産生酵素としての機能は無く、血圧に対する関与は少ないそうです

手術や炎症で傷害を受けた部位の肥満細胞が活性化され、顆粒中からキマーゼが
放出されてはじめてキマーゼ経路が活性化されるそうです

また、ACEは血液中でも機能が発揮できるのに対して、キマーゼは
血液中に放出されるとセルピンという酵素で分解されて失活するそうです


(注6)
最近の研究で、ANGⅡがMMP‐9を活性化する事が報告され
一方キマーゼはANGⅠをANGⅡに変換する以外にも、MMP‐9を活性化したり
MMP阻害物質であるTIMPを分解したりもする事が報告されています

正常大動脈ではMMP‐9とTIMPのバランスが保たれているが
病的な状態ではアンバランスが生じており、その原因はキマーゼの活性化と
キマーゼにより変換されたANGⅡにより引き起こされている可能性があるとの事です


(注7)
研究が進むにつれて、キマーゼ阻害薬には副作用がないこともわかってきたそうで
ステロイドに副作用が多いので、安心して使用できる抗炎症薬の実用化が待たれる所です


(注8)
ARBにはAT2刺激作用がありますが、ACEIにはありません(図1)

AT2刺激は心臓に良い影響をもたらすとされていたのですが、その逆の研究結果も
発表されたりして、今はAT2刺激は心臓に良いのか悪いのか、不明だそうです

BKは、GLUT4のトランスロケーションを介した糖取り込み促進作用もあり
これにより、ACEIの方がARBよりもインスリン抵抗性改善作用は強いようです




人のサイトの図を無断転載するのは好ましくないので、自分で図を描きました
素人ですので、お見苦しい点はご容赦下さい





      図1
     図5




      図2
     図4




最近、娘が夕飯作ってくれる日が多くなりましたが、お菓子作りに情熱の大半が
向けられてる日もあり

  りんごロールパン  薄力粉ピザ
  シナモンロール  ある日の夕飯
  トマトジャム    トマトジャムも作りましたが、意外と美味しい~



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プロフィール

フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

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エコライフ

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