歯医者でも お薬手帳を 見せましょう

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~




夏は血圧が下降気味になる 牟須 果林(ムス カリン)さんは、毎年6月には降圧剤の
アムロジン
が5mgから2.5mgに減り、10月には又5mgに戻る、の繰り返しです

「血圧の薬を毎年律儀に衣替えしてるのよ」  かおまる
夏は冬に比べ血管が拡張し血圧が下がりますので、そういう人は案外多いですよ

「歯医者で言われたんだけど、アムロジンのんでると歯茎が腫れる事もあるんですってね」  かおまる
歯肉肥厚はアムロジンに時々見られる副作用ですが、牟須さんも腫れてたんですか?

「私は見て貰ったら大丈夫だったけど、歯医者だって、患者さんが何の薬のんでるか  かおまる 
とても気になるんだから、きちんとお薬手帳を持ってくるように釘を刺されたのよ」

歯肉肥厚は他にもてんかんの薬や免疫抑制剤などでも出る場合がありますからね
今年4月からは、受診する医療機関でお薬手帳を提示する決まりになっていますしね

「骨を丈夫にする薬もずっとのんでるので、その名前も歯医者さんは知りたがってたわ」  汗5  
骨粗鬆症のお薬の中でもビスホスホネート系薬剤ですと、あごの骨の顎骨が壊死する副作用
往々にして報告されていますので、歯科医としては特に気になるお薬だと思います

「ビスホスホネートって、以前のんでたボナロンみたいな、朝起きてすぐにコップ一杯の水で  かおまる
のみ、その後30分は横になったり、飲食をしたりしちゃいけないというお薬のことでしょ」

そうですが、牟須さんは半年前から、女性ホルモンに働くエビスタというお薬に変わってますね

「ボナロンは胃に障るので週に一度で済むのに変えて貰ったけど、それでものむのが面倒臭くて  汗
整形の先生も、確証は無いけど、この系統の薬を何年間ものみ続けると、かえって大腿骨骨折の
危険性が増えるという説もあるので、この辺で別系統の薬に変えてみることになったのよ」

エビスタは、エストロゲン受容体に結合する事によって、骨ではエストロゲンの作用を強め
乳房や子宮では逆にエストロゲンの作用を弱めるという、部位ごとに正反対の働きを持つ
不思議なお薬なので、乳癌発生を抑制する副効果があり、人間にとって非常に都合良く
立ち回ってくれるところから、選択的エストロゲン受容体調整薬(SERM)と呼ばれています

「乳癌も防げて、骨密度も良くなるなんて一石二鳥ね、朝ご飯の後にのめば良いから楽だし」  えへ5 
女性ホルモンに作用するお薬なので、乳房が張ったりほてったりし易くなりますが、命に別条の
無い副作用です、それより、滅多には無い事ですが血栓症が起きると恐いのでご注意下さい

「血栓症と言えば、歯医者では、血液サラサラのお薬をのんでいないかをとても気にしてるの」  かおまる
血小板が集まりにくくするお薬のバイアスピリンや、血液凝固を防ぐお薬のワーファリンなどに
代表される、血栓症を防ぐお薬をのんでいらっしゃる方は、血が止まり難くなっていますので
歯科診療でも、出血の多くなる抜歯の場合は、止血処置を丁寧にやって頂く必要が出てきます

「十年位前迄は、抜歯する日の3・4日前から血液サラサラのお薬をストップしたそうね」  かおまる
薬局でも実際、血液凝固阻害剤のワーファリン服用中の方に、抜歯の時には休薬するようお勧め
していた時代もありました
が、休薬した事で命に係わるような血栓症を発症した人もあり
患者さんがワーファリンのんでいると知らなくて、休薬しないまま抜歯しても、止血にはさほど
困らない事例が多かった
ので、最近は抜歯する時でも凝固阻害剤は継続する事とされています

「私がのんでる血液サラサラのお薬は、バイアスピリンというのよ」  かおまる
バイアスピリンは血小板が集まるのを防ぐだけですので、抜歯時でも圧迫止血だけで充分だそうです
ワーファリンのんでいても、普通の抜歯ならINRが4.0以下特殊な抜歯でも3.0以下ならば
安全だそうですし、我国の推奨INR値は1.6~3.0なので、懇ろに止血して頂けば大丈夫です
血が止まりにくいと、ガーゼで長めに圧迫したり、縫合や局所止血剤なども使われるようですがね

「その他にのんでるお薬は、蕁麻疹を抑える為のポララミンと、頻尿治療薬のベシケア  かおまる 
バイアスピリンで胃をこわさない様にアシノンという胃酸を抑えるお薬、これで全部
そしたら歯医者が私のお薬手帳調べて『抗コリン薬が多いな~』と嘆くのよ」

ポララミンやベシケアなどの抗コリン作用のあるお薬は、唾液の分泌を減らします
唾液にはリゾチームやラクトフェリンなどの抗菌性物質が豊富に含まれていますので
口腔乾燥によって歯周病が発症し易くなり、又その治癒も遅れがちになってしまいます
他にも円滑な嚥下や誤嚥防止など、唾液は口腔の健康維持には重要な役割を果たしています

「でも私、興奮して喋るとつい唾が飛んで、恥ずかしい思いをする事が多いの  ブー1
歯医者の先生も『抗コリン薬のんでる割には、そんなに口が渇いてないように見えるな
もしかして、胃薬のアシノンというのが出てるからそのお陰かもね』と言ってたわ」

アシノンは本来、胃酸を分泌するヒスタミン受容体を抑えて、胃酸を減らすお薬ですが
副交感神経でアセチルコリンエステラーゼを抑制する作用もあると言われており
その為アセチルコリンが増えますので、抗コリン剤とは逆の作用も併せ持っています
これにより、コリン作動性ムスカリン受容体を刺激して、唾液線から水様で大量の唾液を
分泌する副効果もあるので、口腔乾燥症にも適応外で使われる事があるお薬なのです

「エビスタといい、アシノンといい、お薬にも二足のワラジってあるのね~」  スマイル2




(参考)
●ワーファリン服用患者の抜歯―非中断症例の検討― 北村 龍二 関西労災病院歯科口腔外科
                                (平成15年8月4日)
●高齢者への薬物投与の実態と口渇副作用情報のもつ意味 望月 眞弓 北里大学薬学部教授


(注) ムスカリン受容体の中でもM3が一番口渇と関係が深いそうです
    ベシケアはM3選択性が一番強いそうです
    
    一方、ムスカリン作用薬のベサコリンやコリンエステラーゼ阻害薬のドネペジルは
    唾液分泌促進に働くので
    アリセプトのんでると唾が増え、誤嚥も防げて良いのかも知れませんね

(感想)私がこの仕事を始めた頃はまだ、ワーファリンのんでる人に、抜歯の時は
    休薬するようにお伝えしていました 

    しかも、プレタール、ペルサンチン、ワーファリン、パナルジン、バイアスピリンなど
    それぞれ何日前から休薬すれば良いか表にして貼ってありました

    今も手術の前にはやはり休薬するんでしょうけど、抜歯如きではもはやしないんですね

    隔世の感 がありますね~ (日々勉強しないと医学の進歩についていけないです・・・)

    確かに今では、歯科医が気にする服用薬No.1は抗コリン薬かも知れませんね






face book にて離れて暮らす家族の近況を知る今日この頃
それにしてもうちの家族、食べ物の写真をアップする頻度高っ!
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プロフィール

フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
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