脳梗塞と脳出血の間にある僅かな安全地帯

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~



心房細動という不整脈が見つかった 結益 暁子(けつえきぎょうこ)さん
ワーファリンという血液を固まり難くするお薬をのんでいらっしゃいます 

「血尿が出てビックリしたんだけど、どうやらワーファリンのせいらしいの」  驚き1
血液凝固を防ぐワーファリンをのんでいると、出血し易くなる訳ではないのですが
一旦出血すると止まり難くなるので、尿路で出血個所があると血尿が出る事もあります

「でも止血薬はのまない方が良いらしく、トランサミンは出してくれなかったわ」  かおまる
トランサミンは、血栓を溶かす線溶という働きを阻止して止血するお薬ですが
血尿の時にのむと、尿管で血液が固まってしまうので、安易にのんではいけないそうです

「先生は『血尿ならまだいいよ、脳出血起こしたら恐いけど』って呑気に構えてるけどさ」  汗
ワーファリンで頭蓋内出血を起こし易いアジア人は、西洋人よりもINRを低めに調節
しますが、結益さんのINRは2.0前後で、安定していらっしゃいますものね

「大好物の納豆を食べられないだけでも嫌なのに、出血の恐怖はあるし、お薬ののみ合せも
多いし、INRも測らなくちゃいけないし、ワーファリンのみ続けるのって一苦労だわ~」
  ブー1
心房細動があると、心臓で出来た大きな血栓が、血流に乗って脳に行き脳梗塞を起こし易く
太い血管が詰まるので広範囲に障害を受け、死亡率も高く、後遺症も重くなり易いのです

「巨人軍の長島茂雄名誉監督が心原性脳梗塞だったのは有名だものね」  汗5
ワーファリンは、血液を固まらせるビタミンKの働きを邪魔する事で、間接的に血液凝固を
防ぐお薬
ですので、納豆などのビタミンKを多く含む食品の摂取は制限を受けますし、他に
のんでいるお薬の影響も受け易く、効き目には個人差があるので、INRを測定して効力を
調整する必要がありますが、長年にわたり、唯一の心原性脳塞栓症予防薬だったのです

「去年、納豆を自由に食べても良い新薬が出たと聞いて、よっぽど心が動いたんだけどね」  汗1
プラザキサ(ダビガトラン)は、血液を凝固させるトロンビンを直接邪魔する抗凝固剤で
ビタミンKと関係しないので納豆の影響を受けず、個体差が無いのでINR検査も必要なく
併用薬のせいで効力が左右される事も無く、頭蓋内出血もワーファリンより少ないそうです

「でも『新薬は発売後一年迄、二週間毎に薬取りに来なくてはいけない』と言われて
それも面倒臭いなと迷っていたら、プラザキサのせいで亡くなられた方が出たと知って」
  かおまる 
死亡例には100歳などご高齢の方が多く、効果が良過ぎて出血性副作用が重篤化し易いので
年齢に注意して、腎機能をモニタリングしながら使用するよう、ブルーレターが出されました

「だけど、プラザキサはワーファリンより脳での出血が少ないんじゃなかったの?」  かおまる
プラザキサは胃のpHが低くないと吸収され難いので、酒石酸が含まれており、そのせいで
消化管出血はむしろワーファリンよりも多く、それが原因で死亡した方もあるようです
逆に、胃酸を抑えるお薬を一緒に飲むとプラザキサの作用が弱まると言われています

「ともかくその話を聞いて恐くなって、そのままずるずるワーファリンのんでいるのよね」  かおまる
ワーファリン自体も、脳梗塞予防効果と頭蓋内出血リスクのバランスを考えると安全域が狭く
一説には、INRを治療域下限辺りで良しとする医師が多かったのではないかとも言われ
効果が充分あるプラザキサに切り替えた事で、急に作用が強まる形になったのかもしれません
ワーファリンは、家畜の出血が止まらなくなった謎の病気の研究から、牧草の腐敗成分中より
発見された出血誘発物質ですので、元々、毒が薬になった諸刃の刃的なお薬ですからね

「ワーファリンが効き過ぎたらビタミンKがあるけど、プラザキサには解毒剤がないそうね」  かおまる 
ワーファリンの中和時でもビタミンKだけだと迅速さに欠けるので、血液凝固因子を併用
する事がありますが、今度新しく出る直接抗凝固剤血液凝固因子で解毒出来るようです

「ず~っと心原性脳梗塞予防薬はワーファリンしかなかったのに、急に新薬が出だしたわね」  かおまる
後遺症が重篤化し易い心原性脳梗塞は医療経済を圧迫しますし、血液凝固を直接阻害するお薬
の方が作用が安定して病気の管理も楽ですので、続々と新薬開発が進められてきたのです
新薬のイグザレルト(リバーロキサバン)は、プラザキサより上流の第Xa因子で凝固を
阻害する抗血液凝固剤で、プラザキサは凝固因子のプロトロンビン複合体を投与しても
中和するのに24時間かかったのに対し、イグザレルトは15分で中和されたそうです

「それは安心ね、イザという時の解毒剤があるかないかは大きな違いよね~」  えへ5
それに、プラザキサではワーファリンに比べて増加していた心筋梗塞が、イグザレルトでは
ワーファリンと同程度だったそうですよ、ワーファリンは以前は心筋梗塞にも使われていた位
のお薬
ですからね、最も、心房細動の人では心筋梗塞はむしろ稀だそうですがね

「でもそんな恐ろしい病気は増えない方が良いわよ」  かおまる
イグザレルトはワーファリンのように頭蓋内出血を起こす事はなく、又、プラザキサのように
消化器出血が増える事も無く、保険適応外ながらプラザキサとは違い解毒手段もあるのです

「その新薬も納豆OKのお薬なら尚更ありがたいわね」  スマイル2
勿論、直接抗凝固剤ですので納豆は食べられます、この春に発売が決まったそうですよ

「でも、その新薬に切り替えるかどうかは先生の腹一つだし、発売後一年は二週間分ずつしか
お薬出して貰えないんでしょ? やっぱり当分はワーファリンをのみ続けるしかないわよ」
  泣き1
ワーファリンも、ちゃんとINRを至適治療域の1.6~2.6に管理すれば、脳梗塞も
脳出血も両方心配ないそうですよ、古いお薬で価格も安く費用対効果にも優れていますしね

「納豆食べられないのが玉にキズだけどね」  かおまる




(注1) 直接抗凝固剤として開発されたキシメラガトランは効果でワーファリンに勝ったのですが、
2005年に肝機能障害で市場から撤退したそうです 

(注2) ワーファリンは、アスピリンと比べ、心筋梗塞を減らす文献はたくさんあり
心房細動でワーファリンを内服している方でも、心筋梗塞は抑制できていると考えられるそですが
何故ワーファリンが心筋梗塞予防に使われなくなったかというと、出血合併症が多いからだそうです


(参考) 日経メディカルオンライン 2012.03.05 
『プロトロンビン複合体濃縮製剤はリバロキサバンには拮抗薬として作用するがダビガトランには作用せず』
他日経MOの記事


素朴な疑問 : ワーファリンやプラザキサのように治療域が狭く、時として死亡例が出てしまうお薬が
どうして劇薬じゃないんでしょうか? 
劇薬のノルバスクで死亡例って聞いたことないのにねぇ






マーライオン8  マリーナベイサンズ1

ホテル8  ホテルのプール6

ホテル3  マリーナベイサンズ夜景7

ホテルの朝食6  アフタヌーンティー2

「ダメ。ゼッタイ。」・・・薬物乱用の話ではありません


旅行に行ってきました

ビュッフェ方式のアフタヌーン・ティーを頂いた時の事

娘が「お母さん達は、おかず→スイーツ、という順番で食べるでしょ?
私は、スイーツ→おかず→スイーツ、という順番で食べるから
お互い、どれが美味しかったか情報交換しよう」と言いました

私が茶色いパンのサンドイッチが美味しかったと教えましたら
娘は「この白いロールケーキはなんか美味しくなかった
私の味覚が変なのかもと思って一応全部食べたけど」と答えました

主人が試しにそのロールケーキをとって来て食べました
「おまえ、これ、ドリアンのケーキじゃないか!」
「これがあの噂に聞く、ドリアンだったのか~!」

その後娘は、胃袋からこみあげてくるものが全て、ドリアン臭がしたそうです

娘いわく、ターミネーターのシュワルツネッガーのように
I‘ll be back. とドリアンが戻ってきたそうです

今後、ドリアンを食べようとする人には「ダメ。ゼッタイ。」というそうです

私は、話の種に、主人のケーキを一口頂いただけでしたが
ドリアンを始めて食べ物だと認識した人に事情聴取したくなりました







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プロフィール

フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

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エコライフ

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