心臓に優しい出木杉君

(前回の続きです)
印須凛子さん(架空の人物)は以前、今と違うお薬をのんでいらっしゃいましたね
「前医ではダオニールというお薬のんでたんだけど、引っ越したのを機に
糖尿病専門医にかかろうと思って、ネットで一番近くの医院を探したのよ」

日本糖尿病学会認定医には、指導医のいる糖尿病専門外来で定められた臨床経験
を積み、治療から得られた知識をまとめた論文が通らないと、なれないそうです

「昔狭心症になったことがあって、それ以来シグマートというお薬ものんでたの  汗1 
それを専門医に伝えたら『糖尿病のお薬を心臓に優しいものに変えましょう』
と言われて、今のアマリールというお薬に変わったのよ」

インスリンの分泌を促すSU剤というお薬の中で、一番最近発売されたものですね
従来のお薬よりインスリンを出させる効力が弱く、体重が増え難くなってます

「インスリンを出す作用が弱いと聞いて不安だったけど、案外良く効いてるわ」
アマリールは、インスリン分泌能を示す空腹時CPRはさほど増やさないけれど
HbA1cはダオニールと同程度下げるそうです。つまり、先程話題になりました
なるべく少ないインスリンで血糖が正常化するという、理想的な下げ方なのです

「インスリンが増えなくっても、血糖値が下がるものなのね~」   驚き1
アマリールには『インスリン抵抗性』改善作用もあるのです

「でも、インスリン抵抗性は太るとなるんでしょ? ブー1  そう思って私は痩せたんだもの」
取り立てて肥満でない人でも、ある程度はインスリン抵抗性の要素があります
糖尿病には、インスリンの効きが悪いのと出が悪いのとが両方備わってなるのです
太るとインスリン抵抗性にはなりますが、大抵の人は、膵臓にそれを補って
余りある程のインスリンを出す能力
があるので、糖尿病に迄はならないそうです

「確かに、太ってる人が全員糖尿病になる訳じゃないものね」  かおまる  
一方、痩せていても『インスリン分泌不全』があると、食後高血糖になります
それを是正しようと、膵臓のβ細胞がなけなしのインスリンを出して低血糖になり
インスリン過多の状態に体が慣れっこになっていき、インスリンに鈍感になるのです

「やっぱりそうなのね~私のインスリンはスロースターターだって言われたわ」  泣き1  
アジア人にはそういうタイプが多いそうです、糖尿病になる前の、食後高血糖に
なっているだけの段階からすでに、心臓病になる危険性が通常より増えるそうです

「私が狭心症になったのも、糖尿病になる2~3年前だったわ」   冷汗4
以前は、ヤセ型で、分泌不全先行型の糖尿病には、ダオニールのような
インスリン分泌促進作用が強いお薬が適していると思われていました、が
ダオニールは間断なく膵臓を刺激し続けるので、低血糖になり易いのです

「アマリールになってからは、アメを持たなくても出掛けられるようになったわ」  かおまる 
SU剤がインスリン分泌を促すのは、膵臓β細胞膜のKチャネルを閉じる作用
あるからなのですが、その作用が強過ぎると、心筋細胞ミトコンドリアのKチャネル
も閉じてしまう傾向があります、ところが心臓には、一度狭心症を起こすと次に狭心症に
なった時は軽く済むという、虚血プレコンディショニングと呼ばれる学習能力
が備わっていて、これはミトコンドリアKチャネルが開くことで発揮されるのです
シグマートはミトコンドリアKチャネルを開くことによって心臓を保護しています

「専門医も、前のお薬はシグマートとケンカするから変えたんだよと言ってたけど
アマリールはきっと、Kチャネルを閉じる力が弱いから大丈夫なんでしょ?」

そうではなく、アマリールは膜のKチャネルだけに作用して、ミトコンドリアの
Kチャネルには影響しないという、とても都合のよいお薬なのです

「つまり、糖尿病には効くけど、心臓には障らないのね」  スマイル2  
その通りです、膵臓のβ細胞だけに働き、心臓の自己防衛反応は邪魔しないのです
さらに、血糖が高い時に効くのでダオニールよりも低血糖も起こし難いと言われ
SU剤には血小板凝集を抑える作用がありますが、アマリールは特にその作用が強く
コレステロールの悪玉化も防ぎ、動脈硬化が進むのを遅らせる効果もあるそうです

「ホントに凄いお薬ね、ドラえもんに出てくる出木杉君みたいね」   えへ5
アメリカと欧州の糖尿病学会(ADAとEASD)でもお墨付きのお薬なんですよ
「そう言えば、専門医の診察机の上に英語の資料が置いてあったわ」
実はその資料を私も読もうとしましたが、五分で眠くなりましたので
優れた睡眠導入効果のある資料だと思いました



   大きい朝顔  大きな朝顔  朝顔とボールペン

    ご近所に咲いてる朝顔は、色も美しく、大きさもとても大きく、まさに『出木杉君』の朝顔です


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宝クジより当たりたい遺伝子

血糖を下げるお薬をのんでいらっしゃる 印須凛子さん(架空の人物)
お盆帰省で同窓会があり、何十年ぶりかで懐かしいお友達と再会されたそうです

「私は太ると糖尿病に良くないと思って、体重に気をつけてるでしょ? そのお陰で
『あなたスリムで昔と変わらないね』と羨ましがられてちょっぴり嬉しかったわ~」
  スマイル2
ドクターの助言に従って、努力して二十代の頃の体重に戻されましたからね

「糖尿病なので食事療法をしてるからと言ったら、偶然同じ病気の人がいたの」
今や糖尿病は先進国ではごくありふれた病気で、欧米人よりもインスリン分泌が
少ない日本人では、予備軍も含めるとおよそ2000万人以上が該当するそうです

「彼女は自分から医者に頼んでインスリン注射にして貰ったんですって
血糖が高いままだとシワの原因になる老化物質が出来てしまうのが許せないそうよ」

それは糖が蛋白質と結び付いて離れなくなった終末糖化産物(AGE)のことでしょう
AGEは癌やアルツハイマーや糖尿病合併症の原因物質だとも言われています

「そんなに恐いものなの? 冷汗2  彼女は食べたい物を我慢するのも嫌なんですって
私にも『注射は楽よ~食べた分だけ打てば血糖も上がらないから安心よ』というの」

自由に食べてインスリンを打って血糖を下げていたら、体重が増えてしまいますね

「『低インスリンダイエット』があるくらいだからインスリンは肥満ホルモンよね?」  汗1  
インスリンは血糖を下げるホルモンで、摂取した糖分を肝臓にグリコーゲンとして蓄え
筋肉にエネルギーとして利用させる働きがありますが、血糖がそれを越えて上昇すると
余った糖は、再びインスリンの働きで中性脂肪に変えられ脂肪細胞になります

「彼女も、インスリン注射にすると太り易くなるとは言ってたわ」  かおまる  
肥満により脂肪組織が満杯になると、インスリンが働きかけても脂肪が糖を
取り込みにくくなる『インスリン抵抗性』という状態になる恐れがあります

「医者からも、太るとインスリンの効きが悪くなるから気をつけてって言われるわ」
膵臓はこの状態を何とか打破しようと、さらにインスリンを増量するうちに
やがて力尽きて、インスリンを分泌する能力が枯渇してしまいます
また、過剰なインスリンにより低血糖になるのを恐れる体は、インスリンに対し
鈍感になろうと努めて
さらに『インスリン抵抗性』が強まっていくのです

「悪循環ね~ かおまる  医者もいつも、必要最低限のインスリンで済む人が一番健康だと言うわ」
余剰の糖は脂肪として貯蓄されますので、たとえインスリン注射を打っている方でも
食事の量には気をつけて頂かなくてはなりませんが、食べ過ぎたと思ったら
家事やウォーキングなどで体を動かして消費して下さればいいのです
印須さんはインスリン分泌能の検査結果も、丁度良い数字じゃなかったですか?

「でも友達が言ってた老化物質が気になり出したわ、合併症とも関係があるなんて」  かおまる
HbA1cが高値で推移していても合併症を起こさない幸運な人がたまにありますが
そういう人は、たとえAGEが多くてもその信号が伝わりにくい体質なのだそうです

「へぇ~そんな羨ましい体質があるの?」  驚き1
AGEはそれを受け取る受容体RAGEに結びついて、その先の方へ様々な信号を
送っているのですが、このRAGEが信号の受け渡しをする場所にくっついてないで
血管の中をフラフラと浮遊している『分泌型RAGE』になっている人があります
その場合、RAGEにAGEが結び付いても、『アンテナ型RAGE』のように先に
信号を伝えるルートがないので、癌やアルツハイマーや合併症などが起きないのです

「その体質になりたいわぁ~ かおまる  どうやったらそんなラッキーな体質になれるの?」  
残念ながらこの『分泌型RAGE』のタイプかどうかは遺伝的に決まるのです
血液を調べて、その中にRAGEがあれば浮遊タイプの分泌型ということです
実際に、分泌型RAGEの多い人には糖尿病性網膜症が少なかったそうです

「サマージャンボは外れたけど、その遺伝子に当たった方がよっぽど幸運ね~」  えへ4  
でも、このAGEが出来たり、悪い信号が伝わったりするのを防ぐお薬
現在開発中で、臨床試験中のものもあるようですし、アンテナ型RAGEを
減らし分泌型を増やす遺伝子の研究をしているグループもあるそうですよ

「じゃ、頑張って良い数値を維持しよう、注射の彼女にも教えてあげなくちゃ」  スマイル   
注射してることに油断して食事療法をおろそかにしないようにとも伝えて下さい
(次回に続く)


             肉と見せかけて、オクラに巻いてるので実は以外にヘルシー
       ゴーヤをカレー味のひき肉とともに  ゴーヤは血糖下げるといわれています
        オクラの肉巻き       ゴーヤのカレーミート
 

       薬局の駐車場で咲いている朝顔    朝顔


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プロフィール

フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

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