古代エジプトの石

「僕はね『尿路結石』と書いて『いたい』とフリガナを振りたいくらいなんだよ~」  泣き1  
泌尿器科を受診した石賀出多夫さん(架空の人物)はボヤいていらっしゃいます
そういえば尿路結石をお持ちでしたね、その後どうなさいました?

「一個だけ出たよ、出る時は案外大丈夫だった、中で動く時はすごく痛かったけど」  スマイル2  
動くというより、石が塞いだ管に尿がたまって急に内圧が高まり水腎症となったり
石を出そうと尿管が収縮して疝痛と呼ばれる激痛となったりして、痛むそうですよ

「ともかく七転八倒の苦しみだったよ、まだ腎臓に一個あるから爆弾抱えてるよ」  冷汗2
石の分析はして貰われましたか?
「紙コップに尿をとって観察してたから見つかった、蓚酸カルシウム結石だった」
結石の中では一番多いタイプですね

「カミさんに、牛乳が体にいいって言われて飲んでたけど、嫌~な予感がしてたんだ」  
意外なことにカルシウムを摂った方が蓚酸カルシウム結石予防になるそうですよ
「え? 嘘でしょ~? 君はうちのカミさんのまわしもの?」  驚き1

カルシウムを摂取しても、リン酸などと結合していて、フリーイオンのものは少ないので
無闇に腸管で吸収されることもなく、吸収されても体内で骨形成などに有効利用されます
結石となるのは、尿中にカルシウムが排泄され易くなる原因のある時です

蓚酸も同様で、蓚酸の多い食物を食べても半分は腸内細菌に分解されますし
カルシウムやマグネシウムと結合した蓚酸は吸収されずに便中に出てきます
尿中に出てくる蓚酸の8割は体内でビタミンCなどから作られたものだそうです

「カルシウムでも蓚酸でも沢山食べたから尿に沢山出てくるとは限らないのか~」  かおまる  
1993年にCurhanという人が45619人の成人男性を4年間追跡調査
した結果、カルシウム摂取が多い人の方が結石が出来難い事が判明しました
何故かと言うと、カルシウムは腸管で蓚酸を吸着して吸収を妨害するからだそうです

「昔は尿路結石にはホウレン草やカルシウムが良くないと言われていたけどね」  かおまる
チョコレートやピーナッツの蓚酸はそのまま残りますが、ホウレン草はゆでると
蓚酸が減りますし、むしろビタミンCの摂り過ぎに気をつけた方が良いようですよ

今回、フルイトランとザイロリックとグルコン酸Kとフリバスが出ていますね
フルイトランなどのサイアザイド系利尿薬は腎臓でカルシウムの再吸収を増やして
カルシウム排泄を減らしますし、体内にカルシウムを戻せば骨粗鬆症の予防にもなります
但し、尿酸排泄も妨害するので血液中に尿酸が増え痛風を起こしてしまう恐れが
生じますので、ザイロリックという尿酸の産生を阻害するお薬ものんで頂きます

「尿酸はカルシウムと違い体内に戻すと良くないんだ~痛風も痛いらしいからね~」  汗 
同じ痛風薬でも、下手に尿酸の排泄を増やすタイプのお薬を使いますとダメなのです
何故なら、蓚酸カルシウム結石は尿酸を核として成長することが多いからなんです
これをエピタキシといい、結晶が似ている者同士は相手を核として結晶化出来るそうです

「僕の結石も尿酸が中心にある混合結石だと言われたな」  かおまる  
七千年前の古代エジプト古墳で発掘された子供のミイラからも、尿酸を核とした
蓚酸カルシウムとリン酸アンモニウム・マグネシウムの混合結石が見つかりました

「そんな時代から尿路結石で悩まされていた人がいたとはね~同情するよ  かおまる 
今は有り難いよね~ドイツ製の機械で石を砕いて出てきやすく出来るそうだよ」

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)は腎臓や骨盤より上の上部結石に使用されます

エジプトのミイラの人は膀胱結石で、昔は膀胱や尿道などの下部結石が多く
食生活が豊かになるに従って、上部尿路結石が増加する傾向があるようです
尿路結石も内臓脂肪蓄積が原因で起こる生活習慣病の一つと言われています

サイアザイド系による低カリウム血症の予防の為にグルコン酸Kも出ています
「医者が年齢的にも前立腺肥大のお薬飲んどいた方がいいよと言ったけど」
フリバスは前立腺肥大によって狭まった尿道のα1受容体というところに作用して
尿を出やすくするお薬ですが、α1受容体は腎臓から膀胱までの尿管にもあるので
尿管を広げる効果もあり、結石が降りてきやすいようにして、痛みも軽くします

「痛みが減るのは大歓迎だな~水分も多く摂るように言われたので、カミさんに
牛乳も我慢して飲む代わりに、晩酌のビールも増やしてくれるように頼もうっと」
  えへ5 
ビールには確かに利尿作用がありますが、尿酸が多いので程々になさって下さい

(注) 最近(2008年)Curhanらにより発表された研究では
    尿中尿酸量は結石患者で低いという、従来の説とは正反対のデータが示され
    尿路結石の成因については今後さらなる大規模臨床試験が待たれるそうです



                 ~ 薬局あるある ~ 

うちの薬局では、フリバス50、フリバス75、フリバスOD50、フリバスOD75の
大きな箱が、医薬品密度が高くてただでさえ狭い『ハ行』の引き出しを占領しています

アビショットが販売中止になって正直ホッとしています(異名併売品撲滅委員会?)

それにしても何故、『ア行』と『ハ行』で始まる薬品が多いのでしょうか?
新薬はなるべく『ナ行』で始まる名前にして頂きたいと願っています

          
          このところ四角いお皿を頂いたので気に入ってそればかり使っています  
四角いお皿のもち米シュウマイ   四角いお皿のエビチリ   四角いお皿の酢豚  


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血糖下げて・血圧下げて・脂質下げて・腎機能下げないで・塩分摂らない

(前回のブログの続きです)
地井足り内さん(架空の人物)糖尿病性腎症からくる腎性貧血と
診断されましたが、HbA1cはむしろ改善されてきているそうです

鉄欠乏性貧血や腎性貧血などで赤血球の寿命が短くなると、出来た糖化ヘモグロビン
が蓄積されずに減るので、実際のHbA1cよりも低く出ている可能性があります
「そうか~ヘモグロビン・エー・ワン・シーは、酸素を運ぶヘモグロビンの中で
糖がくっついて離れなくなったものの割合を測っているんだものね」
  かおまる

又、インスリンは腎臓で30%近く代謝されるので、腎機能が落ちるとインスリンが
いつまでも体内で働き、それが原因でHbA1cが下がってきているのかも知れません

「それでもとりあえず、先月から糖尿病のお薬が軽い物に変わったはずだよ?」  ブー1
確かにアマリールというお薬からグルファストというお薬に変わりましたね

アマリールは、肝臓で代謝された後でも若干血糖を下げる作用が残っており
腎臓から排泄される迄効いているので、腎機能が低下するにつれて作用時間が
本来期待されているよりも長引いてしまうのです

一方、グルファストの肝臓代謝物にも少し血糖降下作用がありますが、それは
迅速に体外に排出されてしまいますので、腎機能が落ちても影響の少ないお薬です

「医者が今度の薬が合わなかったら、もう一種類しかないと言ってたな」  汗5
それはグリミクロンの事でしょう、このお薬の肝臓代謝物には血糖降下作用が
ありません
ので、腎機能低下しても作用が長引く恐れが少ないお薬だとされています

「なるほどね、医者も色々と考えて薬出してくれてるんだね~ かおまる  じゃ、血圧はさほど
高くないのに、血圧を下げるブロプレスのんでいるのも何か訳があるのかな?」

腎臓は細かい血管が毛糸玉のように集まった糸球体というもので出来ていますので
血管中の圧力が高くなると、腎臓に負担がかかり機能が悪くなって行きます

先程も言いましたが、糖尿病ではレニン・アンジオテンシン系が過剰に機能して
上腕の血圧が高くなるよりもっと前から、糸球体内圧が高くなると言われますので
RA系を抑えるブロプレスのような『RA系抑制剤』が腎臓を労わってくれるのです

「全身の血圧が高くなくても、腎臓の血圧は下げた方がいいんだね」  かおまる    
全身の血圧を下げるには『カルシウム拮抗薬』というタイプの降圧剤が
優れているのですが、この系統のお薬は、腎臓の入り口の血管は広げるけど
肝腎の出口を広げてくれないものが多く
、糸球体内圧は逆に高くなる恐れがあります

「血圧の薬なら何でもいいという訳じゃないんだね」  驚き1
『RA系抑制剤』は腎臓出口の血管も広げるので、糸球体降圧薬とも呼ばれ
ブロプレスは血圧の高くない人がのんでも、糖尿病腎症になるのを防げるそうです

「でもブロプレスだけでは足りないのか、今回新たな降圧薬が増えたんだよ」  汗
腎臓を守るためにはさらに糸球体血圧を下げた方がいいので、お薬が加わりました

今回出たアテレックというお薬は腎臓の出口も広げられる『カルシウム拮抗薬』です
一般の『カルシウム拮抗薬』はL型チャネルのみに作用するのに対し
アテレックはN型のチャネルも抑えるので、優れた血圧降下作用に加えて
『L型拮抗薬』にありがちな反射性頻脈や糸球体内圧上昇などの欠点がないのです

「でもあんまり血圧下げたら小学校の時のように頭に血が回らずにフラァ~としない?」  かおまる  
血圧が多少変動しても脳内の血流を一定に保つ脳血流自動調節能がありまして
アテレックをのんで血圧が下がっても、その調節能には影響が無いそうです

「全身の血圧も、腎臓の血圧も下げ、しかも脳の血流は保つんだね、すごい!」  かおまる
腎臓にも同様の自動調節能があるのですが、糖尿病ではそれが破綻しているのです

「コレステロールもやや高めなんだけど、お薬出すべきか医者が悩んでいたよ」  かおまる 
糸球体は血液の濾し器でして、脂っこい血液ばかり濾してると目詰まりを
起こしてしまいますので、脂質異常症を是正すると腎機能も良くなります

コレステロールを下げるスタチン系と呼ばれるお薬には、炎症を改善する作用もあり
高脂血症ではないけれど糖尿病腎症だという人の腎症を改善したという報告があります

「じゃもし、コレステロールの薬も出されたら素直にのむよ  スマイル2  
それに、医者が、初期の糖尿病腎症は治る可能性があると元気づけてくれたんだよ」

最近の研究で、血糖と血圧と脂質を基準内にすることで、糖尿病腎症も良くなると
言われています、それと、減塩にも気をつけて下さいね!

(注)スルフォニル尿素薬やグリニド系薬は肝臓で代謝され主に腎臓で排泄されますが
   肝での代謝物にも弱いながらも血糖降下作用があるので、腎機能低下者では
   遷延性低血糖などの危険性の為投与禁忌で、基本的にインスリンの適応となります

   グルファストは活性のあるヒドロキシ体が比較的早く排泄され(30分後、2%)
   グリミクロンは主代謝物のカルボキシル体に血糖降下作用が無いので
   この二つは腎機能低下者でも比較的安心に投与されるそうです
   
(注)SU剤の話はとある医師の話を基に各薬品のインタビューフォームを参考にさせていただきました
   確認不足だったらごめんなさい!

     夜の庭1     夜の庭2
お盆休みは庭の美しい懐石料理屋さんに行きました  
写真は夜の庭ですが、かがり火がたかれ、池の蛙も鳴いて、風情がありました

     玄米寿司
私よりも健康志向の強い姉が作ってくれた玄米寿司です  美味しかったです


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貧血でたちくらみ おいしい物には目がくらむ  

鉄剤の服用を始めた地井足り内さん(架空の人物)は緑茶が大好きだそうです
「待合室で隣の人から聞いたんだけど、お茶の中のタンニンという成分が
鉄とくっついて吸収が悪くなるから、同時にのんだらダメなんだって?」
  驚き1
口から入った鉄は元々10%程しか吸収されず、鉄剤には大量の鉄分が
含まれていますので、お茶により多少吸収が妨げられても大丈夫です
それに、鉄欠乏性貧血の時は通常よりも腸での鉄の吸収率が良くなっていますし

「僕の場合は鉄欠乏性貧血じゃなくて、糖尿病のせいで腎臓の働きが弱ってきて
『エなんとか』というホルモンが少なくなって貧血になったんだ」
  うへー  
それは腎性貧血です。 腎臓は動脈血中の酸素分圧が低くなったのを感知して
酸素を運ぶ赤血球の産生を促すエリスロポエチン(EPO)というホルモンを
分泌しており、腎機能が低下すると、そのホルモンの分泌が減って貧血になります

「だから僕はその『エなんとか』を補う注射をして貰ってるんだ」  スマイル  
ヒトEPOは、遺伝子組み換え技術により注射薬として作られています
生体内では肝臓からも分泌されますが9割は腎臓の尿細管間質細胞から分泌され
腎性以外の貧血の時や、標高が高くて酸素の薄い所に登った時は分泌量が増えます

「ドーピングで有名になったお薬だってね」  汗5  
マラソン選手などが高地でトレーニングすることにより、自前のEPO分泌
促すのはいいのですが、注射で外からEPOを補給するとドーピングになります

「酸素が体中行き渡るからスポーツにはいいんだろうなぁ~ かおまる でも、鉄欠乏性
じゃなくても鉄剤ものむんだね」 
  EPOは赤血球製造工場をフル稼働
させますので、その材料である鉄分も同時に補給しておくことが大切です

「待合室で隣り合わせた人も貧血の注射を打ってるそうだよ、そんな人は意外と
多いんだね~ かおまる 十年位前に胃潰瘍で胃を全部取っちゃったので貧血になったんだって」

胃はビタミンB12の腸での吸収に必要不可欠な内因子を分泌していますので
胃を全摘した直後は肝臓に貯蔵されていたビタミンB12がまだ残っていますが
それが枯渇してくる数年後にはビタミンB12不足による神経障害や貧血が出てきます

赤血球が脱核する前のDNA合成には葉酸やビタミンB12が関わっているのです
これは以前に悪性貧血と呼ばれていた、内因子を壊してしまう自己免疫疾患と同じで
ビタミンB12を消化管から吸収出来ないので、外から注射するしかありません

「僕のとは違う注射なのか~ かおまる でもその人も鉄剤をのんでいるらしいよ」
鉄は酸性下で吸収され易い2価になるので、胃切除して胃酸が減ると吸収も減ります

「酸性のビタミンCのむと鉄の吸収にいいんだってね」  かおまる 
そうなんですが、逆に胃酸を抑えるタイプの胃薬は鉄吸収には不利なのです
けれども胃をこわすと、血液成分の材料となる他の栄養素の吸収が出来なくなり
元も子もなくなりますので、必要とあらば胃薬をのんで頂いた方が良いです

「大丈夫、胃は丈夫な方だから、栄養の吸収が良すぎて糖尿病になったんだから」  かおまる
余剰の鉄分は、フェリチンなどと結び付いて貯蔵されていますので
血清フェリチンを検査すれば赤血球に鉄を供給出来る潜在能力が分ります

「小学校時代はよく朝会で倒れる子だったけど、当時から貧血気味だったのかね」  かおまる
それは脳貧血といいまして、足まで下がった血液が重力に逆らって上がって来れ無くて
脳虚血になってしまう現象で、筋力が未発達の幼少児期に、長時間立ちっぱなしでいると
なりやすく、成長して下半身の筋力が鍛えられるとなりにくくなります
「確かに、中学になってからはならなくなったね、バレー部に入ったからかな」

腎臓は血圧調節にも関与し、血圧が低くなるとレニンという蛋白分解酵素を出して
レニンがアンジオテンシンⅡという物質を活性化し血圧を上げています
腎臓が弱くなると、レニンを多く分泌するようになり腎性高血圧になります
「腎臓から出ているものでも、腎臓が弱まって減るのと増えるのとあるんだ」  汗1
しかも、為になる方は減り害になる方は増えるんです

「ともかく、これ以上悪化しないように糖尿病のコントロールに気をつけるよ」
エリスロポエチン補給で貧血が良くなると、腎機能低下も食い止められるそうです
「不思議なのは、糖尿病が悪化して腎臓が弱くなったってのに、おかしなもので
HbA1cは良くなって来ているんだ、医者はなぜかいい顔しないけど・・・」
  かおまる   
それには、理由があるんですよ・・・(次回に続く)


      伊藤豊雄1      日建設計
  
      建物を見に行くのも結構楽しいです    写真が下手ですが・・・


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プロフィール

フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

カテゴリ
エコライフ

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