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旨い物を食べるのは先祖孝行か、はたまた不孝か

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~





「この夏は良く戦争に関する特番やってたが、戦後70年の節目の年だったんだね~」  かおまる
庁館 順観(ちょうかんじゅんかん)さんは、終戦時は15歳でいらしたんですね

「田舎に住んでたから、食糧難で苦しんだ経験は無いが、兄が戦死したのが痛手でね」  泣き1 
幸い今は平和で医療も発達しているので、お兄さんの分も長生きしないといけませんね

「流石に85歳にもなれば、血圧やコレステロールも高くなろうってもんさ   ブー1
でも医者が、そういうのを下げる薬をのめっていうから、おとなしくのんでいるよ」

いつも、降圧剤のアムロジピンと、コレステロール(CHO)を下げる成分のアトルバ
スタチン
が合わさった合剤のカデュエットというお薬を、のんでいらっしゃいますね

「痛くも痒くも無い事で、薬のみたくないから、一粒だけのめば良いのにして貰った」   かおまる
でも、血圧やCHOが高いのを放っておくと心筋梗塞等になる危険性が増しますからね

「漬物食ってばかりで血圧が高いと脳溢血にはなるだろうが、心臓病にもなるのか?」  冷汗1 
アメリカのマサチューセッツ州にあるフラミンガムという都市で、1948年に開始された
大規模試験
がありまして、全く心臓病が無い人々を追跡調査して、一体何の数値が悪いと
将来、冠動脈疾患(CAD)に罹ってしまうのかを解明する研究
で、現在もまだ続行中です

「1948年と言えば田舎から出て来て働き始めた頃で、東京にはまだ闇市があったよ」かおまる  
戦勝国だからこそ戦後間もなく、そんな先見の明がある研究を始められたのでしょうが
肉食を中心としたアメリカ型の食生活では、従来、脳梗塞よりも心筋梗塞が多かったのです

「日本でもトンカツや焼き肉を食えるようになると、心臓がウッ!ってなる人が増えたよね」かおまる
研究が始まった頃はまだ、CADの危険因子が全ては分かっていなかったので、後から
危険因子と判明したものの数値を測れる様に、その時の血清を凍結保存されているそうです

「日本の一般家庭にはまだ冷蔵庫もない時代、血液を凍らしてとっとくとは凄いね!」スマイル  
研究によりますと、年齢と主に、収縮期血圧は上り、拡張期血圧は55~60歳の辺りで
変わらないか寧ろ下がる傾向
があり、つまり、上と下の血圧が開き、脈圧が大きくなります

「僕は、上は高いが、下が低いからまぁ良いや~と思っていたが、年のせいだったの?」  驚き1
若い人の場合は、拡張期高血圧は心臓に良くないのですが、高齢者ですと寧ろ拡張期血圧
の低下、つまりは脈圧の増大の方がCADのリスクと密接にリンクしている事が判明しました

「じゃ、下が低いからって喜んでる場合じゃないの?  ここ最近60代の時もあるよ」  かおまる
拡張期血圧低下は自力で食い止められないからこそ、降圧剤を服用する意味があるのです
同研究では、降圧剤できちんと治療していた人のCADの発症率は明らかに低下しています

「まぁ、脳梗塞も恐いから血圧の薬はのむけど、でもCHOも何か関係しているのかね」  かおまる
フラミンガム研究では、65歳以下でCADを発症した人に特徴的だったのは、高血圧と喫煙と
高CHO血症で、特に悪玉のLDL-CHOが高く、善玉HDLが低いと良くない様です

「僕は、LDLが高く、HDLは低いので、ダブルパンチじゃないか~」  驚き1  
データでは、CHO値が1%増えるとCAD発症頻度が2%増え、逆に高CHO治療薬をのんで
CHO値を下げると頻度も減るので、血清脂質を正常値に保つ事が重要とされています

「でも健康雑誌に、CHOは大切な成分なので下げ過ぎない方が良いと書いてあったよ」かおまる  
確かに、悪玉LDLと申しましても、真の悪玉は更に、LDLでもサイズが小さい小粒子LDL
や酸化を受けた酸化LDLだと言われ、これを超悪玉LDLと呼んでいますが、普通の検診では
そこまで細かく検査しないので、LDL中どの程度が超悪玉なのかは本当は分かりません
但し、HDLが低く中性脂肪が高い場合は、超悪玉LDLも高いのではないかと予測されます

「じゃ僕は超悪玉が多いタイプかも? 中性脂肪も上がっちゃって医者が頭抱えてたもん」冷汗2
それを踏まえて今回新しく、別系統のCHO低下薬のゼチーアというお薬が加わった様ですね

「中性脂肪を下げる薬を上乗せすると、筋肉が融ける副作用が心配なんだって」  汗5
一番良く中性脂肪を下げるのはフィブラート系のお薬なのですが、横紋筋融解症の副作用があり
アトルバスタチンの様なスタチン系のお薬にも同じ副作用があるので、併用は考え物です

「僕は息子に片腎をあげているので、それを心配した医者が別の方法を探してくれた」スマイル2  
腎機能が弱まっている場合は、特に横紋筋融解症のリスクが増すと言われていますからね
スタチン系剤もゼチーアもLDL-CHOを下げるお薬ですが、スタチンは体内でのCHOの
合成を阻害
するのに対し、ゼチーアは小腸でCHOを吸収しているCHOトランスポーター
(NPC1L1)に結合
して、胆汁や食事からのCHOの吸収を防ぎ、CHOを減らします

「CHOを吸収させないんなら、善玉のCHOも減るんじゃない?」  かおまる
ゼチーアは、スタチンと併用すると、HDLは8~9%増加すると言われています

「分かった、では、食事中のCHO吸収を防げるんだから、食べる前にのめば良いね?」かおまる  
ゼチーアは、小腸でグルクロン酸抱合を受け、全身を循環した後、胆汁中へ排泄され
腸内細菌により脱抱合され、再び吸収されという腸肝循環を繰り返しながら、最終的には
10日後に8割程が便中に排出されるペースで、長期に亘り体内に留まって作用しますので
一日一回のめば服用開始後3日程度で体内濃度が定常状態に達し、効果が継続します

「中性脂肪も下げるのかな?」   かおまる
主にLDL-CHOを下げますが、スタチンと併用すると中性脂肪低下効果もあります

「ここだけの話、実は僕は油っこいものが大好きでね、LDLが高くても仕方ないんだ  かおまる   
戦前には冷蔵庫なんて物も無かったが、今じゃ毎日から揚げ食いたきゃ食える時代だし
お盆の墓参りで、兄貴の分も旨い肉食ってやるからな、と墓前に誓ったけど、旨い物は
諦めて兄貴の分も長生きするべきなのか、どっちが兄貴が喜ぶのか、悩むよなぁ」

悩ましい所ですが、やはり薬だけに頼るのではなく、食事療法もして頂きたいですね







参考 : ライフサイエンス出版のJPT Online   セチーアの添付文書   他
     

ゼチーアは効力の割に値段が高いのが難点ですね~

日本内科学会理事長で帝京大学医学部の寺本民生先生によると、
フラミンガム研究が、現在の高脂血症の診断・治療ガイドラインの骨格を作った
と言っても過言ではないそうです

フラミンガム研究の功績は、早期から、どういう人が動脈硬化になり易いかという事を
明確に数値化してきた
事で、疫学研究の所見を介入試験で証明・確認し
その結果がガイドラインに反映されていったのだそうです


CETP(コレステリルエステル転送蛋白)欠損症の人が意外にも身近にいました
その方は治療レベルではないのですが、HDLが100以上あるそうです

そういう病気がある事だけは知っていて、HDLが高くなるので羨ましいと思っていたら
HDLは高くても役に立たないHDLなので、あまり良くないのだそうです

CETPが欠損すると高HDLになるという事で、低HDL治療薬として
CETP阻害剤
の開発がされているようです


似たような話で、家族性高コレステロール血症の原因遺伝子の研究から
LDL受容体の分解を促進するPCSK9の働きを阻害する事で
LDL受容体が残存して血中のLDL-CHOが効率よく細胞に取り込まれる
PCSK9阻害剤という、新たなジャンルのLDL低下剤が開発中


又、リポ蛋白リパーゼの遺伝子異常により、末梢でのTG引き抜きが障害されて
高TG血症となり、致死性の膵炎を生じる家族性高カイロミクロン血症の研究から
末梢のリポ蛋白リパーゼを阻害するApoCⅢを阻害してTGを減らす
ApoCⅢ阻害剤という、新たな作用機序のTG低下剤も開発中だそうです


もう十年もたつと「そう言えば昔は高脂血症の薬と言えば、スタチンと
フィブラートだったよね~」
と懐かしむ時代が来るのでしょうか?

「そう言えば昔は、糖尿病の薬と言えばダオニールだったよね~」
懐古調になっているような感じで・・・




娘が浴衣を着ようと思って箪笥を開けていたら、いつのまにか入り込んでいたノン

ノン1


リボンをつけられて不本意なノン

ノン2 ノン3

ノン4  とってほしいのニャ~ 


お風呂に入れられて不本意なノンとフワフワになったノン

ノン6 ノン5


この夏の過酷な暑さに耐える多肉達

サブセシリス マーガレットレッピン



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日本人の出したもうひとつの世界新

先日、コレステロール談義で盛り上がった(?)患者様が来局されました
「LDLコレステロールは140まで大丈夫って聞いて帰ったんだけど
僕の兄は、医者に100未満にするように言われて、リピトールっていう
コレステロールを下げるお薬を出してもらっているんだよ」   jumee

LDLコレステロールの基準値は、心臓に不利な条件(注1)がどれぐらいあるか
で決まり、心筋梗塞などを起したことのある人ではさらに厳しい基準になります

「そうか、兄貴は5年前に心筋梗塞を起したからな  
あの時は、兄嫁や姪達はパニックになっちゃって、僕が救急車を呼んだんだ
後で兄貴に 『お前が落ち着いて対処してくれたんで助かった』 って感謝された
僕は昔から、心臓に毛が生えてるって言われるくらい度胸がすわってるからね
『心臓に毛がはえてる』っていうのは不利な条件をひとつ相殺できるかな?」  笑
そうですね、やっぱり、血圧を下げた方がいいと思いますよ

お兄さんのお薬は『スタチン系』というグループのお薬で
現在6種類あり、どれもLDLコレステロールを下げるのが得意です
コレステロールは夜作られますので、お薬は夜のんだ方が効果的ですが
リピトールは一日中効くので朝のんでも効き目が変わらないといわれています

スタチン系を最初に発見したのは日本人なんですよ。ピース 遠藤章博士という方です  
欧米では心筋梗塞が死亡原因のトップだったので、日本以上に
コレステロールを下げるお薬を躍起になって探していました
博士は、新しい物質を合成しては効き目を調べるやり方だと欧米にかなわないけれども
農村育ちの自分が、幼少時から親しんで熟知しているカビやキノコの分野なら
欧米の研究者の盲点だろうと考え、2年かけて、カビからスタチンを発見したのです

カビには、他の微生物が増えないように、相手の菌の細胞壁のステロール合成を
妨害する物質を出すものがあると考えたのです。目の付け所が良かったのですね  
抗生物質と同じ考え方で発見されたので『動脈硬化のペニシリン』とも呼ばれています

「カビ対バイ菌の仁義無き戦いだね」  生死をかけたガチンコ勝負ですね~  羅琉 ニヤリ
博士と同時期に米国でも多数のコレステロール降下薬候補の物質が作られたけど
実際にコレステロールを下げる作用が見つかったものは一つも無かったそうです

スタチン系薬のおかげで心臓の病気で亡くなる方が激減しました
又、生活習慣とは関係なく、体質的にコレステロールが高くなってしまう病気を
家族性高コレステロール血症というのですが、その治療や原因解明にも役立ちました
この遺伝体質のある人は総コレステロールが300にもなってしまうので
スタチンなどのお薬をのまないとコレステロールが下がりません
「なるほどね、そういう体質の人ならすぐにお薬出してもらえるんだな」

生活習慣とは関係なくコレステロールが高くなってしまうものでは他に
甲状腺機能が落ちてしまう病気があり、その場合はスタチンよりも
甲状腺を元気にするお薬をのまないとコレステロールが下がりません

また、女性ホルモンはコレステロールを下げる働きがあるので  は-と
女性は、40代後半からコレステロールが高くなる傾向があります
「そういえば、妻は今までコレステロールでひっかかったことなんて無かったのに
ここのところ急に高くなったってボヤいてたな」
ですが、女性は元々男性に比べ、心臓の病気を起こす人が少ないといわれています

女性ホルモンには『女性らしくなるホルモン』のエストロゲンと
『母親らしくなるホルモン』のプロゲステロンの二つあり
エストロゲンの方がコレステロールを下げているといわれますので
私もなるべく『女らしく、しとやかに』すればエストロゲンがたくさん出て
コレステロールが上がらないんじゃないかと頑張っているんですけど  jumee
「あんまり成果が上がっているようにはみえないね
やっぱり、食事と運動しかないんじゃないの?」

(注)コレステロールの基準値に関しては、各国で違い、国内でも動脈硬化学会や人間ドック学会などでも違い、検査機関によっても記載基準範囲が微妙に違っています
(注1)心臓に対する6項目の危険因子とは、高血圧、糖尿病、喫煙、心筋梗塞家族歴、加齢(男性45歳、女性55歳)、HDL-C<40mg/dL、です

越後屋コレステロール

「今日は、多分コレステロールの薬が増えてると思うよ」 
と処方箋を差し出しながら、患者様が不安げな表情でおっしゃいました  

「検査でコレステロールが二つも異常値の赤字だった 二つもだよ!」
いつもの血圧のお薬しか出てませんねぇ。 医師は何かおっしゃってましたか?

「先生には 『これ位は大丈夫』 と言われたけど、心配なんだ
もしかして出し忘れたのかも知れないから、電話で聞いてみてくれる?」
と、患者様が見せてくださったコレステロール検査値は、次のようでした

総コレステロール  235mg/dL (130~219)
中性脂肪       75mg/dL  (30~149) 
HDLコレステロール 90mg/dL   (40~80)

確かに二箇所に赤い数字がございますが、これは心配のない赤字です

総コレステロール = LDLコレステロール + HDLコレステロール + 中性脂肪 / 5  

という 『Friedewaldの式』 に当てはめて計算しますと

LDLコレステロールは130mg/dLで、基準の70~139の範囲内ですOK

これを見ますと、総コレステロール高値は、HDLの高値が原因です
HDLは、いらなくなったコレステロールを体の隅々から集めてくる善玉の
コレステロールなので、むしろ高い方が有利なのです

HDLが低いと、低HDL血症と言って治療の対象となりますし
HDLを増やすお薬を開発している位なのです
基準範囲よりも高いので赤字になっていますが、この程度のはみ出しなら大丈夫です
さすがに100を越すと、遺伝子異常の疑いもあるそうですが
それはごくまれなことですし、たとえその異常だとしても危険性は少ないそうです (注)

「へえ、HDLが善玉なのか。すると悪玉はどれ?」
中性脂肪とLDLが悪玉といわれています

HDLが水戸黄門で、中性脂肪が悪代官で、LDLが越後屋というかんじでしょうか
でもLDLが全部悪い訳ではなくて、本当に悪いのはLDLの中のほんの一部で
普通サイズのLDLはさっきのHDLとは逆に体の隅々にコレステロールを運んでいます
『真の悪玉』は、小粒子LDLや、酸化LDLで、これが動脈硬化の原因になります

越後屋さんが廃業したら、庶民の生活に支障をきたすでしょう?
悪いのは悪代官と結託している越後屋の主人だけで
番頭さんや手代さんは実直な商売人ということです

「ふ~ん、コレステロールって体に悪いものだとばっかり思ってた」jumee
そういうふうに誤解なさっている方は多いのですが、コレステロールは体内で
細胞膜や大切なホルモンの元になっている重要な成分で、その証拠に体は
一旦胆から排出したコレステロールを再び腸で吸収して再利用している程なのです
又、肝臓でもせっせとコレステロールをこしらえています
体に大切な構成成分ですが、少なすぎても多すぎてもいけないんですね

この検査値によると、悪玉の中性脂肪は少ないですし
LDLは上限に近いですが真の悪玉はその中の一部ですし
HDLはむしろ多いので、心配無いんじゃないですか
赤字が二個位平気ですよ。 うちの家計簿に比べたら・・・

「薬剤師さんも大変なんだね・・・」
それに、たとえ悪玉コレステロールが高くても、まずは食事や運動で下げるように
頑張って頂いて、それでも改善されない場合に初めてお薬を服用することになります

「そうなのか、コレステロールが高いとすぐに薬を出してもらえるんだと思っていた
その方が薬局も儲かるんでしょうに」
お薬に頼らず、生活習慣の改善でよくなったらそれが一番ですよ

「でもそんなに欲が無いんじゃ、薬剤師さんの赤字はなかなか解消されないね」
『おぬしも悪よの~』の越後屋じゃなくて
皆さんに愛される健全な越後屋(的薬局)を目指しています jumee   

(注) 0.1%未満の確率で、CETP欠損症というHDLコレステロールが高くなってしまう遺伝子異常がありますが、それによって心臓病が起こりやすいかどうかはまだ解明されていないそうです
また、大量にお酒を飲む人でもHDLが高くなることがあるそうです    
プロフィール

フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

カテゴリ
エコライフ

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