『 Why Japanese people?! 』

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~






崔 義信(さいぎしん)さん
は数カ月前、『ダマされるな! 医者に出されても
飲み続けてはいけない薬』
という週刊誌を読み、気色ばんで薬局にみえました

「あの時は、僕がのんでる血圧の薬の名前が出ていたので驚いたんだよ」  かおまる
私もネットでその記事に目を通させて頂きましたが、確かに、崔さんがのんで
いらっしゃるミカルディスも、やり玉に挙げられていましたものね

「記事によると、ミカルディスの様なARBと呼ばれる降圧薬は、高価なだけで  かおまる  
寿命を延ばす効果は、古くからある利尿剤でしか確認されていないとの事だった」

利尿剤に比べて歴史がまだ浅いARBについては、延命効果があるかどうか等の
大規模試験はこれから
行われて、効果が判明して行くのではないかと思われます

「そんな新参者より、評価が確定している利尿剤の方が良いと先生に頼んだんだ」  かおまる
今回追加で、サイアザイド系類似利尿剤ナトリックスと言うお薬が出ていますね

「利尿剤は浮腫んだ時にのむとすぐ治るので、キレ味のいい薬だといつも感心して  えへ5
いたし、値段も安くて、それが優秀な降圧薬でもあったなんて嬉しい驚きだよ」

浮腫時に処方されるのは、ループ系利尿剤フロセミドと言うお薬で、利尿作用は
強力ですが、その分は頻尿になり、作用持続時間も短いので降圧剤には向きません

「作用時間が短いって事は、一日に何回ものまなきゃならないって事か」  驚き1
ループ系利尿剤は、ヘンレ係蹄上行脚において、ナトリウム(Na)、カリウム(K)
塩素(Cl)の共輸送を抑制
する事で、又、サイアザイド系利尿薬は、遠位尿細管
においてNaとClの再吸収を抑制することで、それぞれ利尿効果をもたらします

「利尿剤は体内の塩分を減らす事によって、水分を減らす薬なんだね~」  かおまる  
作用が強力で迅速なフロセミドは、用量依存的に効果が増大すると言う特徴もあり
心不全や肝硬変や腎不全等の重症時には大量投与可能な、天井が高いお薬です

「フロセミドは効き目も良いが、のめばのむ程よく効く利尿剤なんだね」  スマイル  
ですが、大規模試験のサブ解析でループ利尿剤の投与量が多い程、心不全の予後が
悪化する事
が判明したので、天井が高いからと言って使い過ぎるのは禁物です

「そう言えば雑誌で誉められていたのは、サイアザイド系利尿剤だったかも・・・」  かおまる
作用持続時間が長いサイアザイド系利尿薬は、一日一回の服用で良く、用量増加
しても効力は変わらないので低用量で効き、頻尿の心配もありません

「それで先生が、浮腫みに効くフロセミドじゃなくて、ナトリックスを出したんだ」  スマイル2  
サイアザイド系は食塩摂取過剰で高血圧になっている場合には最適な降圧剤ですが
Naを喪失すると反応性に腎臓でのレニンの産生を促し、血圧を上げるホルモン系の
レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系が刺激されますので
RAA系を抑える降圧剤の、ACE阻害薬やARBとの併用が推奨されています

「でも雑誌には、ミカルディスの様なARBは、昔使われていたACE阻害薬と   ブー1
言う古いタイプの薬の特許が切れ、製薬会社のうまみが無くなったので、次のドル箱
として開発して、製薬会社のゴリ押しで売れるようになった薬だと書いてあったよ」
今回、ミカルディスから、ACE阻害薬のコバシル4mg2錠朝服用に変わっています
RAA系抑制剤は、カルシウム拮抗薬と呼ばれる強力なタイプの降圧剤に比べて降圧
効果は劣るのですが、副次的に心臓や腎臓に対する保護効果がある事が判明しています
ですが、臓器保護効果が見つかったのは殆ど、ACE阻害薬対象の研究なのだそうです

「先生は、コバシルだと空咳が出るかも知れないのが難点だけどね、と言ってた」  かおまる
ACE阻害薬の副作用に空咳があり、それを改善した物がARBなのですが
その空咳を逆手にとり、ACE阻害薬を誤嚥性肺炎予防に使う場合もあります

「咳というのはある意味、生体の防御を担う重要な反応だからね」  かおまる  
空咳の原因は、ACE阻害薬がブラジキニンと言う物質を増やすからなのですが
この物質は運動した事と同じ状態にする作用もあり、有益な面もあるのです
つまり、ACE阻害薬とARBでは微妙に作用が違いますので、一括りにRAA系
抑制剤だからと言って、ACE阻害薬の優秀なデータを、ARBにも当て嵌めるのは
あたかも、日本が勝利したのを、アジア人種全体の勝利の様に言うのと似ています

「オリンピックの400Mリレーで、日本が銀メダル取ったら『黄色人種も短距離  かおまる   
に強いと証明された』とまるで自国の勝利の如くに豪語していた国があったなぁ」
コバシルは、ご希望なら後発品にも変えられますので、コストも抑えられます

「朝に2錠のんじゃって良いんだね、朝晩に分けなくても?」  かおまる  
降圧剤は、一日一回の服用で済む、長時間安定的に効く方が、交感神経やRAA系等
昇圧系を刺激する恐れが少ないと言われ、カルシウム拮抗薬ならアムロジピン
ARBならミカルディス、ACE阻害剤ではコバシルが、最長持続時間を誇ります

「痛み止めだと早く効いて欲しいが、降圧剤は穏やかに長く効く方が良いんだね」  かおまる 
他にも、コバシルは脳移行性があるので、脳梗塞や認知機能低下を抑制する効果 (注1)
もあり、又、日本でも海外と同じ用量で使える稀有なACE阻害剤でもあるのです

「他のACE阻害剤だと、海外と同じ用量で使え無いの?」(注1)  かおまる
ACE阻害薬で輝かしい臓器保護効果が証明された海外での大規模研究の多くは
日本では認められていない高用量を使われているので、だからこそ今迄は先生も
有効量を処方出来るARBの方を、処方せざるを得なかったという面もあります

「先生が、文献を調べるから二三カ月待ってくれ、と言ったのはその為だったのか」  かおまる
サイアザイド系利尿剤の優位性が証明された研究には、米国で33357人が参加した
ALLHAT研究が有名で、他にもSHEP試験もありますが、それらで使用された
サイアザイド系はクロルタリドンという物で、日本では現在販売中止となっています(注2)

「日本では、なんでそんな良い薬を販売中止にしちゃったんだろう!?」  驚き1 
一方、日本でARBとの合剤で販売されているサイアザイド系のヒドロクロロチアジド
降圧効果ではクロルタリドンに劣り、又、オーストラリアで6083人が参加した
ANBP2と言う大規模研究でも使われましたが、心血管合併症予防効果に於いて
ACE阻害剤のエナラプリルに負けると言う、ALLHAT研究とは逆の結果が出ました

「今日本で多用されているサイアザイド薬は、海外の研究では負け組だった奴なんだ」   冷汗2
今回処方されたナトリックスは、海外の数々の大規模試験で有用性が証明されています
ナトリックスとクロルタリドンは、厳密にはサイアザイド系類似薬に分類されます

「先生も、高血圧ガイドラインの第一選択薬は、海外と日本では違うと言ってたが  かおまる
何で、日本って国は、いい薬を排除してショボイ薬を珍重する癖があるんだ!?」
雑誌にある様に、製薬企業の利潤追求の行き過ぎも少しはあるのかもしれませんが
体格や人種的遺伝要素の違う外国でのデータをそのまま日本人には当て嵌められない
と言う面もありますし、一見理不尽と思えるガイドラインであっても、結果的に
日本が世界に冠たる長寿国だという事
で、寿命の面で結果を出している訳です

「確かに、そんなに大勢が参加した大規模試験って他にないかもね」  かおまる






(注1)
日本でも海外と同じ用量で使えるACE阻害薬は
ペリンドプリル(コバシル)とイミダプリル(タナトリル)だそうです

ACE阻害薬のうち、血液脳関門を通り脳内移行性が確認されているのは、
ペリンドプリル(コバシル)とカプトプリルだそうです


(注2)
サイアザイド系利尿薬には、トリクロルメチアジド(フルイトラン)
ヒドロクロロチアジド(旧ダイクロトライド、現在後発品のみかARBとの合剤化)があり

サイアザイド系類似薬には、輝かしい大規模試験結果を有する物が多く
クロルタリドン(旧ノバルティスのハイグロトン、2008年販売中止)や
インダパミド(ナトリックス)があり、ナトリックスは
80歳以上の高齢者に対する降圧薬治療の有用性を検証したHYVET試験
脳卒中の二次予防効果を証明したPROGRESS試験
Ⅱ型糖尿病患者における大血管+微小血管イベントに対する有用性を示した
ADVANCE試験などで用いられた降圧利尿剤です
サイアザイド系類似薬はサイアザイド系利尿薬よりも降圧効果に勝るそうです

クロルタリドンが販売中止になったのは、薬価が下がり過ぎて
製薬会社が採算とれなくなったから
だそうです

雑誌記事も無責任に既存の薬を批判するだけじゃなくて
国のこういう薬価政策や薬用量の承認等に
切り込むような内容を
記事にして欲しいものです




参考 
① 『ダマされるな! 医者に出されても飲み続けてはいけない薬』 
週刊現代 2016.06.06日付の記事
② 『降圧利尿薬の有用性を24時間自由行動下血圧で探索』 
循環器トライアルベース
③ 医薬ジャーナル社 『大規模臨床エビデンスの多様性と脆弱性
−ALLHAT最終結果と臨床適用−』
④ 石原藤樹のブログ、内科開業医のお勉強日記、楽園はこちら側
等医師のブログ




今回の話は実際にあった話が下敷きになっています

先日、マイランの球形吸着炭の勉強会をした折に
2015年度の医療費の伸びが過去最高になったと言う話があり
高価な肝炎の薬のせいとの分析もあるが、肝炎は一回治療すれば治るけど
人工透析は一生続くので、やはり透析導入が年間一万人のペースで
増えているのが原因ではないかと

透析導入4万人で、透析していて亡くなられる方が3万人だそうです
C型肝炎治療約800万透析年間600万円

だけど、肺がんでオプジーボ導入したら、年間3500万円ですからね
そう言えば、ジャーナリストって、ヘビースモーカーが多いイメージ
ありますけどね~~~(←偏見?)






涼しくなって来て、久しぶりにグラタン作りました

 グラタン289


先日、娘の住んでいるつくばの方に行く機会がありました
ちゃっかり、エケベリアもしこたま買い込んで参りました
(もう、置き場所ないでしょ、と娘にたしなめられつつ)

  289おらいさん1  289おらいさん2
  289おらいさん3  289おらいさん4
  289おらいさん5





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4000年もの間 向かう所敵無し 

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~




 
具李地 瑠璃智(ぐりちるりち)さんは、降圧剤を利尿剤も含め5剤迄増やした
にもかかわらず、血圧が140/90以下にならないので、原因を探るべく
循環器専門医を紹介され、この度治療方針が固まったとの事で戻って来られました

「検査の結果、アルドステロンというホルモンの過剰作用だと分かったの」  かおまる  
アルドステロン(ALD)は副腎皮質から出る、塩分を体内に溜め込む昇圧ホルモンです

「塩分を溜め込めば血圧も上がるわね~なんでそんなホルモンがあるのかしら?」  冷汗4
生物が海中で暮して居た大昔は、海水から容易に塩分を取り込めたのですが、陸上生活
になるとそれが難しくなり、塩分濃度を維持する為に出来たホルモンがALDだそうです

「成程、生理食塩液は0.9%だから、最低それ位の塩分は要るのね」  かおまる 
特に、ヒトが二足歩行するようになると、頭のテッペンつまり、1.7m程度の高さ迄
血液を押し上げるだけの圧力
が必要で、血圧もある程度は無いと倒れてしまいます

「低血圧の友人を羨ましく思っていたら、逆に立ちくらみがひどいとボヤかれたわ」  かおまる  
ですからALDは生きて行く為に重要なホルモンではあるのですが、作用が強過ぎると
血管を脆弱にして内皮機能を破綻させ、血管壁の筋肉の壊死を招き、血管が裂ける様な
状態を引き起こし
、しかもその時に塩分も過多だと尚更それに拍車がかかるそうです

「医師からも、血圧が正常でも、アルドステロンが強いのは良くない状態と言われたわ」  汗5 
ALD作用が過剰な状態と言うと、副腎皮質に良性の腫瘍が出来て過形成となりALD
を出し過ぎてしまう原発性ALD症(PA)という病気がまず、頭に浮かびますが
同程度の高血でも、PAの方がそうでない人より4倍脳卒中を起こし易いそうです

「私もカリウム濃度が薄かったので、原発性アルドステロン症ではないかと言われて」  かおまる
ALDは体内にナトリウムと水分を蓄え、尿中にカリウムを排泄するホルモンなので
低カリウム血症を伴った難治性高血圧だとPAが疑われますが、決して稀な病気ではなく
治療抵抗性高血圧の人では25%、一般の人でも6%が、PAと診断されるそうです

「中には原発性アルドステロン症なのに、血圧が正常って人もあるそうね」  かおまる
正常血圧でも高ALDは体に毒なので治療しなくてはなりませんが、具李地さんには
以前から既に、ALDを抑える事で血圧を下げる降圧薬が投与されていましたものね

「それがね、原発性アルドステロン症の検査を受けるには、アルドステロンに影響する  泣き1
薬を一旦止めて、一カ月以上してから血液検査しないとダメ、って言われてね~」

PAの診断は、血漿ALD濃度とレニン活性の比で決まるので、レニンやALDに影響
のある薬を4~6週休止してから行う方が正確に出来る、と聞いた事があります

「それまで、アムロジン、ミカルディス、メインテート、ラシックス、カルデナリンと  冷汗2
5種類ものんでいてまだ血圧が150あったのに、アムロジンとカルデナリンだけにして
他は全部止めて、一カ月後に来て下さいと言われた時は、とても心細かったわ」

お薬手帳を拝見するとその頃のお薬は、アムロジンは10mg、カルデナリンは8mgと
最大用量に増量し、他の降圧剤は残薬があってものまない事、と注意書きしてありますね

「そんな思いをしてまで測って貰ったのに、アルドステロン濃度は寧ろ低かったの」  うへー
それではPAではなく、ALD作用だけが強くなる、偽ALD症だったんですね
今回、ミカルディス、メインテートが復活、アムロジンとカルデナリンの量は元に戻り
利尿剤が、ラシックスから、カリウム保持能力のあるアルダクトンAに変わっています

「カリウム剤ものむ予定だったけど、アルダクトンでカリウムも増えるからって」  かおまる 
ALD拮抗薬とも呼ばれるアルダクトンAは、ナトリウムを保持しカリウムを排出する輸送体
を動かすALDの働きを阻害しますので、血中のナトリウムは減らしカリウムは増やします

「カリウム剤のむだけだと、カリウムの排泄量が増えるだけなんですってね?」  かおまる 
カリウム剤単独治療でカリウム濃度を上げるのは難しく、ALD拮抗薬を併用して
カリウムの排泄輸送体を阻害しないとカリウムが体外に漏れ出すのを防げません
ALD拮抗薬は、原発性でも偽性であっても、高ALD症治療の第一選択薬です

「でも、それだけじゃ済まなかったの・・・減ったお薬があるはずよ」  冷汗1  
芍薬甘草湯が毎食前服用で出ていたのが、頓服で10回分になっていますね
偽ALD症の原因で最も多いのが、甘草やその主成分であるグリチルリチン(GA)
の過剰摂取
で、甘草は甘味料として食品にも含まれている事もあるので要注意です

「足がつらないようにする薬のせいで、何でアルドステロンが増えるの?」  かおまる
ALDの様な電解質コルチコイドは電解質コルチコイド受容体 (MR) に結合し
糖質コルチコイドは糖質コルチコイド受容体に結合して、生理作用を発揮します
糖質コルチコイドはMRにも結合して刺激してしまうので、MRのある腎尿細管
では、不活化酵素が糖質コルチコイドを分解してそれを防いでくれています

「糖質コルチコイドのステロイド剤のむと、血圧が上がるって聞いた事あるわ」  かおまる
GAはこの不活化酵素の活性を抑制するので、糖質コルチコイドによる
ALD受容体の過剰刺激が
起きて、高ALD症となると言われています

「でも困ったわ、未だかって芍薬甘草湯の様によく効いたお薬は無いので  汗 
私糖尿病予備軍なので、運動をしているんですが、よく足がつるんです」

以前は、テルネリンという筋肉弛緩剤を処方されていましたっけね

「テルネリンも、ミオナールも、リンラキサーも、デパスも、ありとあらゆる  えへ4  
筋弛緩剤を試したけど、全く効かなくて、糖尿病の人にはお勧めじゃないけど
と言って先生が最後に出してくれたお薬が、芍薬甘草湯だったの」

GAはカリウムを減らしますが、低カリウム血症だと、インスリン分泌を妨げるので
糖尿病やその予備軍の方は、なるべく避けた方が良いお薬と言われていますからね

「でも、芍薬甘草湯は中国四千年の歴史に裏打ちされている由緒あるお薬でしょ?」   ブー1
芍薬甘草湯は、三世紀前半の後漢で、張仲景によって編纂された医学書、傷寒論にも
出ている古い処方
ですが、確かに中国の伝統医学は四千年前まで遡れると言いますね

「しかも、漢方薬の割に早く効いて、のんでから10分か15分で痛みが引くのよ」  スマイル  
即効性のあるお薬という事は逆に、つった時だけのむ頓服でも大丈夫ですよ

「先生も、今迄は足がつらない様予防でのんでいたけど、今度から頓服にしてって」  かおまる
他には、こまめに水分やミネラルやビタミンB1を補給したり、入浴や足浴で血行を
良くして筋肉を冷やさない様にする事も有効だそうですよ

「先生に、芍薬甘草湯のせいでカリウムが減っていて、そのせいで足がつったのかも  かおまる
知れないよ、とショックな事言われちゃったのよ~」

皮肉にもそういう事も無いとは言えませんよね~





参考)①メディカルノート 「原発性アルドステロン症について」西川哲男医師に聞く 
②重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症 平成18年11月 厚生労働省


過去の関連記事    『漢方薬なら安全』神話の落とし穴   参照



今回の記事は実際の患者さんの話を元にアレンジしましたが
門前の医師は、当初、カリウム剤も処方するつもりが
「アルダクトンあるから要らないか」と言われていました

逆に、面分で来た処方箋で、カリウム剤が山ほど出ているにもかかわらず
スピロノラクトンもエプレレノンも一切出さないのもあり
一包化の患者さんだったので、カリウム剤の多さに辟易しつつ
「頼むからスピロノ出してくれ~」と思いながら、監査しておりました(切実)






 猫カフェ2  猫カフェ1
 猫カフェ3  猫カフェ4
 猫カフェ7  猫カフェ8
 猫カフェ6  猫カフェ5


先日、娘達と猫カフェに行って、沢山の猫ちゃん達に癒されてきました

常連さんともなると、自分の『推しニャン』が居て
猫ベッドや猫じゃらし等のグッズを貢いだり
又、その猫ちゃんが年取って引退する時は引き取って自宅で飼うそうです

どーでも良い事ですが、新春の多肉福袋を予約しました
年明けの引き渡し日を手帳に書いて、ニマニマしています(気持ち悪い)

娘が友人に母親について話す時、以前は「母は薬剤師で」と言っていたのが
最近は「母は猫と多肉好きの薬剤師で」と説明するそうで
私は、このところ ♯薬剤師 ♯猫好き ♯多肉好き でタグ付けされている様です




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瞬発力より持久力

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~



「今の僕の降圧剤って、グレープフルーツ食べても大丈夫なんだよね?」  かおまる  
庵亭 治属(あんていじぞく)さん(架空の人物)に出ているアムロジンという
お薬は、カルシウム拮抗薬と呼ばれる系統の降圧薬の中では、比較的グレープ
フルーツや、そのジュースと一緒に摂取しても影響が少ないと
言われています

「以前のんでたバイミカードがグレープフルーツと相性悪くて、変えて貰ったんだよね」  かおまる
けれど、アムロジンと言えど、過去に、グレープフルーツを連続15日間食べ続けて
血圧が下がり過ぎて入院した例もあると聞きますので、極端な食べ過ぎは禁物です 

「僕の場合は、妻が柑橘類好きで、たまに買って来る程度だから平気でしょ?」  かおまる
ジュースでなくて果物で、常識の範囲の量なら大丈夫だと思いますけどね

「グレープフルーツジュースと一緒にのむと何で効き過ぎるの?」  かおまる  
薬は体にとって異物ですから、吸収される前に小腸で薬物代謝酵素によりある程度
分解されてしまい
、アムロジンは服用量の64%程しか吸収されないのです

「せっかく金払ってのんでるのに、3分の1も目減りするなんて勿体無い~」  ブー1
アムロジンなどはカルシウム拮抗薬の中では、生体内利用率が最も高い方
以前のんでいらしたバイミカードは、4%程度しか吸収されないんですよ

「25分の1じゃ相当効率悪いね、コスパ悪過ぎだよ!」  驚き1
グレープフルーツはその薬物代謝酵素を壊しますので降圧剤の効きが急に良くなり
新しく酵素が出来上がる3~4日間位は、血圧が下がり過ぎてしまう恐れがあるのです

「つまり、普段から64%利用出来てるアムロジンは、効き目が多少良くなっても  かおまる  
大した事無いが、普段4%しか吸収出来ない薬が急に吸収が良くなったらヤバいんだ」

その通りで、バイミカードはグレープフルーツジュースと一緒にのむと血中濃度が
3~5倍にもハネ上がる
ので、降圧作用が効き過ぎて動悸やめまいが起きてしまいます

「逆に、一緒にのんで薬を4分の1に減らして、薬代を節約すれば良いじゃん?」  かおまる  
そんな単純計算は出来ないのです  第一、薬物代謝酵素を阻害するフラノクマリン
というグレープフルーツの成分の含有量が、果物によってマチマチで一定ではないですし
次に、薬物代謝酵素の強さ自体、遺伝的に大きな個人差があると言われています

「酒でも、ザルと呼ばれるような大酒飲みから、下戸迄様々あるからなぁ」  かおまる
薬の効き目は年齢的にも違い、アムロジン5mgを連続服用した場合の血中濃度は
若い人では7.5ng/mLなのに、ご高齢の方では14.9ng/mLだそうです

「倍も違うんだ! どおりでこのところ降圧剤の効きが良くなって、減らしたもんな」  汗1 
昨年、それ迄のアムロジン5mgから、2.5mgへと半量になりましたね

「体重減っていないのに血圧下がったから、先生は『奥さんの減塩対策が相当厳しい  かおまる  
ようだね』と皮肉ったが、真相は年とったせいだったなんてチョットがっかりだね」

でも今回新たに、ミカルディスという降圧剤を、寝る前にのむ事になっていますね

「先生が家でも血圧を測れと言ったので、測ってみたら、朝が高かったんだ」  かおまる  
血圧は一般的に就寝時は低く、起床時に自律神経が休眠モードの副交感神経優位から
覚醒モードの交感神経優位にシフトする為
、正常血圧の人でも朝は血圧が上がりますし
又、庵亭さんは朝食後にアムロジンをのんでいらっしゃいますので、起床時は丁度
お薬の効果が一番薄れて、血圧が高くなる時間帯の値(トラフ値)となります

「それが、妻は朝でも125/75位なのに、僕は140/90もあるんだよね」  汗5  
起床時血圧が135/85mmHg以上あると早朝高血圧の疑いが強いそうです
午前中に脳卒中や心筋梗塞が起き易いのは、早朝高血圧が原因とされ、交感神経亢進
以外に、レニンアンジオテンシン(RA)系というホルモンの関与も大きいので
RA系を抑えるミカルディスを就寝前に服用するのは、実に理に適った治療法です

「先生は、血液中にとどまっている時間が長い薬だと誉めてた」  スマイル  
ミカルディスは、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬という系統の降圧剤の中では
血中半減期が24時間と一番長く、受容体への親和性も高くかつ解離しにくいそうです

「最近の考え方では、降圧剤は瞬発力よりも持久力が大事なんだってね」  えへ4  
急激な血圧変動の繰り返しは臓器障害や脳・心血管疾患の危険因子になりますので
降圧剤は持続性や安定性も重要で、その指標としてT/P比やM/E比があり、双方
最小降圧効果を最大降圧効果で割った数値で、0.5以上が望ましいとされています
ミカルディスのM/E比は収縮期、拡張期とも0.8以上で同系統の中では一番高いのです

「血圧はただ下げりゃいいいってもんじゃなくて、安定感も大事なんだな」  かおまる  
降圧が急峻ですと、体が反射的に血圧を上げようとして交感神経の亢進が起き、心拍数が
増えますので、降圧剤は交感神経亢進を起こさない様に穏やかに効く事も重要です

「アムロジンだと血圧がよく下がるのはいいが、反動的に頻脈になるそうだね」  かおまる  
カルシウム拮抗薬は一般に頻脈になり易いのですが、その中では、アムロジンは
血中半減期が36時間と一番長く、T/P比も0.62と高くて、持続性安定性に優れ
降圧効果が高い割に、意外にも交感神経亢進が起きにくいので、世界で一番売れています

「そう言えば、僕の周りでもアムロジンのんでる人が多いね、妻はコバシルのんでるけど」  スマイル2  
コバシルACE阻害剤という系統のお薬で、同系統の中では一番、T/P比が大きいのです

「そのおかげで妻の血圧は安定してるよ、元々、家の中で一番えばってるんだから  汗 
妻が血圧上がる理由なんか無いんだけどな、僕は家庭内中間管理職だけどさ~」

職場だと、high demand & low decision の立場の人
つまり『厳しい要求される割に、自分には決定権が無い人』が高血圧になり易いと
言いますが、家庭内でもそうなんでしょうかね~





(注)

降圧薬の作用持続の指標として、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)
より割り出したT/P比(trough/peak比)が推奨されていましたが
ABPMは再現性に乏しいそうで、現在は再現性に優れている家庭血圧(HBP)
から算出したM/E比が、指標として臨床的に有用と言われています

M/E比 = 早朝時降圧度(morning)/就寝前降圧度(evening)

ARBは降圧作用が緩徐で交感神経系亢進させないだけでなく、RA系抑制を介しての
交感神経抑制効果もあり、特にテルミサルタンとカンデサルタンにその効果があるそうです

Ca拮抗薬の中では、アムロジピン以外にシルニジピンも持続性に優れているそうです
シルニジピンは血中半減期は長くないものの、血管親和性が高い事と
N型Caチャネルも抑制するので、それを介した交感神経抑制効果があるのだそうです

ACEIの中ではコバシル57時間という最長血中半減期を誇り、T/P比も最大ですが
ただ惜しむらくは、優れた降圧剤でも、日本でのACEIの用量は少ないそうです

カルスロットもグレープフルーツジュースと併用すると、AUCで2.5倍になるそうで
という事は、レザルタスも気をつけなければならないんですね(合剤はややこしい)

たまに『血圧の高い時だけ降圧剤をのむ』患者さんがおられまして
悪しき『セルフ・メディケーション』なので、降圧剤は毎日一定量を服用するように説得しています




 チェブラーシカ

先日、チェブラーシカのDVDを、娘が借りて観たのですが
最初は、いかに幼児向けのお話とは言え、本当にトルストイやドストエフスキー
の国の人が作ったお話なの? と疑う位、ストーリー展開が単純過ぎて
話の矛盾もあり、自分的に低評価だったのですが、段々ジワジワとハマリ出し
とうとう、DVDを買ってしまいました

ついでに、マグカップ迄買うドハマリ具合

チェブラーシカの可愛さも然ることながら、ワニのゲーナというキャラクターの
人柄がとても良く、癒されます
音楽がどこか物悲しいのも、北国っぽくて良いですね



 ワイン2本

昨年のクリスマス以来、ワインをたまに、飲む様になりました
理由は、真空に出来るタイプのワイン栓を見つけた為
一度にそんなに沢山は飲めないので、今迄は遠慮していたのです

ワインの事は、よく知らないのですが、チリ産がコスパが良いそうです
写真はチリワインの白、フランス産で同クオリティのものは倍以上するとの
謳い文句に惹かれて買いましたが確かに美味しかったので、二度目の購入
赤のワインはスペイン産で、イラストに惹かれて初めて購入

来週末に娘が来るので、それまでにチーズ買っておかなくちゃ





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火災現場で必ず見かけるあいつ

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木間瀬 曽我井(きませそがい)さんは降圧薬のミカルディスをのんでいらっしゃいます
今回レニベースというお薬が加わりましたが、先生に二剤のむように言われたんですか?

「違う違う、今迄の薬は高いので、安い薬に変えて貰ったんだ、のむのは一種類だよ」  かおまる
では、処方箋の記載ミスと思われますので、医師にお電話して削除して頂きますね

「本当はジェネリックに変えて欲しいと頼んだんだけど、新薬だから無いんだってさ」  かおまる
ミカルディスはまだ特許期間中ですので、後発医薬品は発売されていません

「今度の薬なら発売後だいぶたってるから、ジェネリックに変えられるんだってね」  かおまる  
レニベースでしたら後発医薬品が存在しますので、ジェネリックでお出し出来ます

「先生もジェネリックでいいと言ってたよ、薬代も毎月だから馬鹿に出来ないから」  かおまる  
ミカルディスはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)と言い、レニベースは
アンジオテンシンⅠ(ANGⅠ)をアンジオテンシンⅡ(ANGⅡ)に変換する酵素の
ACEを阻害するアンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACEI)と呼ばれますが
結果的には両方共、ANGⅡの働きを抑えることで血圧を下げますので
腎臓が弱ってきている等の特殊な場合以外は、同時に使う事はあまり無いです

「僕は腎臓が悪いと言われた事ないし、今迄だってミカルディスだけでも  かおまる  
上の血圧は145と若干高めだけど、下が70と低いから全く問題ないんだよ」

勿論血圧は低い方が良いのですが、収縮期血圧から拡張期血圧を引いた脈圧は50mmHg
以下が理想で、70mmHg以上あると動脈硬化が進んでいる証拠なのだそうです

「下の血圧が低いからって安心しちゃダメなの?!  驚き1  僕の脈圧は75もあるね!」
血管が柔らかい方が拡張期が高く維持されますので、拡張期高血圧は若い人に多いのです

「そう言えば、若い頃は80代後半だった下の血圧が年取るにつれ下がる傾向にあるな」  汗  
年齢と共に、収縮期血圧は上昇し拡張期高血圧は下降しますので脈圧は広がります

「もう80歳だから年相応って事さ、孫娘は25歳なのに妊娠中は血圧が高かったよ」  かおまる
妊娠高血圧の治療にはACEIやARBが使えないので注意が必要です
ANGⅡは胎児の発生に重要な生理物質ですので、妊娠中にそれを抑えるお薬をのむと
奇形リスクが高まったり、胎児発育が遅延する恐れがあり、妊婦には禁止薬です

「孫が産科で貰った血圧の薬をのんでるので、冗談で、じいじの薬をのんでみる?  汗1   
とからかったら、にらみつけられたが、本当に妊娠中は下手な薬はのめないんだな~」

ANGⅡを抑えると心臓や腎臓への負担も減りますので、妊婦さんでさえなければ
ACEIやARBは、降圧以外に、臓器保護にも優れたとても良いお薬なんですけどね

「先生は、古いタイプの方の薬だと、空咳の副作用だけが心配だと言ってた」  かおまる  
ACEIによって阻害されるACEはブラジキニン(BK)分解酵素でもありますので
ACEIをのむとBKも増え、その影響で空咳が出易くなります

「先生は、それを逆手にとれば誤嚥性肺炎の予防薬にもなるんだけどね、とも言ったけど」  かおまる  
80代ですと、肺炎で死亡される方の8割以上が誤嚥性肺炎と言われていますからね

「今流行りの肺炎球菌ワクチン打っても、誤嚥性肺炎には効果ないんだものね」   かおまる
ARBはACEIの様な空咳が無く、又、ANGⅠからANGⅡに変換する酵素はACE
以外にも、キマーゼ
というものもありますので、ACEを阻害するだけではANGⅡの
働きを完全に抑える事が出来ず
、ARBはACEIより優れたお薬とされてきました

「ミカルディスは高いけど、その分、従来の薬を進化させた最新の薬と説明されたよ」  かおまる  
ところが、このキマーゼ経路は、健康な状態の時は機能せず、何かで障害を受けた時だけ
肥満細胞からキマーゼが放出されてANGⅡ産生酵素として働く事が分かり
最近は、キマーゼ経路は血圧に対してほとんど関与し無いと言われています

「じゃ、ミカルディスはただ高いだけのぼったくり薬だったのか?」  ブー1
障害を受けて活性化
されるキマーゼ経路は血管内膜肥厚を起こすので、冠血管手術後の
内膜肥厚抑制にはACEIは無効で、ARBやキマーゼ阻害薬でないと効きません

「キマーゼ阻害薬なんてのも出てきたんだ!」  驚き1
まだ開発途中ですが、キマーゼは体内の炎症部位にのみ出現して炎症を強める酵素です
ので、キマーゼ阻害薬は、降圧作用はない代わりに、抗炎症効果に優れていると言われ
アトピーや喘息、糖尿病や心筋梗塞や癌による組織損傷防止にも効果が期待されています

「キマーゼって、火事現場にヤジウマのふりして現れる放火犯みたいな奴だね~」  冷汗2
キマーゼと似て、心臓や腎臓の組織を障害する生理物質にマトリックス・
メタプロテアーゼ(MMP)
という物もあり、ANGⅡにより活性化されますので
ARBやACEIによる臓器保護は、MMP抑制作用の寄与もあると考えられますが
ACEIには、ANGⅡを介さず、直接MMPを阻害する作用もあると言われています

「そうなるともう、どっちに軍配上げて良いか分からなくなっちゃうね」  かおまる
ACEIによる空咳の原因と言われるBKも、血管拡張作用があり血圧を下げますし
糖の取り込みを促してインスリン抵抗性を改善したりする良い作用もあります

「まあ、薬代が今迄の半分程度になった事だし、古いタイプの薬で良しとするか」  えへ5  
コスパ的には完璧にACEIの勝利ですね!





(注1)
非糖尿病性腎症を対象に、ARBとACEI単独、又は両者併用の結果を報告
したものによると、両薬併用は、それぞれの単独投与による腎症進行抑制の最大効果を
上回る
との事 (COOPERATEスタディ、Lancet・2003)

でもこのスタディに論文不正疑惑を投げかける医師のブログ記事も目にしました
『RAS二重遮断がファッションで、そのストーリーに基づいた発表』だったとの事

ディオバン事件を彷彿とさせるような話です

実際現場で、ARBとACEI併用の処方箋見た時は疑義照会していますが
でも、ARBかACEIのどちらかとアルダクトンやセララの併用はよく見かけます
専門医が出した、ラジレスとARBを併用した処方箋を見た時もスルーしました
やはり、専門医だと最先端のエビデンスに基づいていると思ってしまいます

H2ブロッカーとPPIの併用を消化器専門医が出した時も、メーカーに問い合わせた所
PPI単独で難治性の胃酸分泌過多に対し、H2ブロッカー併用が有効であったという
エビデンスがあるという返事でしたので、その旨を摘要欄に記載して出しました


(注2)
別の医師のブログ記事では、『臓器保護の優れたデータの殆どは、ARBではなく
ACEIを対象としたものなのに
、ACEIの国内での評価が低過ぎて(メーカーの陰謀?)
本来はもっとACEIの用量を海外と同等にするべきなのに、国内では異常な低用量でしか
使えないので、やむを得ず実際にはARBを処方している』とありました


(注3)
血圧には、収縮期血圧/拡張期血圧と脈圧以外にも、平均血圧という概念もあり
平均血圧=拡張期血圧+(収縮期血圧-拡張期血圧)/3  だそうです


(注4)
ACEもMMPも活性中心に亜鉛を含有する類似した分子構造を持った酵素で
ACEIはMMPを直接阻害するが、ARBにはこの直接阻害作用はないそうです (図2)


(注5)
正常血管にあるキマーゼは、肥満細胞顆粒中で不活性状態で貯蔵されているので
ANGⅡ産生酵素としての機能は無く、血圧に対する関与は少ないそうです

手術や炎症で傷害を受けた部位の肥満細胞が活性化され、顆粒中からキマーゼが
放出されてはじめてキマーゼ経路が活性化されるそうです

また、ACEは血液中でも機能が発揮できるのに対して、キマーゼは
血液中に放出されるとセルピンという酵素で分解されて失活するそうです


(注6)
最近の研究で、ANGⅡがMMP‐9を活性化する事が報告され
一方キマーゼはANGⅠをANGⅡに変換する以外にも、MMP‐9を活性化したり
MMP阻害物質であるTIMPを分解したりもする事が報告されています

正常大動脈ではMMP‐9とTIMPのバランスが保たれているが
病的な状態ではアンバランスが生じており、その原因はキマーゼの活性化と
キマーゼにより変換されたANGⅡにより引き起こされている可能性があるとの事です


(注7)
研究が進むにつれて、キマーゼ阻害薬には副作用がないこともわかってきたそうで
ステロイドに副作用が多いので、安心して使用できる抗炎症薬の実用化が待たれる所です


(注8)
ARBにはAT2刺激作用がありますが、ACEIにはありません(図1)

AT2刺激は心臓に良い影響をもたらすとされていたのですが、その逆の研究結果も
発表されたりして、今はAT2刺激は心臓に良いのか悪いのか、不明だそうです

BKは、GLUT4のトランスロケーションを介した糖取り込み促進作用もあり
これにより、ACEIの方がARBよりもインスリン抵抗性改善作用は強いようです




人のサイトの図を無断転載するのは好ましくないので、自分で図を描きました
素人ですので、お見苦しい点はご容赦下さい





      図1
     図5




      図2
     図4




最近、娘が夕飯作ってくれる日が多くなりましたが、お菓子作りに情熱の大半が
向けられてる日もあり

  りんごロールパン  薄力粉ピザ
  シナモンロール  ある日の夕飯
  トマトジャム    トマトジャムも作りましたが、意外と美味しい~



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爆弾低血圧

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~



舘 鞍実(たちくらみ)さんのお兄さんは、現在は心不全でジゴシンというお薬をのんで
いらっしゃいますが、若い頃はメトリジンという低血圧のお薬をのんでらしたそうです

「兄貴は昔よく立ちくらみしてたけど、低血圧だと年取ってから心不全になるものなの?」  かおまる  
急に立ち上がった時に血圧が急降下してめまいを起こす現象を起立性低血圧と言いますが
特に四十代からそういう症状があると、後年、心不全になり易いというデータはあります

「僕もこの頃立ちくらみがひどいから、将来心不全にならないか心配だなぁ」  汗
舘さんの起立性低血圧の原因は、糖尿病の為に自律神経に支障をきたしたからじゃないですか?

「血の繋がった兄弟でも、兄貴と違い僕は糖尿病持ちだから、立ちくらみの原因が違うのか」  かおまる
誰しも急に立ち上がれば、重力の影響で血液が下半身に降りて、多少なりとも血圧が下がります
が、普通は自律神経による圧受容体反射が作動することによって、心臓の収縮力が強まり
心拍数が増え、手足の先の血管も収縮し、血圧が下がり過ぎるのを防いでくれるのです

「僕は多少どころか、血圧が125/75位から一気に100/60位まで下がるよ!」  驚き1
収縮期血圧で20以上、拡張期血圧で10以上下がると、起立性低血圧と診断されます
原因として、圧受容体反射系の異常か、体内循環血液量の激減などが考えられるそうです

「糖尿病性神経障害が原因だとすれば、圧受容体反射系の異常という事になるんだろうね」  かおまる  
以前、高血圧で、α遮断薬という系統の自律神経を抑えるお薬をのんでいらした時も
立ちくらみが酷かった事がありましたが、あの時はお薬の副作用だったかもしれませんね

「そう言えばそんな事あったね~糖尿病になったばかりの頃は、まだ太っていて血圧も高く  かおまる
カルデナリンという薬を出されて、血圧は下がったんだが、立ちくらみが辛かった・・・」

カルデナリンのような、交感神経のα受容体を遮断するα遮断薬と呼ばれる降圧薬は
インスリン抵抗性や脂質代謝も改善するので、糖尿病にはうってつけの降圧薬なのですが
圧受容体反射も抑えてしまうので、副作用として起立性低血圧が起き易いお薬ではあります

「それで、自律神経に関係しないブロプレスという降圧薬に変えて貰ったんだけど  かおまる  
最近の血圧は120代/70代で落ち着いてるから、もうのまなくて良いような気がするな」

舘さんがのんでらっしゃるブロプレスは2mgと少量なので、血圧を下げる為というより
脳や心臓や腎臓などの臓器を、高血糖から保護する目的で出されていると思いますよ

「糖尿病だと心臓や脳や腎臓が傷つきやすいから、弱い降圧剤のむ必要があるのか」  かおまる
でも、お薬手帳を拝見すると、パーキンソン病のお薬ものんでいらっしゃるんですね!   
それでしたら、起立性低血圧の原因はパーキンソン病かも知れません
パーキンソン病だと低血圧になり易く、又ドパミンを増やす薬の副作用でもなりますからね

「神経科の方から出ているメネシットとカバサールとエフピーは、パーキンソン病で減った  かおまる  
脳内神経伝達物質のドパミンを補う薬だそうだが、それが立ちくらみの原因になってるのか」

パーキンソン治療薬の中でも、メネシットなどのドパミン製剤や、カバサールなどのドパミン
受容体作動薬
や、ドパミン分解酵素阻害薬のエフピーは起立性低血圧を起こします

「だけど、すくみ足を治す為にのんでる薬には、血圧を上げる効果もあると聞いたよ」  かおまる
パーキンソン病では、ドパミン以外にノルアドレナリンという神経伝達物質も減り
これが不足すると、すくみ足や立ちくらみや低血圧が起り易くなりますので、体内で
ノルアドレナリンに変換されて、それらの症状を改善するドプスというお薬が出てますね

「自分でも、塩分や水分を摂ったり、ゆっくり立ち上がるように心掛けたりしてるんだけどな」  汗5  
お薬手帳によると、神経科の先生も血圧を上げる様々な工夫をして下さっているようですよ
初期の頃は、お兄さんと同じメトリジンという昇圧薬朝昼2錠ずつで処方されていますね

「寝ている間に高血圧になったら困るので、夕食後はのまないように言われた」  かおまる
メトリジンはα1受容体刺激薬で、以前のんでらしたカルデナリンとは真逆のお薬です
次はリズミックというお薬に変わっていますが、これもやはり交感神経刺激薬ですね

「メトリジンでもあまり良くならないと訴えたら、海外に比べ日本では、保険で認められ  かおまる  
ている量が一日4錠迄と少な過ぎるから、そのせいで効かないのかもね、と言われた」

海外では、メトリジンは最高で一日15錠(30mg)迄服用して良いそうですからね
リズミックはノルアドレナリンと競争して手足の先の交感神経の終末に取り込まれるので
ノルアドレナリンがシナプス間で長く働き、又、ノルアドレナリンの不活化も防ぐので
交感神経の機能を高めて、圧受容体反射を改善する、持続性にも優れた昇圧剤です

「それでもまだ、食後立ち上がったら、急に目の前が真っ暗になった事があったんだ」  冷汗2
食事をすると、消化・吸収のために大量の血液が消化器に集まりますので、起立した時
同じ理由で、圧受容体反射の弱い人では急激に血圧が下がり、食後低血圧と言います

「次に出たのはステロイドホルモンだったので、糖尿病が悪化するかもと心配になった」  かおまる
リズミックに変わり、フロリネフ0.1mgというお薬を朝1錠服用になっていますね
フロリネフはステロイド剤ですが、糖質よりも電解質を代謝する作用の方が強いので
塩分を増やし血圧を上げますが、糖質への作用はほとんど無視できる程度だと言われます
むしろ、高血圧や高ナトリウムや低カリウムや浮腫等の電解質系の副作用が多いようです

「血圧は変化ないけど、フロリネフの副作用防止も兼ねて、立ちくらみにも良い薬が加わった」  かおまる 
前回から、血圧を下げるβ遮断薬と呼ばれるお薬のインデラルも追加されていますね
ノルアドレナリンには、αとβの二つの受容体があり、このうちβの方だけを遮断すると
相対的にα受容体の刺激が増えて圧受容体反射が改善されるという説があります

「血圧を下げる薬が起立性低血圧には効くなんて、不思議な話だよねぇ  かおまる
それと、パーキンソンのせいか便秘になり易くて、便を出そうとしていきむと血圧が
下がるので、この頃アミティーザカプセルという新薬の便秘薬も出して貰ってるよ」

夜中トイレに起きた時も、行きは這って行き、帰りは歩いて帰るとおっしゃっていましたね

「下半身に血液が下がらないように、弾性ストッキングや、もっと凄い宇宙飛行士の  かおまる  
服を着るって手もあるそうだが、僕はそこ迄する位なら、なるべくゆっくり動いて
立ちくらみしたらすぐにしゃがみ込むようにした方が、まだマシだと思ってねぇ」

そう言えば、お薬のご用意が出来てお名前をお呼びした時も、ゆっくりと立ち上がり
すり足で歩いていらっしゃったので
、まるで能役者みたいだと思いましたよ~





(参考)日本神経学会治療GL「パーキンソン病治療GL」
    メルクマニュアル「起立性低血圧」
    メトリジン、リズミック、フロリネフ、のインタビューフォーム


(注1)起立性低血圧を起こす人は心不全を発症するリスクが高く45~55歳の年齢層で特に
    その傾向が強いという説は、米国の大学で行われたプロスペクティブ疫学研究によるものです
    
    当薬局にも、以前リズミックのんでらして、体調を崩して入院して退院後
    ジゴシンに変わった患者さんがあったので、この研究結果見つけた時は成程と思いました

(注2)エフピー脳内モノアミンオキシダーゼ阻害剤ですが
    リズミックには交感神経末端でのMAO阻害作用があるんですね

(注3)先日武田のMRさんが、アジルバが5月から長期投与可能になると伝えに来られました
    ブロプレス2、4、8、12、とアジルバ20、40とある中で、降圧効果が期待出来るのは
    ブロプレス8からだそうで、ブロプレス2、4は血圧は下げたくないが臓器保護したい時用

    「強力に下げたい時はやっぱりアジルバでしょう!」と言われ、余計なお世話ですがつい
    ブロプレス12の存在意義が気になってしまいました

(注4)「フロリネフの糖質コルチコイド作用はヒドロコルチゾンの約10倍である
    ことが報告されているが、本剤の通常使用量では、糖質コルチコイドに見られる
    副作用の発現はまれである
と考えられる」(フロリネフのIFより)

    一説には、フロリネフ0.1mgはプレドニゾロンの0.25mgに相当し
    体内でプレドニゾロン1日5mg分泌されるので、フロリネフ0.1mgを
    のむことによって1日5.25mgになるだけだそうです

    当薬局の患者さんで、糖尿病でパーキンソン病も発症して起立性低血圧になり
    フロリネフのむことになった方も、血糖コントロールは乱れませんでした

    一方、HbA1cが原因不明に上がった患者さんを調べると、何らかの病気を発症して
    他科でうっかりステロイド治療受けた、という方が多いです







    今年の桜は咲くのが早かったですね~  卒業式に桜咲いてましたね~


さくら1 さくら4

さくら2 さくら3

さくら5 さくら6

 


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プロフィール

フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

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