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喉元過ぎても熱さを忘れず

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~






喘息で通院中の 東根 久寿(あずまねくす)さんは、喘息の調子が良いと
毎日の体質改善の吸入薬がつい億劫になって、吸入し忘れるそうです

「発作の時は苦しいから、すぐにメプチンエアーを吸入するくせにね」  かおまる
喘息の吸入治療薬には、発作時頓用の物と、体質改善の為に発作が起きなくても
毎日吸入する物
とあり、発作時薬には、気管支を拡張するβ2刺激薬の中でも
素早く効く即効型(SABA)
が使われますが、体質改善薬には、炎症を抑えて
喘息による気道炎症を改善する、吸入ステロイド剤(ICS)が使われます
ICSが喘息治療の中心となってから、喘息で死亡する人が激減したそうです

「SABAがメプチンエアーで、ICSは毎日の体質改善薬って事ですね」  かおまる
軽症の喘息では、ICSだけで充分ですが、それだけで抑えられない場合は
長時間作用型β2刺激薬(LABA)も併用され、それらの合剤もあります
東根さんの体質改善薬もICSとLABAの合剤のフルティフォームですよ

「β2刺激薬の使い過ぎは頻脈になるけど、持続型のなら大丈夫ですものね」  かおまる
β2刺激薬は心臓の収縮力を強めますので、過剰に使用すると心拍数が上がり
不整脈が起きてしまいますが、LABAなら効果が穏やかですので安心です

「私も、あまりメプチンエアーには頼り過ぎない様に気を付けています」  かおまる
気管支に選択性が強いメプチンは、SABAの中では比較的安全なのですが
メプチンの出番が多い場合、体質改善薬の効力が不足している恐れがあります
抗炎症作用のないSABAの頓用のみで対処していると、喘息が進行します

「でも毎日の吸入を忘れるって事は、それだけ調子が良いって事なんです」  かおまる 
喘息は、症状が治まっても、気道では炎症の火種がくすぶっており、風邪や
ダニ・花粉等のアレルギー物質との接触により、とたんに発作がぶり返します

「風邪を引いた後や、これからの花粉症の季節には、喘息が悪化し易いです」  かおまる 
そういう事を繰り返していると、気道の過敏性が増し、気道壁も硬く厚くなり
難治性喘息へと進行して行くのですが、これをリモデリング(不可逆性)と言い
それを防ぐ為には体質改善薬の継続が重要で、自己判断で休薬するのは危険です

「でも先月この薬局で、未使用の吸入薬を沢山返却された方をお見かけしましたよ」  ブー1
確かに、当薬局にアドエアという喘息吸入薬の廃棄依頼をされた方が有りましたね
症状が安定していると体質改善吸入の必要性が実感出来無いのは、良くある話で
新規喘息患者さんを対象として吸入療法の継続率を調査した結果では、治療開始
1年後に吸入量や吸入回数を遵守していた患者さんは、ICSで僅か9%
ICSとLABAの合剤で13%に過ぎなかった
、というデータもあるそうです

「そんなに毎日の吸入をサボっている人が多い割に、喘息死は減っているのよね」  かおまる 
ですがやはり、昔は、喘息が悪化して呼吸困難で緊急入院する方が多かったのに
ICSが喘息治療の中心になって、そういう患者さんが激減したのは事実なんですよ

「病院でも薬局でも、口酸っぱくしてそう言われるから、充分解っていますよ」  かおまる 
定期的に通院されている東根さんは、多少忘れたとしても吸入は継続されていますね

「でも、ステロイド吸入で、声が枯れるので、それも吸入したくない理由なんです」  うへー 
ICSは、経口ステロイドと違い全身への副作用は無いものの、嗄声や口腔カンジダ症
口腔内の違和感、喉の痛み等の、口腔内の局所的な副作用
が起こることがあります
これは、うがいを徹底したり、吸入薬を変更する等の対策をとる事で回避出来ます

「以前はシムビコートタービュヘイラーと言う吸入薬を使っていたのですが  かおまる
それは、粉タイプだったので、声枯れし易いという事で変更になりました」
シムビコートタービュヘイラーはドライパウダー定量噴霧器(DPI)と呼ばれ
吸入器から粉末状の薬剤を自力で吸入する方式の物で、現在使用中の
フルティフォームはスプレー型で加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)と呼ばれ
吸入器に充填されたガスの圧力で受動的に薬剤を吸入する方式の物です

「シムビコートは、うどんがすすれ無い人には、吸入出来ないんですものね」  汗5 
DPIは、ある程度の吸気流速が無いと吸入困難で、一方のpMDIは
噴射と吸入のタイミングを同調させる難しさがあり、各々一長一短があります

「肺の奥に薬が届くには粒子の小さなスプレータイプの方が良いとも聞きました」  スマイル 
薬剤粒子は、径10~30μmでは口腔内や咽頭・喉頭に付着してしまい
1~10μmが気管支病変部に到達する最適な粒子径範囲で、1μm以下だと
肺胞に到達しても呼気とともに再び排出されてしまうと言われています
因みに、鼻腔に沈着するのは径30~70μmの粒子だそうです

「シムビコートは体質改善薬なのに、発作時にも使えるので便利だったんですが」  かおまる
シムビコートに含まれるLABAのホルモテロールは、長時間作用型でありながら
メプチンに匹敵する速さで効き目が現れるので、発作治療薬としても利用可能で
シムビコートだけで体質改善にも発作時にも対応する事をSMART療法と言います

「でも、フルティフォームにも同じ薬が入っているのに、その使い方は出来ないのね」  かおまる
シムビコートとフルティフォームではホルモテロールの含有量が同量なので
理論上はフルティフォームでもSMART療法が出来るはずですが、適応が無く
現在海外でSMART療法適応追加の検証を、フルティフォームで進められています

「仕方ないから、フルティフォームにしてからは、メプチンとの二本持ちなの」  かおまる
副作用の嗄声の改善の為ですから、やむを得ないですよ

「それが、フルティフォームに変えても、声枯れはあまり変わり映えしないのよね」   かおまる 
『吸入療法のABC』と言う文献によると、pMDIは直接吸入すると、噴霧薬剤の
80%以上が口腔内に沈着してしまい、十分な効果が得られないのみならず
ICS特有の嗄声や口腔内カンジダ症などの副作用の出現頻度も高くなるとあります

「スプレータイプの方が、粒子が細かくて、肺に届きやすいと思っていたのに」  驚き1
一般的にはpMDIの方がDPIよりも粒子径が小さいのですが、実際はフルティ
フォームの粒子径は3.3μmで、シムビコートの方が2.3μm
と小さいのです

「粉タイプの方が、ガスより粒子が細かいなんて言う事が有るとはね~」  かおまる
pMDIは、薬剤がガスの気化膨張によりエアロゾルとなって吸入されますが
噴射直後のエアロゾルは粒子径が大きいので、高率で上気道に捉えられてしまい
肺迄到達し難いのだそうで、これを防ぐにはスペーサーを使用すると良いそうです

「先生も、スペーサーを使えば嗄声が治るかもと言われたけど、面倒臭いし」   汗 
あらっ! 今回又、アズマネックスと言う新しい吸入薬に変わっていますね

「毎日の吸入を怠る位喘息の調子が良いので、ステロイドのみの吸入になったの」  スマイル2
アズマネックスは、モメタゾンというICS単剤の喘息体質改善吸入薬です

「最新式のデバイスなので、粉タイプでもスプレーより吸入効率が良いんですって」  えへ5 
アズマネックスは、ツイストヘラーという秀逸なデバイスを使用したDPIです
最近の研究で、気管支喘息の炎症は中枢気道のみでなく末梢気道にも広がっている
判明し、細気管支迄薬剤が到達するには粒子径が3μm 以下でないと入りません
アズマネックスの粒子径は2μmと理想的で、肺内沈着率は40%と高率です

「今迄のフルティフォームやシムビコートよりも粒子が小さいのね」  かおまる 
従来のDPIは吸気流速が30~35L/min程度無いと吸入出来ないのですが
ツイストヘラーは20L/minあれば吸入可能で、吸入力が弱い人でも大丈夫です

「薬が肺に沢山入れば、口に残る量は少なくなるから声枯れも減るでしょうね」  えへ4 
ICSによる嗄声は、喉頭にステロイドが付着する事で喉頭筋が障害されて
筋力が低下し、発声時に声帯を閉じ難くなる病態のステロイド筋症が原因
されていますので、ステロイドの喉頭への付着率を減らす事が防止策です

「そう思って、吸入後にせっせとうがいをしているんですけどね」  かおまる
ICSを吸入すると、薬物が咽頭より奥まで届いて付着しますが、うがいをしても
咽頭迄しか漱ぐ事が出来ない為、残念ながら付着したステロイドを取り除けません

「じゃ、うがいをしたり、食事の前に吸入したりしていたのは無意味だったの?」  驚き1
うがいは嗄声の原因の一つである口腔カンジダ症を予防出来るので意味はあります
嗄声の起き易さは、デバイスとステロイドの種類によって決まると言われています
デバイスではDPIの方が嗄声発生頻度は高いのですが、タービュヘイラーや
ツイストヘラーならば、pMDIと同等の低い発生頻度
を誇っているそうです

「では、アズマネックスやシムビコートは、スプレー剤に負けていないのね」  えへ5
ステロイドの種類では、最も嗄声発現頻度が高かったのは、平均粒子径が他の
ステロイドと比較して約2~5倍大きいフルチカゾン
で、フルティフォームや
アドエア、フルタイド、レルベアと言った吸入薬に使われています

「こないだアドエアを沢山捨てに来た人も、声枯れが辛かったのかしら?」  かおまる
アドエアはDPIで、さらに粒子径も4.4μmと大きく、嗄声起こし易いですね
逆にシムビコート中のブデソニドやアズマネックス中のモメタゾンは、粒子径
1.1μmと最少のベクロメタゾン(キュバール)よりも、嗄声を起こし難い
そうです

「粒子が大きい方が声枯れが少ないとは、一体どういう理由なのかしら?」  かおまる
ブデソニドはベクロメタゾンより口腔内に付着し易いものの、気道に付着後
活性体に変化してから作用を現す
ので、付着直後はまだ活性体ではない為
嗄声が出難いと考えられ、モメタゾンは低吸気流速でも高率な肺沈着率が得られる
優れたデバイス構造のおかげで、嗄声発生率が低かったと考えられています

「今にして思えば、シムビコートは、声枯れし難い吸入薬だったのね」  汗1 
同一の吸入薬を使用しても、嗄声が発生しない患者さんもあります
吸入口をしっかり咥える事で、嗄声発生頻度が減ったと言う報告もあります
尚、LABAとの合剤は嗄声発現への影響は少ないと考えられています

「でも、メプチンエアーも吸入した後うがいする様に言われているわよ」  かおまる    
メプチンエアーもpMDIなので、口腔内に薬剤が80%程残ってしまいます
それをのみ込んでしまうと、動悸や振戦等の副作用が出る恐れがありますが
のみ込んだ方が、SABA内服としての効果も期待出来て良いと言う説もあり
メプチンエアー吸入後のうがいは、推奨程度にとどめられています
尚、ICSは胃に入っても、肝臓で分解されますので、内服効果はありません

「分かりました。今度のアズマネックスなら声枯れが減るかも知れないわね  えへ4 
でも、花粉症で使っているナゾネックスという点鼻薬と名前が似ているわ」
ナゾネックスに含まれるステロイドもアズマネックスと同じモメタゾンですが
鼻腔に沈着する粒子径は30~70μmなので、粒子は大きいかも知れません






(参考)
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 2015年  吸入療法のABC
医療薬学 40(12) 716―725 (2014)  吸入ステロイド薬の副作用である嗄声発現の要因解析
アズマネックス・ツイストヘラーの文献





13年以上前の事になりますが、薬局に、他の薬局で貰った
大量の未使用のアドエアを、廃棄して欲しい、と持ってこられた
患者さんが有りました。

医師の手前、吸入していない事を言いたくないとの事で
しかも、縁もゆかりもない当薬局に持ってくれば
医師に知られる事も無いと、思われたのでしょう。


私も、咳喘息でフルタイドディスカスを吸入した事があります。
その時、喉がかすれた様な、不思議な感覚が有りました。
一次的な吸入だったので良かったのですが、持続するのなら
あの違和感はちょっと困るなと感じました。

実際に、世間で良く処方されているICSは

第一位  パルミコート吸入液
第二位  フルタイドロタディスク
第三位  シムビコート
第四位  アドエア
第五位  フルタイドディスカス
第六位  アドエアディスカス
第七位  オルベスコ
第八位  フルティフォーム
第九位  レルベア
第十位  アズマネックス

で、アドエアはアズマネックスの25倍の処方量でした。







家族でおめでたい事があり、忙しくしていました。
これを作らされたりしました。
リングピローと言うそうです。
丸一日かかりました。

201820151.jpg



バレンタインデーが過ぎましたが、私はこのメーカーのが一番好きです。
少々お高いですが、『サロン・デュ・ショコラ』で扱われる様なチョコよりは
まだ良心的なのではないかと思います。

201820152.jpg






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かも知れない治療

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~



 
電気工事士の 麗須日 羅鳥(れすぴらとり)さんには悩みがあるそうです

「気管支が弱くてよく風邪をひくんだけど、風邪薬をのんでいても拗らせたりすると  かおまる
菌が肺にまで降りて行ったら大変だという事で、強い抗菌剤に変わるじゃない?」

かかりつけの内科医は、通常の抗菌剤をのんでいたのにも関わらず、風邪が悪化して
しまうと、肺炎予防を考慮して、ニューキノロン(NQ)系の抗菌剤に移行されますね

「その強い抗菌剤が、痛み止めと相性が悪いって言われたので、強い抗菌剤のんでいる  うへー
うちは、整形の痛み止めはのまないようにするから、その間腰が痛くて困るんだよ」

確かに、NQ系抗菌剤は、整形外科から処方される非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS)
と呼ばれる鎮痛剤と併用すると、痙攣を起こす危険性が高まると言われていますね

「仕事柄無理な姿勢で長時間作業していると腰に来るので、時々はのみ薬だけじゃなく  泣き1
ジクロフェナク坐剤のお世話になる事もある位だから、痛み止め使えないのは辛いよ」

ですが、麗須日さんがいつも処方されているレボフロキサシンというNQ系抗菌剤
ジクロフェナクというNSAIDSでは、併用による痙攣発作の頻度増加は殆ど無い様です

「一緒にのんでも、副作用になり易い組み合わせと大丈夫な組み合わせがあるの?」  かおまる
NQ系抗菌剤とNSAIDSとの併用による痙攣の副作用について調べました所
お薬の種類によって副作用の頻度が違い、NQ系抗菌剤の中ではフルマークというお薬で
NSAIDSの中ではナパノールというお薬で一番頻度が高く、どちらも古くて既に販売
されていないお薬で
ジクロフェナクはNSAIDSの中では一番安全だそうですよ

「良かった、じゃ今度からは、遠慮なくジクロフェナク坐剤を使わせて貰おう」  えへ4  
そもそも、NQ系抗菌剤そのものが、脳内でγ-アミノ酪酸(GABA)という物質が
GABAA受容体にくっつくのを妨害するので、単独でも痙攣を起こし易くするのですが
この副作用をある種のNSAIDSが増強するので、併用しない方が無難なのです

「GABAA受容体って、腰痛で眠れなくて出された睡眠剤の説明の時に聞いた名前だ」  かおまる  
GABAA受容体刺激剤ベンゾジアゼピン系薬は、睡眠剤として使われる事もありますが
別のベンゾジアゼピン系薬では、筋弛緩剤として癲癇に処方されるお薬もあります

「GABAA受容体を止めると、興奮して眠れなくなったり、痙攣したりもする訳だ」  汗5 
お調べした限りでは、持病として癲癇等の疾患のない人には、レボフロキサシンと
NSAIDSの併用で、殆ど痙攣の頻度に影響しないことが報告されているそうです
逆に癲癇のある人は、レボフロキサシン単独であっても痙攣を起こす可能性があります

「NQ系みたいな強い薬は痙攣が恐いから、肺炎でも最初からは使わない方が良いの?」  かおまる
レボフロキサシンは、NQ系の中でも特に呼吸器感染症に向く、レスピラトリー(呼吸器系)
キノロン(RQ)と呼ばれる抗菌剤
で、この系統のお薬は、抗菌活性や呼吸器組織への移行
に優れ
、肺炎球菌、インフルエンザ菌、クレブシエラ菌、黄色ブドウ球菌等による細菌性
肺炎
にばかりではなく、マイコプラズマやクラミジアやレジオネラ等が原因の異型肺炎にも
有効
なので、殆どの肺炎の病原菌をカバー出来て肺炎の第一選択薬とする医師も多いです

「それでも、うちの婆ちゃんが、二週間も風邪を患ってて、肺炎の疑いがあるという事で  かおまる 
緊急入院した時は、癲癇でも無いのに、最初からは強い抗菌薬は使えないと言われたよ」

最初にRQ系薬を投与すべきかは、呼吸器専門医と一般医で意見の分かれる事でもあります
一般医は、病原菌の検査結果が出る前に、菌の当りを付けて、とにもかくにも治療を開始
しなくてはならないプライマリケア医としての使命があり、これをエンピリック(経験的)
治療
と言いますが、RQ系薬は肺炎のエンピリック投与には最適な抗菌剤と言えます

「でも、婆ちゃんが、呼吸を楽にする吸入薬を使っている事が、問題視されてね」  汗 
麗須日さんのお母さんは、慢性閉塞性肺疾患でアドエアという吸入薬を使っておいでですね

「アドエアにはステロイドが入ってて結核になり易くなるそうで、痰を検査されたんだ」冷汗1  
慢性閉塞性肺疾患や喘息で、吸入ステロイド治療を受けている場合、肺結核になるリスクが
9倍
になり、さらに昔肺結核になった事もある人だと25倍にもなると言いますね

「婆ちゃんは結核患った事は無いけど、大事をとって『結核かも知れない治療』から始めた」かおまる     
肺炎が重症で無い場合は、抗菌薬の中でもRQ系薬より弱いマクロライド系とβラクタム系を
高用量で併用
しても、RQ系薬単独と同等の効果が上げられる場合があるようです

「痰や胸のレントゲン検査の結果、結核で無いと分かってから、やっとRQ系薬になった」かおまる  
結核でさえ無ければ、やはり、RQ系抗菌薬は一番優れた肺炎治療薬ですからね

「結核菌には効かないけど、その他の肺炎の菌には抜群に効くんだものね」  えへ5
RQ系薬は結核菌にもある程度は効くのですよ、それがかえってまずいのです

「結核にも効くんなら、最初からRQ系使ってくれたって良さそうなものじゃないか」  ブー1
確かに、肺結核で、最初からRQ系薬を投与されていた方が、最終的な死亡率が低かった
というデータもあるのですが、一般的には、最初にRQ系薬を投与するのは危険なのです

「そう言えば、RQ系薬をのんでた人は、痰に結核菌が出て来ない、って言ってたな」  かおまる  
RQ系薬を投与されていた結核患者さんでは、喀痰中結核検査の陽性率が73%低下する
そうで、RQ系薬を使っていない場合は、平均で入院5日後から結核治療を開始するのに
対し、発見が遅れる為に治療開始が21~34日も遅くなってしまうとされています

「それじゃ、結核が進行してしまうだろうが、でもRQ系だって結核に効くんでしょ?」  かおまる
RQ系薬は抗結核作用もあるので、投与3日後で症状が軽快しますが、その後結核菌が
RQ系薬に対し耐性化して再増悪
すると言われ、確定診断の遅延と相まって、実際に
結核診断前のRQ系薬投与により死亡リスクは1.8~6.9倍に迄跳ね上がるそうです

「そりゃ恐い数字だな、やっぱり『結核かも知れない治療』から始めるのが妥当だね」 かおまる
しかも、不利益を被るのは患者さんのみでは無く、ご家族や同室の患者さんや医療関係者等
周囲の人々にも結核感染リスクが及び免疫力の弱い他の入院患者さんが命を落としたり
病職員さんがQFT陽転化
したり、という事もあったので、とある救急病院の診察室には
肺炎患者さんに最初からRQ系薬を処方しないようにと、貼り紙がしてあるそうです

「他人に迄も迷惑がかかるから、最初からRQ系薬を使うのはダメだと言われるんだね」 かおまる   
ですから、重症肺炎患者さんに止むを得ず最初からRQ系薬を投与する場合
予め結核の可能性も考慮して検査を行い、結核と診断されたら直ちに抗結核薬併用療法に
切り替える
という善後策をとられるようですね







(参考)
①呼吸器感染症の外来治療における経口キノロン薬の使い分け 
大阪大学 朝野和典 2015.5.13 感染症TODAY 
②大阪のER専門医のブログの、2013.8.8付のエントリー


(注1)
GABA受容体にはAとかBとかあるようですね

(注2)
ラット脳の実験では、NSAIDS中、ボルタレンが、GABA受容体への結合占有率
=遮断率が低く一番安全
で、フェンブフェン(ナパノール:現在発売中止)が一番悪いそうです

NQ系抗菌剤ではエノキサシン(フルマーク:現在発売中止)が一番悪いそうです
エノキサシンとフェンブフェンの併用で痙攣の報告があるそうです

NSAIDSでは、ザルトプロフェン、ロキソプロフェン、ロルノキシカム、ジクロフェナク
の順にレセプター遮断率が低いそうで、ラット脳実験と人間が同じと仮定すれば
この4つはNQ系抗菌剤単独と痙攣の発生頻度が変わらないそうです

併用によって遮断率が上昇するのは、プルリフロキサシンとフェンブフェン、
エノキサシンとフェンブフェン、ノルフロキサシンとフェンブフェン
の3つのみ

よって、NSAIDSとNQ系抗菌剤の併用がダメという単純な話ではなく
ロキソプロフェンとレボフロキサシンでは痙攣を起こしやすくすると言うデータは無いそうで
逆に、レボフロキサシン単独でも痙攣を起こす可能性があるようです

(注3)
クラビットの使用成績調査による、痙攣など中枢神経系の副作用の発生頻度は

NSAIDSを併用していない場合0.12%
フェニル酢酸・プロピオン酸系のNSAIDSを併用していた場合0.18%
その他のNSAIDSを併用していた場合0.09%


この結果から、痙攣の発生とNSAIDS併用の有無や種類には関係が無く
クラビット単体でも起こり得る可能性があるとしています 

又、癲癇等の基礎疾患を持っていない人にとっては、クラビットとNSAIDSの併用は
ほとんど副作用の頻度に影響しないことも
報告されているそうです
( 日本化学療法学会雑誌:2006) 

(注4)
誤嚥性肺炎の起因菌は嫌気性菌で、レスピラトリーキノロンの効果が無いそうです

(注5)
2011年頃にマクロライド耐性マイコプラズマが全国的な広がりを見せ
その為、NQ系抗菌剤が濫用される様になったそうですが
マクロライド耐性マイコプラズマを想定してのNQ系抗菌剤のempiric投与は危険であり
又、マイコプラズマ気管支炎であれば抗菌薬は不要であることが多いそうです






  先週末、実家にお正月のご挨拶に行きました

  三寺参りという、いわゆる、今でいう、街コンの様な行事があります

  例年ですと、実家の辺りは今頃雪深く、街角に雪で作った大きなろうそくを
  何本も立てるのですが、暖冬の今年はあいにくの雪不足で、
  高い山から雪を運んで来て、やっとの思いで作ったそうです

 三寺参り28年1月う


  懐かしいJR沿線風景   山岳地帯なので水は綺麗です

 高山線28年1月  高山線28年1月い


  帰りは富山経由で、駅で新鮮なお寿司にありつき、お土産も買いました

   富山寿司屋28年1月え  鹿の子餠28年1月お


   最近の紅葉した多肉

   多肉紅葉28年1月き   多肉紅葉28年1月か
   多肉紅葉28年1月く   多肉紅葉28年1月け




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コリンを止めるとオシッコも止まる

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~






慢性閉塞性肺疾患(COPD)で、医師より在宅酸素を勧められている 
止流奈 湖琳(とめるなこりん)さんの息子さんが、禁煙プログラムを開始されたそうです

「受動喫煙でも害が有るそうだから、息子も気を遣ってくれてるんだ」  かおまる
COPDは『煙草病』と呼ばれる位、原因の多くは喫煙ですからね、それに、息子さんは
親孝行の為に禁煙なさるのでしょうが、息子さん自身の為にもなりますよ

「僕も30年間吸い続けた煙草を止める時は相当苦労したから、息子の辛さが分る」  かおまる 
煙草に含まれるニコチンが、脳内のニコチン受容体という部分に結び付くと、快感物質
のドパミン
を放出しますので、煙草は麻薬にも劣らない依存性を持つと言われています

「僕が新聞記者だった頃は、同僚達も軒並み、くわえ煙草で仕事していたものだが  かおまる
社会情勢的に禁煙優位の時代になり、喫煙の健康被害を伝える側の報道機関として
このままじゃいかんと、全社あげて禁煙に取り組む気風になってしまってね」

煙草は、COPDの様な呼吸器疾患以外にも、肺癌や心臓病の原因にもなりますしね

「これだけ煙草の値段が上がると金欠病の原因にもなるよ~  汗
だが、僕が禁煙する時は、ニコチンの貼り薬を貼った様な記憶が有るんだけど・・・」

以前の禁煙治療はニコチン補充療法が主流で、ニコチンガムやニコチンの貼り薬
を貼って、ニコチン離脱状態を和らげ、禁煙し易くする方法がとられていました

「最近では、チャンピックスというのみ薬による治療法が主流なんだそうだね」  かおまる
ニコチン補充療法では、ニコチン渇望感を残したまま禁煙するのですが、チャンピックス
療法だと、ニコチン嫌悪感が形成されて禁煙するので、再喫煙率が低いのです

「恋愛に例えると、ニコチン補充慮法は、まだ相手の事を好きなのに仲を引き裂かれ、未練を  かおまる
残して別れる悲恋だが、チャンピックス療法だと、相手を大嫌いになって別れる、と聞いた」

チャンピックスの成分バレニクリン酒石酸塩は、脳内のニコチン受容体と結合しますが
ニコチンと違うのは、受容体刺激作用と拮抗作用の2つの作用を併せ持っている点です
刺激作用はニコチンより弱いのですが、ドパミンを少量放出させて、煙草飢餓感を軽減します

「チャンピックスをのみ始めて一週間は、煙草を吸っても良いそうだね」  かおまる
チャンピックスはニコチンに先回りして受容体にくっつきますので、ニコチンによるドパミン
放出が妨げられ、チャンピックスをのんでいて煙草を吸っても期待通りの満足感が得られず
むしろ頭痛等のニコチンによる不快症状のみが強調されるので、煙草を嫌いになるのです

「僕ももっと若い頃に禁煙していたら、今頃在宅酸素なんか勧められる事も無かったのに」  冷汗2
COPDは慢性気管支炎や肺気腫等の慢性的肺疾患の総称で、気道が炎症を起こして咳や痰が増え
少し動くだけでも息切れする労作性呼吸困難となり、気道閉塞が進行すると在宅酸素になります
ところで、先日止流奈さんのかかられている泌尿器科医より、COPD治療薬を見直して欲しい
とのご要望のお電話が有った
のですが、その件を聞いていらっしゃいますか?

「今使っているウルティブロという吸入薬は、呼吸が楽になるので助かっているんだけどね」  ブー1
気管支はコリン作動性ムスカリン受容体の働きで収縮し、アドレナリンβ2受容体の働きで拡張
しますが、ウルティブロには、抗コリン薬のグリコピロニウムと、β2刺激薬のインダカテロール
2種類の気管支拡張薬が配合されており、相加作用により優れた呼吸機能改善効果を発揮します

「僕みたいに症状が重くなければ、1種類の気管支拡張薬でも効くみたいなんだけどね」  うへー
ウルティブロに含まれる2成分は両方共長時間作用型で、かつ速効性も兼ね備え抗コリン薬は
太い気管支に、β2刺激薬は細い気管支に作用
しますので、両者の併用は理想的と言えます
ですが、今日の呼吸器科の処方箋では、アドエア250という吸入薬に変わっていますね

「今回変わったのは、元はと言えば、喘息の薬として発売されたものだそうだね」  汗5
確かにアドエアは当初喘息治療薬として発売されましたが、今はCOPDにも処方されます   

「でも悪名高いステロイドが入っていて、吸入後にうがいをしなくちゃいけないそうだね」  かおまる
副作用が強くて敬遠されがちなステロイドですが、気道炎症改善効果には優れていますし
吸入薬ですので、内服薬の様な全身に及ぶ副作用の心配は有りません 
かすれ声等の局所での副作用の恐れは有るものの、吸入後のうがいで防ぐ事が出来ます

「泌尿器科医に言わせると、僕の夜間の頻尿の原因が、ウルティブロだというんだ」  かおまる
確かに一般論としては、抗コリン薬は前立腺肥大を悪化させ、尿閉も起こし易いのですが
ウルティブロは吸入薬なので、それ程全身への悪影響は無いと思っていましたがね~

「ところが、呼吸器科医も調べてくれたら、やっぱり、そういう現象があるらしいんだ」  かおまる
今回変わったアドエアは、長時間作用型β2刺激薬のサルメテロールステロイド薬の
フルチカゾン
の合剤で、ウルティブロと違う点は、抗コリン薬を含みません

「特に、僕みたいに前立腺肥大症があると危ないそうなんだよ」  かおまる
そう言われてみれば止流奈さんには以前から、前立腺肥大のお薬も出ていましたよね
それで今回、吸入COPD薬が、抗コリン作用の無いアドエアに変わったんですね

「僕みたいに症状が重くなければ、β2刺激薬の単剤でも効くみたいなんだけどね」  かおまる
COPDでも軽症の場合は、漫然と吸入ステロイドを使用しない方が良いと言われていますが
在宅酸素を勧められている程の場合は、合剤の方が良いと言う医師の判断でしょうね

「僕の二の舞だけは避けさせたいから、息子にはこの機会にシッカリ禁煙して貰おう」  かおまる 





(参考)
カナダのオンタリオ州で、66歳以上の565073人のCOPDの人を対照に
2003年から6年間行われた、COPDにおける吸入抗コリン薬による急性尿閉の
リスクについて評価したスタディ
の結果 :
男性において、吸入抗コリン薬使用者は非使用者に比べて急性尿閉のリスクが高かった 
前立腺肥大のある男性においてこのリスクはさらに上昇した

(注)
今回は実際に有った話がベースになっています

長時間作用性β2刺激薬(LABA)は喘息薬、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)
はCOPD薬というイメージでしたが、最近のCOPDガイドラインでは
中等以上のCOPD治療薬として、LABAとLAMAが同等の扱いになったんですね

又、LABAと吸入ステロイド(ICS)の合剤の喘息治療薬であるシムビコートや
アドエア(250ディスカスと125エアゾールのみ)がCOPDにも
使えるようになり
それに伴ってか、ICSも適応外でCOPDに使われるようになった様で
逆に、スピリーバなんかが喘息にも使えるようになったりして
COPDと喘息の吸入薬の適応範囲が錯綜していて、整理がつきません (私だけか)




そう言えば自律神経は、神経節ではニコチン受容体だったっんだ、と思い出しました


副交感神経  
○→→→→→ACh(結合)ニコチン受容体→→→→→ACh(結合)ムスカリン受容体

交感神経
○→→→ACh(結合)ニコチン受容体→→→→→→→NAd(結合)β受容体(α受容体)
交感神経(副腎髄質)
○→→→ACh(結合)副腎髄質 ⇒(血液中に放出)Ad(結合)β受容体(α受容体)


アセチルコリンは、ニコチン様作用<ムスカリン様作用なので、ACh投与によって
ムスカリン作用が優位に現れ、血圧は下降するが
アトロピン投与によりムスカリン受容体を遮断すると、ニコチン作用によって血圧は上昇






  シンガポール3
  シンガポール2  シンガポール1
  シンガポール5  シンガポール4
  シンガポール6  シンガポール9
  シンガポール7  シンガポール8



先日、3年ぶりにシンガポールに行ってきました

閉所恐怖症気味があり、飛行機が飛ぶ航空力学も理解不能な、チキンな私は
主治医にお願いして、精神安定剤のエチゾラム0.5を往復分処方して貰いました
ところが、マヌケな私は肝腎の薬を受託手荷物に入れてしまい、仕方無く
映画2本観た後、テトリスをやって、7.5時間の飛行時間を乗り切りました

テトリスでは無駄に熱くなり、飛行機揺れても全く意に介さずに済みました

つまり、テトリスの不甲斐ない点数に躍起となって再挑戦を挑み続ける事は
おそらくは、アドレナリンによる興奮状態をもたらすので
エチゾラム0.5に依る抗不安作用、と同等の効果が望める事が証明されました (私だけか)

そう言えば、15年以上前の事になりますが
年一度程度のペースでニコチン補助剤を処方して貰う患者さんが有りました

マーク・トウェインが『禁煙は簡単だ、僕はもう何千回も禁煙した事がある』
と言ったそうですが、その手の話なのかと思っていましたら、聞いてビックリ

何とその方は、海外にいる娘さんの所に行くのに、飛行機内で煙草が吸えないので
その間ニコチン補充剤を貼って耐え忍ぶ
んだそうです

そういう使い方も有るのか~と妙に感心?したものでした

シンガポールのプラナカン美術館の展示を読んで、チョット驚いたのは
過去の富裕層の人々が、『嗜みとして』麻薬を吸っていた、と書いてあった事で
前近代のシンガポールでは、麻薬はお金持ちのみに許された贅沢だったそうです



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迷える喘息の子羊達

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~




喘息で呼吸器科に通院していらっしゃる 近都ローラ(こんとろーら)さんは
気道を拡げる長時間作用型β2刺激薬(LABA)と、炎症を抑えるステロイドの合剤
シムビコートという吸入薬を使っていらっしゃいましたが、発作がほとんど起き
無くなったので、半年前、ステロイド単独のキュバールという薬に切り替わりました

「シムビコートの様によく効くお薬に出会ったのは、喘息になって以来初めてよ」  えへ4
喘息の吸入薬には、体質改善の為に毎日定期的に吸入するコントローラー
それでも発作が起きた時に緊急に吸入する発作治療薬のリリーバーが有りますが
シムビコートはその両方の用途に使えるので一種類で済み、それも便利でしたね

「キュバールに変えてからは、発作治療薬のメプチンエアーも出して貰ってるわ」  かおまる  
メプチンの様な短時間作用型β2刺激薬(SABA)はすぐに気道が拡がるので
発作治療に使われますが、シムビコートに含まれるLABAは即効性もありますので
シムビコートは、体質改善薬でありながら発作治療薬としても使える唯一の吸入薬です

「キュバールにしてからも、ピークフロー値400前後を維持してて、発作頻度も  スマイル  
増えてないから、やっぱり喘息には、毎日のステロイド吸入治療が一番ね~」

喘息は、気道が炎症を起こし段々狭くなっていく事で進行しますので、治療の基本は
抗炎症薬の吸入ステロイドで、LABAは症状によって追加する補佐的なお薬です

「内科医がお薬手帳を見て『今はもっと良い合剤の新薬があるのに』って言ったけど  かおまる  
症状が安定したら、治療をステップダウンしてステロイド単独にするのが正しい治療方針
なんですってね、専門医じゃないといつまでも合剤を使い続ける事になっちゃうかもね~」

今回は、同じ吸入ステロイドでも、加圧噴霧式定量吸入剤(MDI)のキュバールから
ドライパウダー式吸入剤(DPI)のフルタイドディスカスに変わっていますね

「キュバールはノンフロンで地球環境に優しいと聞いて使っていたけど、結局キュバール  冷汗1  
に使われてる代替フロンも、オゾン層を破壊すると知って愕然としたのよ」

MDIはお薬をガスで押し出してくれるので、吸気速度の少ない吸う力が弱い人でも
吸入出来ますが、DPIは自力で粉状のお薬を吸い込まなくてはなりません

「先生は私に、お蕎麦をすすれるかどうか確認してたわよ」  えへ3  
高齢者や小児等で、お蕎麦をすする力すら無い人にはDPI吸入は難しいとされています

「でもその分、自分のタイミングで吸えるのがいいわ、キュバールだとボンベを押して  かおまる  
噴射する瞬間に吸い込まなくちゃならなかったから、タイミングを合わせるのが大変で」

代替フロンも2020年迄に全廃するらしいので、MDIはいずれ使えなくなりますしね

「東京オリンピックの年ね~その頃は私も吸う力が弱くなっているだろうから心配ね」  かおまる 
それ迄には、吸気速度の弱い人向けの新しい製剤が開発されるんじゃないですかね
嗄声等の副作用はMDIの方が少ないので、吸入後のうがいは今迄以上に徹底して下さい

「キュバールは粒子が小さいから、口や喉にくっつかないで、肺の隅々まで行き渡るって  汗5   
聞いたけど、今度のフルタイドは粒子が大きくて、肺への到達率が低いらしいわね」

末梢気道到達率では、50%のキュバールの方が、15~17%のフルタイドに勝りますが
抗炎症作用はフルタイドの方がキュバールよりも強いので、治療効果に遜色ありません

「今では喘息と言えば吸入ステロイドだけど、私が喘息を発症した70年代頃の吸入薬は   うへー  
呼吸はすぐ楽になるけど、心臓がバクバクしたり痛くなったりして、危険と隣り合わせでね」

1976年に発売されたSABAのベロテックエロゾルは、即効性ですぐに気道が拡がる為
爆発的に売れたようですが、依存性になり易く、過剰使用による不整脈が問題になりました

「ベロテックの吸入し過ぎで死んじゃった人もいるって聞いた時には、ゾ~ッとしたわ」  冷汗2
喘息死の原因は、呼吸困難ではなく、SABAの過剰使用による心臓死と言われましたが
その後、サルタノールやメプチン等、心臓の神経のβ1には影響せず気管支のβ2に
選択的に作用する
安全性の高いSABA発作治療吸入薬が相次いで発売されました

「心臓に優しいメプチンエアーが発売された時は、すぐに切り替えたわ」  かおまる   
さらに治療の柱が吸入ステロイドになって、喘息死や重症化が激減したと言われています

「ステロイドは吸入してもすぐ楽にならないし、最初は疑心暗鬼で使っていたものよ」  汗1
即効性なのを良い事に、SABA吸入薬だけでやり過ごしていると、肝心の根本的治療が
おろそかになり、知らない間に気道が過敏性を増し狭くなり、そうこうしているうちに
SABAも段々効かなくなって、50年前の様に悲惨な喘息死につながる危険があります
LABAでもSABAでも、ステロイドと併用すれば心臓への悪影響は無いそうですし

「でも、ステロイドと気管支拡張剤の合剤で、おっかない薬があるって聞いた事あるわ」  冷汗4
それはストメリンDというステロイドとSABAと抗コリン薬の合剤の事だと思います
ストメリンDのSABAはイソプロテレノールといい、ベロテックのフェノテロール
よりも心臓に毒で、1900年代半ば、喘息死大流行の原因となった悪名高い代物です

「ベロテックよりもっと恐い気管支拡張剤があったとはね~」  驚き1  
さらにストメリンDに含まれるステロイドはデキサメタゾンと言って、血液中に吸収
されますので
、長期連用するとステロイド内服薬と同じ副作用が出る恐れがあります

「私も喘息がひどかった頃、メプチン吸入してもまだ呼吸が苦しい時の為に、頓服で  かおまる 
プレドニン出して貰っていたけど、副作用が恐くて、使うのは必要最低限にしていたわ
でも、ステロイドでも吸入薬なら、全身への副作用が無いと聞いたはずだけど・・・」

フルタイドやキュバール等の最近の吸入ステロイドは、たとえ血液中に入っても
肝臓で分解され易いので安全ですが、1967年発売のストメリンDは使われている
SABAやステロイドが強力で、良く効く反面、副作用も強いのです

「シムビコートはステロイドと気管支拡張剤の合剤だからよく効くと思っていたけど かおまる  
同じ組合せなのに古い物だと、副作用が強くてあまり良いお薬と言えない訳ね」

しかし、効き目が良過ぎて、一度使うと中々辞められない離脱の難しいお薬でもあります

「喘息患者は発作が起きると少しでも早く呼吸を楽にしたいし、又そう出来るお薬こそ  かおまる  
良いお薬だと思いがちよね・・・でも所詮、薬の事は素人だから、専門医の指導に素直に
従う方が、結局は発作を減らす一番の近道だと、長年喘息と付き合って来て実感するわ」

発作治療薬のメプチンエアーもMDIですので、今回は、地球環境に悪影響の無い
DPIのメプチンクリックヘラーに変わっています

「昔は、イザ発作という時の為にメプチンエアーを肌身離さず持ち歩いていたけど  スマイル2  
最近発作はほとんど起きないの、でも一応お守り代わりに出して貰ったの」







(参考)宮川医院HP
『激論! ベロテック問題』他



メプチンエアーだけで喘息治療続けている患者さんがありまして
呼吸器専門医を受診するように強くお勧めすると、行って下さる場合もあり
行って頂けない方も有ります(禁煙と言われるのが嫌なのか?)
諦めずに説得続けて行こうとは思いますが・・・


セレベントを喘息に使う時は必ず、吸入ステロイドと併用する必要があるんですね
その他のLABAオンブレスやオーキシスはCOPDにしか適応ないんですね

ベロテックも一回吸入量が昔の半分量になって安全にはなっているようです
ストメリンDでクッシング症候群になった人もあったそうです

宮川医師が『最近、喘息吸入薬は何でもかんでも合剤という風潮が強くなっていて
吸入ステロイド単独で済む場合でも合剤を使っている』と嘆いておられました
宮川医師がステップダウンして、吸入ステロイド低用量で症状もない患者さんに
非専門医で「古い薬を使ってるね、もっといいのがあるよ」と合剤を出されたと
これじゃガイドラインも何もあったものじゃないと、憤慨しておられました

吸入ステロイドは、MDIキュバールとオルベスコとフルタイドエアー
DPIフルタイドロタディスクとディスカス、パルミコートとアズマネックス

オルベスコは末梢気道到達率52%で、肺で活性化される局所活性化型なので
口腔カンジダ、嗄声の副作用は少ないそうですが、それらはMDIの特徴でもあります

アズマネックスはツイストヘラーというスグレ物の吸入器で、吸入手技が簡便で
DPI中最小の粒子径を誇り、DPIなのに末梢気道到達率は40%と高く
さらには、他のDPIと比較して口腔カンジダ、嗄声などの局所副作用は少なく
吸気速度が低下している患者さんでも吸入可能だそうです
勿論ノンフロン





連休、娘達とショッピングに行き、イタリアンで夕御飯を食べました
ほろほろ鳥といものを初めて頂きました
他にも初めてのお野菜もあり、楽しい夕餉でした

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チーズとワインとカルパッチョ

~薬局でありそうな風景について架空の会話形式で説明しています~





磯荷 鯵人(いそにあじと)さんは、勤務先の鉄工所で永年勤続表彰を受けたそうです

「念の為聞くけど、僕は結核の薬のんでるが、本物の結核じゃないんだよね?」  かおまる
薬歴によると、肺カンサシ症と記載されていますので、結核ではありません

「良かった~僕が、得意の料理の腕を振るい、親戚を招いてささやかな表彰祝いの会を  えへ4  
開こうと思ってるんだが、もし結核なら、人にうつしたりしたらおおごとだからな!」

肺カンサシ症などの非結核性抗酸菌症は、人から人には感染しないと言われています
結核菌もカンサシ菌も抗酸菌という同じ部類の菌ですが、結核菌は人体内でしか生息出来
ないよう進化した菌
で、その為感染力も強いのに対し、一般的な抗酸菌は、土や水や食物
動物等の中に生息する感染力の弱い菌で、大多数の人は偶然吸入しても感染しません

「胸部レントゲンで肺に影が見つかった時は結核を疑われたんだけど、痰の培養検査で  かおまる
2回とも同じ菌が出たのでやっと肺カンサシ症と確定診断されて、胸を撫で下ろしたんだ」

カンサシ菌は自然界に広く存在している為、誰でも吸い込んでいる可能性があるので
一回のみの検出ではダメで、2回以上同じ菌が検出されて初めて確定診断されます

「結核と同じグループの菌なので、結核の薬が効くと言われ、のみ始めた」  かおまる  
磯荷さんには、結核にも使われるお薬が三種類、イスコチン100mg3錠、
リファンピシンカプセル150mg4カプセル、エブトール250mg3錠が出ていますね

「僕なんかまだマシな方で、ハンバーガー屋さんの名前の病気だと薬が効き難いそうだ」  汗5  
非定型抗酸菌症の中でも、肺マック症というものですと、結核薬に感受性が無く
クラリスロマイシンという抗生物質を主軸薬剤として、結核薬も二剤併用しますが
排菌が無くなって一年間服薬を続けても、服薬を止めると再発したりし易いようです

「僕は薬を一年半位のまなきゃいけないけど、根治し易い病気だと言われた」  スマイル  
肺カンサシ症は非定型抗酸菌の中では最も毒力が強い菌ですが、結核薬に感受性があり
菌陰性化後一年間服薬を続ければ、服薬を終了しても再発はほとんどないそうです

「そもそも、こんな病気になる事自体、肺が弱ってる証拠だとは言われたけど」  冷汗4
結核のように元気な人でもうつる病気と違い、非定型抗酸菌症は、抵抗力が落ちて
感染し易い状況の時だけ感染する日和見感染症で、肺マック症も、免疫力の落ちた
エイズの人で、全身に蔓延って難渋した事で、治療法が確率された疾患なのです

「今みたいに、防塵マスクとか、排気装置とかの職場環境が整う前迄は、じん肺に  冷汗2
なる人も居たから、鉄工所って肺に負担のかかる職場かもしれないな・・・」

治りの良い肺カンサシ症でも、服用期間が長いので薬の副作用には気を付けて下さい

「エブトールの副作用チェックの為に、毎日片眼で交互に新聞読んでいるよ」   かおまる
いつもと見え方が違う時は、ただちに医師に連絡して指示を仰いで下さい
エブトールによる視神経障害は、早期に発見して服用を中止すれば元に戻る
言われていますが、手遅れになると視力障害が遺ってしまう恐れがあります

「イスコチンはビタミン不足になるから、ビタミン剤も一緒にのむか聞かれたけど」  かおまる  
ビタミンB6と構造が似ているイスコチンは、ビタミンB6に拮抗して末梢神経障害
起こす恐れがありますが、B6を豊富に含む食品を召し上がって頂ければ大丈夫です

「カツオやマグロなどの魚類や、レバーや肉に多いらしいが、全部僕の好物なんでね  かおまる  
赤身のマグロもカルパッチョにすれば、オリーブオイルのお陰で豪華料理になるしね」

ですが、イスコチンはマグロの様なヒスチジンの多い食品を摂り過ぎると、頭痛、嘔吐
紅斑、掻痒感などの症状のヒスタミン中毒を起こすことがあるので、程々にして下さい

「ヒスタミンって、あの花粉症の時のむ抗ヒスタミン薬のヒスタミンの事?」  かおまる
そうです、イスコチンには、モノアミン酸化酵素(MAO)Dアミノ酸酸化酵素
(DAO)
の阻害作用が有り、MAO阻害作用により脳内のセロトニンを増やすので
セロトニンが減る病気、つまりうつ病の治療薬として使われていた時期もありました

「昔、結核患者が結核薬をのんで、肺に穴があいてるのにダンスを踊ったというからね」  かおまる
一方、食品中のヒスチジンは体内で脱炭酸されヒスタミンに変化しますが、ヒスタミンは
MAOやDAOによって代謝され解毒されますので、イスコチン服用中の人がヒスチジン
の多い食品を摂ると、体内にヒスタミンが蓄積して頭痛や吐き気を起こす恐れがあるのです

「確かにマグロを食べて頭痛や吐き気になった事はあるね  かおまる
でも、あの時は家族全員に症状が出たから、マグロが古かったせいだと思うんだけど」

ヒスタミン中毒は、イスコチン非服用者でも、古い魚を食べてなる事があります
現在は、魚が水揚げされてからすぐに船上で冷凍保存されるのでだいぶ減っていますが

「それはつまり、魚がバイ菌に汚染されるのを防げるようになったから?」  かおまる
魚にはヒスタミン産生菌が付着していて、水揚げ後に、魚に含まれるヒスチジンを
ヒスタミンに変えてしまうので、この産生菌が働き出す前に冷凍する事が重要なのです

「マグロが古くなったと思ったら、加熱処理すれば良いのかな?」  かおまる
細菌が中毒を起こすのではなく、それが産生したヒスタミンによって中毒になるのですし
ヒスタミン自体は、熱で分解されませんので、加熱調理しても無駄です

「つまり、鮮度の悪いマグロを買っちゃったらもうおしまいなんだね?」  かおまる  
発展途上国から輸入された魚ですと、水揚げ後の迅速な冷凍処理がされていない場合があり
ヒスタミンが増えているかも知れないので、魚を買ったら帰宅後すぐに冷蔵庫に入れて下さい

「女房は買い物袋下げたまま、30分もご近所の奥さんと立ち話していることあるよ」  汗  
そういう隙にさらにヒスタミン生成が進んでしまうので、危険です

「医者は、ワインやチーズやレバーもイスコチンと相性が良くないと言ってたが」  かおまる
MAO阻害作用により、チラミンという別のアミンの代謝も抑えられてしまいますので
チーズ、ワイン、レバー等のチラミンが多い食品の摂取も控えた方が無難です
チラミン中毒では、頭痛や血圧上昇、肝疾患、出血傾向などの症状が出ますので
MAO阻害剤がうつ病治療薬としてあまり使われなくなったのもそのせいなのです

「参ったな~今度の表彰祝いの会では、チーズとワインとマグロのカルパッチョ  うへー  
をメインにしたイタ飯のメニューを考えてたんだけど、変更した方が良いかな~」

イスコチンをのんでいない方には無害で良いメニューですので、磯荷さんは
食べないで、裏方に徹したら良いんじゃないですか?

「そんな殺生な~僕のお祝い会なのに~」  ブー1  




(注)

検査精度が上がったせいか、非結核性抗酸菌症は最近我が国で増えているそうで
肺MAC症が70~75%肺カンサシ症が15~20%を占めると言われます

一般的には人から人にはうつらないと言われている非結核性抗酸菌症ですが
その中で肺カンサシ症は、人から人にうつる可能性が若干あるそうです

エイズ患者の全身播種型MAC症の治療から確率された肺MAC症の治療法は
クラリスロマイシン(CAM)800mg=クラリス200mg4錠
リファンピシン(RFP)600mg=リファジンカプセル150mg4カプセル
エタンブトール(EB)750mg=エブトール250mg3錠、の3剤併用

これに比べて、肺カンサシ症の場合は結核薬に感受性があり、
イソニアジド(INH)300mg=イスコチン100mg3錠
リファンピシン(RFP)600mg=リファジンカプセル150mg4カプセル
エタンブトール(EB)750mg=エブトール250mg3錠、の3剤併用

ネットで調べていたら「外食でマグロのカルパッチョでヒスタミン中毒になった」
という記事に遭遇しましたが、そのお店「食べログ」で一つ星でした
やっぱりね~~~(「食べログ」狂信者の見解)

我が家の外食担当者によると、「食べログ」で3.5以上なら間違いないそうです





この夏は本当に暑かったですね
京都の実家に行き、お墓参りの後「食べログ」で3.5星以上のレストランで昼食
千円程度で美味しいスパゲッティが食べられて、大感激でした


京都の街3

京都の街1  京都の街2


酷暑の中、薬局の花も水やりの工夫で何とか持ちました


薬局の花  薬局の花2





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プロフィール

フロル

Author:フロル
調剤薬局で働く
薬剤師です

興味のあることは
(昔)パッチワーク
   お菓子作り
   ベランダ・ガーデニング
(現在)糖尿病
    手料理
    パン屋さん

 2014年~ 多肉植物
 在宅を細々始めました

自分の勉強の為にブログを書いています

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エコライフ

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